STEP1┃SDGsとは?SDGsを理解し、企業が取り組むメリットを知る。
2021/09/09 (更新日:2024/09/30)
ビジネスのシーンやメディアを通じて、触れる機会が増えた「SDGs」という言葉。目にしたり、耳にしたりしたことはあるものの、どのような意味を示すのか、どのような考え方なのか、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
そこで1つの指針となるのが、SDG Compassです。SDG Compassは、企業がSDGsに取り組む際の行動指針として、国連関係機関であるグローバル・コンパクトなど、3団体が作成したガイダンス。企業がいかにしてSDGsを経営戦略と整合させ、SDGsへの貢献を測定し、管理していくかという指針を示しています。
シリーズ「SDGs自社への落とし込み5step完全解説」では、SDG Compassの核となる5つのステップに沿って、SDGsに取り組むための方法を解説していきます。ステップ1ではまず、“SDGsとは?”という基本的なおさらいや、企業にとってのメリットや責任などについて、理解することから始めましょう。
1.SDGsとは何か、その背景を理解する
17の目標と244の指標を設定した、世界共通の目標。
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。持続可能で平和な未来を実現するために、環境、経済、社会面において達成すべき17の目標と、その目標達成のために必要な169のターゲットから構成。さらに取り組みを評価するための244(重複を除くと232)の指標が設定されました。
誰一人取り残さない、2030年のあるべき姿。
SDGsが策定されたのは2015年9月、ニューヨークで開催された国連持続可能な開発サミットです。このサミットで全会一致によって採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の柱として、SDGsが盛り込まれました。
2030年に向けて世界が目指す、あるべき姿や地球規模の優先課題を見据えた上でSDGsが掲げるのは、“誰一人取り残さない”という基本理念です。
今、世界が直面している飢餓、人権侵害、経済格差、気候変動に伴う自然災害など、さまざまな問題をいかに解決するか。また、持続可能な世界を目指すために何が必要かということをSDGsは明らかにしました。
前身となったMDGsに比べ、先進国を含めた広い視野での目標を設定。
そもそもSDGsが策定されるきっかけとなったのは、2000年に始まったMDGs(Millennium Development Goals)です。2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットにて採択された、国連ミレニアム宣言を基にまとめられたMDGsは、国際社会共通の目標として2015年までの15年間にわたり取り組みを実施。発展途上国における貧困削減や保健・教育分野の改善など、多くの開発分野において成果を収めました。
SDGsでは、MDGsの内容を継承しつつ、発展途上国に関する目標が主だったMDGsに比べ、先進国を含めたより広い視野での課題、開発目標を設定。経済的、社会的、環境的側面といった横断的な分野の課題解決を含んでいます。
また、SDGsの大きな特徴として、ビジネス界や市民など、あらゆるセクターおよび世界各地から寄せられた、たくさんの声を幅広く取り入れたという点が挙げられます。MDGs策定時は主に国連や一部の政府など限られた人が関与していましたが、SDGsでは、発展途上国、先進国問わず、すべての地球上の人類に関わる普遍的な目標であることを強く打ち出しています。このSDGsを各国政府は自国の行動計画や政策に落とし込み、企業はより“自分ごと化”してアクションにつなげることを期待されています。
背景にあるのは、便利さを追求した結果、もたらされた地球規模の課題。
SDGsが策定された背景には、さまざまな世界的課題が増大し、地球と人類の存続を脅かしているという現状があります。
SDGsが生まれる背景となった地球規模の課題
1.便利さと引き換えに蝕まれてきた環境
人間は、便利な暮らしを求め、手に入れた便利さを守るために大量生産・大量消費・大量廃棄を繰り返してきました。そのために必要となる水、森林、化石燃料といった自然資源を、もしこのまま使い続ければ、世界の人口が96億人に達すると言われる2050年には、地球3個分もの自然資源を消費することになるという試算もあります。
