SDGs自社への落とし込み

STEP2┃バリューチェーンをマッピングし、優先課題を決定する。

2021/09/09 (更新日:2021/11/29)

多種多様な課題を含むSDGsにおいて、個々の課題に対する重要度は、企業によって異なります。SDGsの各目標に対して企業が貢献できる度合い、各目標から得られるメリット、付随するリスクには、業界や企業ごとの規模、体力、特色など、さまざまな要因が関与します。また同様に、環境や社会に与える影響、与えられる影響も大きく異なるでしょう。 

そのため、SDGsに取り組むにあたっては、バリューチェーン全般を通じて、企業の事業活動がSDGsに及ぼす、あるいは及ぼす可能性のある正と負、両面の影響を的確に把握することが重要です。 

シリーズ「SDGs自社への落とし込み5step完全解説」では、SDG Compassの核となる5つのステップに沿って、SDGsに取り組むための方法を解説していきます。ステップ2では、各企業が重点的に取り組むべき課題と、取り組まない課題を整理し、優先課題を決定するための道筋を紹介。SDG Compassが提唱する方法に沿って解説します。 

>>SDG Compass

1.長期ビジョンを立てる

SDGsに取り組む前に、まずは未来を見据えた長期ビジョンを策定。

SDGsを実践に移す前に、準備段階として確認しておきたいことは、社内の体制と長期ビジョンです。現実的に、取り組むための体制づくりが可能か、また企業のトップをはじめとした経営陣のリテラシーはあるか、社内での意思統一がはかれているかを確認しましょう。 

加えて、SDGsに取り組む大前提として、未来を見据えた長期的なビジョンを策定することが不可欠です。

トップのコミットメントを得て、SDGsに取り組むための体制をつくる。

企業のトップや担当者の一人よがりでは、SDGsを推進することはできません。SDGsを実現するためには、組織を挙げて取り組む必要があります。 

SDGsを通じてESG問題を解決することは、企業にとって大きな意味をもたらします。そのため、経営計画や各部門、一人ひとりの従業員の業務に落とし込み、それぞれが他人ごとではなく、“自分ごと”として捉えることが重要です。例えば経営者を含め、全社を挙げて学習の機会を設けるなど、SDGsに関するリテラシーを高めていきましょう。 

理解度を高めたところで、“なぜ自社にとってSDGsが必要なのか”、“個々の業務内容がどのようにSDGsに関連しているのか”などについて議論、説明を繰り返し、認識を深めていきます。実践の前に、全社の意思統一をしっかりはかっておくことが成功の鍵になるのです。 

また社内の合意形成と並行して、取り組みに必要な物資、施設の調達、資金の調達など、SDGsを実践するための体制を整えておきます。さらに、テーマによっては自社内だけで実践が難しいケースもあるかもしれません。そのため、社外のステークホルダーとのパートナーシップがしっかり構築できているかも確認をしておきましょう。 

SDGsの核となる取り組みの中には、経営に深く関係することも少なくありません。企業のトップや経営陣、ステークホルダーと関わりのない状態で、経営に関する優先課題などを推し進めることは、表層的な活動と捉えられる可能性も。“SDGsウォッシュ”のリスクにつながりかねないので、注意が必要です。 

未来像から“バックキャスティング=逆算”で長期、中期、短期の戦略を立てる。 

SDGsに取り組む際、優先課題を決定するための第一歩となるのが、長期的なビジョンを見据えることです。 

SDGsが目指す持続可能な社会の中で、将来、自社がどのような役割を果たし、どのようなスタイルで企業活動を続けていくか。その将来の理想像から逆算して、現在の状況からどのようなステップを踏めば、イメージしている姿にたどり着けるかを考えることが大切です。 

ポイントとしては、現状を起点として5年後、10年後、20年後と段階的に追っていくのではなく、まず長期ビジョンに対する具体的なゴールを設定するバックキャスティングの考え方がふさわしいとされています。現在の延長線で施策を描いていくと、根本的な解決につながらない施策を打つことになり、結果的にSDGsに取り組む前とさほど変わらない状況をつくり出してしまう可能性があります。望ましい理想的な姿をまずは洗い出し、逆算して長期的、中期的、短期的戦略をつくることが大切です。

SDGsの優先課題を明らかにするための、3つのアクション。

策定した長期ビジョンにのっとり、SDGsで取り組むべき優先課題を浮き彫りにしていくために、SDG Compassでは、3つのアクションを提唱しています。 

大まかな流れとしては、まずバリューチェーンマッピングを利用し、自社の強み、弱み、影響を及ぼしている領域や生み出している付加価値などを洗い出します。次に、その中から特に重要な影響を抽出し、SDGsの目標・ターゲットに関連付ける。最後に、優先的に取り組むべき課題を決定するという流れです。 

なお、SDG Compassでは、ここに挙げる3つのアクションにおいて、基本的には企業レベルでの影響評価を想定していますが、製品、事業所、または地域レベルでも応用が可能です。 

優先課題を決める3つのアクション

1.バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する 

2.指標を選択し、データを収集する 

3.優先課題を決定する

 2.バリューチェーンマッピングで、影響領域を特定する

バリューチェーンをマッピングして、正と負の影響領域を特定する。

企業が優先課題を決定するにあたり、供給拠点、調達物流から、生産、事業、さらには製品の販売、使用、廃棄に至るまで、バリューチェーン全体を考慮することが求められています。

まずは、自社の現在あるいは今後の事業、バリューチェーンに着目し、SDGsで掲げられている各課題に対する影響を考えます。負の影響を与えている、もしくは負の影響