2.気候変動がもたらす自然災害の影響
経済活動を活性化し、便利な暮らしを支えるために、人間が化石燃料に頼ってきた結果、温室効果ガスの排出が増大しました。CO2をはじめとする温室効果ガスの濃度が上昇することにより、地球の平均気温の上昇、海面上昇といった気候変動をもたらし、ゲリラ豪雨や台風の大型化、土砂災害、河川の氾濫といった自然災害を引き起こしています。
このような気候変動による自然災害の多発化は、食糧危機や争いを生む引き金となり、ひいては貧困層や障がい者、高齢者、子どもといった社会的弱者とされる人々の暮らしに大きな影を落とすのです。
3.失われる生物の多様性と食糧危機
人間は、自分たちの生活を満たすために、開発により街をつくり、森を切り開いて田畑や工場をつくり続けてきました。その結果、地球上に存在するさまざまな種が絶滅の危機に追い込まれ、生物の多様性が失われつつあります。
生態系が崩れることは、水を浄化し、自然災害を抑制するという自然の流れを止め、人の暮らしに必要な食料を生産するためのシステムにも悪循環をもたらします。
4.争いの引き金にもなり得る極端な格差
気候変動により自然の資源が枯渇し、食料危機が広がれば、おのずと貧困層と富裕層の格差、生活格差がさらに広がることも懸念されます。さらに、極端な格差により、人類が奪い合いを始め、争い、戦争などを引き起こすことも考えられるでしょう。
2.企業の社会的役割を知る
企業に求められていることは?持続可能な社会の実現に向けて、新たな好循環を生む。
前述した環境問題や気候変動、自然災害は、人々の生活や企業の経済活動に起因するものも多くあります。より便利なものを安価で手に入れたいと願う消費者のニーズ、それに対してより短期間で大量につくることで応えようとする企業。互いの利益至上主義が加速したことで、環境問題、従業員の心身の健全性などが蔑ろにされてきたのです。
このように自然資源や人的資源を搾取する経済の悪循環から脱却するために、自然資源や人的資源への投資をすることで循環型経済を生み出すなど、長期的な視点に立った経済の好循環を生むことが求められています。
さまざまな世界的課題を生み出した企業が、SDGsを機に経済の新しい循環を生むための努力をし、持続可能な社会の実現へ向けて力を尽くすことは、社会的役割として当然のこととも言えます。
また、行政や公共性の高い団体とは異なる技術力や知識、独創性やフットワークの軽さなど、企業ならではの特性を生かすことで、持続可能な社会の実現へ向けての流れを強く推し進めることができるのも企業の強みです。
SDGsにおいては、大企業のみならず、中小企業の活動にも期待が高まっています。例えば、中小企業が地域と連携して取り組むことで、空き家問題、後継者不足など、地域固有の課題に対してもアプローチが可能に。
企業がSDGsへの取り組みを通じて地域を活性化し、持続可能な社会のモデルケースを築きながら、利益を生み出すという好循環を生み出すことは、企業としての安定的な基盤にもつながります。
3.企業がSDGsに取り組むメリットを知る
今や、支持される企業の必須条件に。新たな成長機会につながるSDGs。
SDGsの背景にあるさまざまな課題が改善されず、悪化することは、ビジネスへも多大な影響を及ぼします。つまり、企業がSDGsに取り組むことは、将来を見据えた上でのリスク回避でもあり、ビジネスを継続していく上での必要な投資なのです。
また、持続可能な社会の実現に向けて企業が積極的に考え、その施策を実行に移すことは、新たな事業成長の機会を創出することにもつながり、人材確保やステークホルダーとの協働に好影響を及ぼします。
以下に、企業がSDGsに取り組むことで期待できるメリットを、大きく6つに分けて説明します。
将来のビジネスチャンスを見極める。
かつてSDGsに取り組むことは、企業のブランディングの一環として、プラスアルファ的な要素と捉えられていましたが、今では消費者からの支持を得るためのマストな条件になりつつあります。その背景にあるのは、消費者が商品やサービスを選ぶ際の基準として、従来の“安い”や“おしゃれ”という判断材料に加え、“エシカルかどうか”という視点にも注目し始めているという流れです。
今後、SDGsがよりスタンダードになっていく中で、将来にわたってビジネスを継続したいと考える企業にとっては、欠かすことのできない概念となるでしょう。
さらに、SDGsにまつわる地球規模の課題に対し、革新的かつ有効な解決策を見出し、それを実現する力を持ち、ビジネスへと転換できれば、企業にとって新たな市場開拓の機会になります。例えば食料と農業、都心と都会のモビリティ、エネルギーと原材料、健康と福祉など、SDGsの達成に向けて生まれる分野への参入や、将来を見据えたビジネスへのチャレンジといった好機を捉えることができるのです。
長期的視点を持った持続可能な企業として、採用活動でも話題に。
消費者の流れと同様、求職者の傾向として、「稼げる」よりも「社会にどう貢献しているか」がより重要視されてきていると言われる昨今。働き方が多様化し、働くカタチの選択肢が増えてきた中で、「仕事でやりがいを求める」という志向は、今後もより一層深まると考えられます。
また、人的資源の“搾取”ではなく、人的資源への“投資”を実践する企業であれば、社員のモチベーションを高め、意識の高い人材が関心を示す確率も高まります。SDGsへの行動を実践することは、世界的、長期的視点を持った企業としての価値を高め、将来性に対する期待を高めるチャンスとなるはずです。
SDGsな選択肢を増やすこと、同業他社に対して優位性を高める。
SDGsは、将来の政策が進むであろう方向性を反映しています。つまり、地球環境の持続可能性や格差是正を促す制度の強化など、さまざまな制度やルールの変換が進む中で、ビジネス上での環境や関連する仕組みも、今後は、SDGsを踏まえた方向性に変化することが予測されます。
その際、積極的にSDGsを理解し、実践している企業であれば、新たな政策やルールにも迅速に適応することができ、より優位性を高めることができます。
例えば、新国立競技場のトイレの建設に関する入札で、FSC認証のある木材を取り扱う企業であることが条件に追加されたものの、参加企業が1社も該当しなかったため、条件から外されたということがありました。つまり、FSC認証を取得していれば一人勝ちできていたというわけです。
この他にも、環境に優しいモノ、コトであるというエビデンスがないとコンペに参加できないといった事例が増えるなど、同業他社との差別化にもつながります。
ステークホルダーとの関係性を強化することで、新たな分野にも挑戦。
SDGsは、国際、国家、地域などさまざまな社会レベルにおいて、ステークホルダーの期待を受け、内容に反映しています。そのため、SDGsを優先課題として取り込み、実践し、情報開示できる企業は、顧客をはじめ、従業員、投資家、消費者、政府、市民団体など、自社を取り巻くステークホルダーとの関係性を強化できます。
ステークホルダーとの協働関係を強化できれば、地域住民からの信頼を得ることにもつながり、ビジネスへの直接的、間接的サポートを得られる可能性も高まります。さらに、ステークホルダーとのつながりにより、一事業者としては困難な事業にもチャレンジできるという期待も高まります。
持続可能なビジネスを展開し社会と市場の安定化を目指す。
企業が長期にわたり、安定して事業を継続するためには、例えば世界規模での非常事態が発生しても対応できる、安定的な環境や社会の基盤づくりが不可欠です。
SDGsの達成に向けて企業が投資し、積極的に取り組むことは、ルールに基づく市場環境、透明性の高い金融システム、腐敗や汚職のない企業間の健全な競争、ガバナンスされた組織づくりにつながります。
企業が、ビジネスとして成功を収めるための必須条件とも言える、正統な社会づくりを支援することは、企業がSDGsに取り組む根本的な利点とも言えるでしょう。
ステークホルダーと目的を共有することで、事業理解の促進につながる。
SDGsが掲げる持続可能な社会を実現するための目標は、世界が進むべき方向性を示す、羅針盤のような存在とも言えます。つまり、SDGsが示す行動目標は、言語の枠組みを超え、さまざまなステークホルダーと企業とをつなぐ、いわば共通言語です。
企業は、顧客をはじめ、従業員、投資家、消費者、政府、市民団体など、自社を取り巻くステークホルダーと、SDGsという共通言語をきっかけに未来について語り合う機会を得ることができます。さらに、さまざまな課題に対して、どのようにアプローチするかなど、建設的な話し合いを持つきっかけとなり、新たなパートナーシップの構築につなげることもできるでしょう。
4.ESG投資を理解する
SDGsに取り組む上でのリスクを理解し、投資チャンスにつなげる。
企業が環境問題や社会課題と向き合い、SDGsにどのように取り組んでいるかという姿勢は、企業の将来性を見極める上で、投資家や金融機関にとっても重要な指標となっています。つまり、SDGsへの取り組みが投資を後押しすることにつながるのです。
裏を返せば、企業はSDGsへの取り組みに対する注目度の高さをしっかりと認識する必要があるとも言えます。SDGsへの取り組みを誤れば、ビジネスの持続性自体を脅かす重大なリスクを負うことも、認識しておかなければなりません。
ESG問題に対して解決策を講じることは、SDGsの実践につながる。
SDGsと共に、取り沙汰されることの多い言葉にESG問題というキーワードがあります。これは、環境問題(Environment)、社会問題(Social)、組織統治問題(Governance)の頭文字を組み合わせた言葉です。
ESG問題は、ビジネスの持続可能性、社会生活の持続可能性を脅かす代表的な問題であり、SDGsとも密接に関わっています。
このようなESGの観点を取り入れた投資活動のことを「ESG投資」と言います。近年は、投資家にとっても、企業の社会性や将来性を見極める上で、ESGへの取り組み姿勢は重要なテーマとなっているのです。
例えば、自然災害や資源の枯渇などに象徴される環境問題は、資源価格の高騰や事業所自体が被災するというリスクにつながります。また、貧困や少子化といった社会問題は、顧客の購買力を低下させ、市場の縮小の引き金となります。さらにサービス残業、労働環境の悪化、製品の偽装など組織統治に関する問題が生じれば、規制強化によって企業の自由度を抑止する動きを生みかねません。
ESG問題がビジネスに与える影響を想定した上で、ESG問題を経営課題として捉えること。そして、解決に向けて具体的な対策を講じることは、SDGsの実践にもつながります。
メリットの裏側にあるリスクにも要注意!
企業がSDGsへどのように向き合っているかという観点に注目が集まる今、SDGsに対する考え方が曖昧であったり、誤った方向性であったりする場合には、リスクをはらむことも。SDGsの取り組みがESG問題の解決につながっていない、目先のブランディングだけに捉われて実効性がないなどの理由で社会的信用を失ったり、批判を受けたりすることは、企業の存続を脅かす危険性があることもしっかりと意識をしておきましょう。
また、SDGsを通じてステークホルダーと協働することは、新たなビジネスチャンスを生むきっかけになるというメリットがある一方で、適切なステークホルダーを巻き込まずにルールを形成することで、大きなリスクを伴うことがあります。
例えば大企業が、行政などに呼びかけ、自社のみに有利なルールや仕組みを形成すれば、他社や顧客、消費者からの信頼を得ることは難しくなるでしょう。SGDsの目指すところは、あくまでも“誰一人取り残さない”共存共栄であることをしっかりと意識することが求められます。
表面的にはSDGsを掲げ、法に触れない範囲で取り組んでいたとしても、身勝手な解釈により、実質的な理念に適っていなければ、表面的な偽りのSDGs企業を表す“SDGsウォッシュ企業”の汚名を受けるリスクが高くなるでしょう。
5.取り組み姿勢を整え、情報開示の準備をする
SDGsに取り組む際に求められる、3つの視点と情報の開示。
SDGsへの取り組みを通じて、企業は3つの視点をしっかりと意識する必要があります。加えて、取り組みに関する情報提供、報告の重要性も念頭においておきましょう。
SDGsに取り組む前に、普遍的な権利を尊重する責任を負う。
企業がSDGsに取り組む際には、環境保全、人権尊重、雇用・労働、競争・貿易、税務など、国際的に定められた規範・ルール、各国で定めている法律など、あらゆる関連法を遵守し、社会的な基準を維持していることがスタートラインとなります。
下記の基本的責任について、しっかりと満たしているか、改めてチェックしてみましょう。
SDGsに取り組む際に留意すべき企業の基本的責任
1.コンプライアンス
いくらSDGsに積極的に取り組んでいようとも、企業としての最低基準とも言える人権侵害や不正行為、環境汚染への加担などをしていれば、前述した“SDGsウォッシュ企業”として批判の的となる可能性も。SDGsの必須条件として、コンプライアンスをしっかり意識しましょう。
2.組織運営
企業の組織運営の要素としては、環境面における取り組み、多様な人材の確保、同一労働同一賃金、ジェンダー平等の推進、雇用・労働面の取り組みなどが挙げられます。
中でも、SDG Compassによると、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において、すべての企業が果たすべき基本的責任として、人権を侵害しないこと、そして人権危害に対処することが主張されています。
2030アジェンダが理念に掲げるように、SDGsにおいて“誰一人取り残さない”は重要なキーワードです。女性、子ども、障がい者、高齢者、性的マイノリティ、少数民族、移民など、時に人権を侵害されてきた、いわゆる社会的弱者らも含め、すべての人々の人権を尊重し、守るという考え方に重きが置かれています。
この考えを企業に置き換えれば、職場における差別や偏見をなくし、従業員を誰一人取り残すことのない仕組みづくりが求められます。ひいては、多様な人材を生かし、柔軟な働き方のための制度や成果重視の評価制度の整備などを通じ、その能力が最大限発揮されるように環境を整える。つまり、ダイバーシティ経営の推進にもつながるのです。
3.企業活動
企業がSDGsに取り組む場合、本業を通じて貢献することが理想的かつ近道と考えられます。例えば1つは、ICTを活用した教育などへのアクセス改善といった、企業価値に直結する活動。2つめは、飲料メーカーによる森林保全活動など、将来的に本業につなげることができる社会貢献、あるいは社会貢献性の強い事業。3つめは市場環境の整備です。これは、SDGsにしっかりと取り組む企業が利益を生むように、ルールづくりや市場環境の整備に関わることなどが挙げられます。
情報開示により、“環境コスト内部化”の動きへの理解を得る。
SDGsでは、持続可能な社会の構築に向けた取り組みについて、情報を報告・開示することが奨励されています。その意義について、国連グローバル・コンパクト(UNGC)などが発行するガイドでは、投資家などステークホルダーへの情報提供、自社内のSDGsの取り組みに対する意思統一やモチベーションの向上、ビジネスへの好影響などを挙げています。
また、情報開示の必要性を示す背景として、“環境コストの内部化”という側面もあります。企業が製品を製造したり、サービスを提供したりする際には、規模の大小にかかわらず、CO2をはじめとした汚染物質の排出など、地球環境に対して負担を与えているケースが大半です。
しかし、環境に対する負荷と、製品やサービスの価格が比例するとは限りません。環境へ多大なる負担をかけて生み出される商品やサービスであっても、低価格で販売され、大量生産・大量消費が繰り返されています。
そういった環境負荷に伴う費用を“環境コスト”として市場メカニズムに取り込み、価格に反映するのが環境コストの“内部化”です。そのため、環境コストの内部化によって価格が引き上げられているのだということについて、消費者や顧客に対して理解を求めるためにも、細かな情報開示が必要になるのです。
6.まとめ
SDGsはもはや企業のスタンダードに。正しい理解を重ねて、すぐに実践へ。
本記事では、SDG Compassのステップ1に沿って、SDGsを理解するためのポイントを紹介しました。SDGsに取り組むメリットや、SDGsに取り組む際の留意点などを頭にインプットすることができたところで、ステップ2以降は、実際に自社で取り組む際の流れについて、順に解説します。
SDGsを実践するにあたって第一歩となるのは、長期的な視点に立ち、将来の望む姿からバックキャスティング、つまり逆算して今、何をすべきかを考えることです。
次の記事では、本記事で得たSDGsに関する基礎知識を念頭に、SDGsに取り組む際の優先課題と目標を考えていきましょう。
ステップ1のアイグッズ的ポイント
・企業が最も社会に影響力があることから、国も積極的にSDGsへの協力を要請している
・SDGsはプラスアルファの企業努力ではなく、もはやスタンダードに
・SDGsへの取り組みは、投資家と消費者双方の注目が集まっている
・落とし穴もあり。正しい理解を重ねて、すぐに実践へ
参考文献
・「SDG Compass」(GRI・UNGC・WBCSD)
・「すべての企業が持続的に発展するために-持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド-[第2版]」(環境省)
・「主流化に向かうSDGsとビジネス ~日本における企業・団体の取組み現場から~」(GCNJ・IGES)
・『図解入門ビジネス 最新SDGsの手法とツールがよ~くわかる本』(秀和システム)
・『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門』(技術評論社)
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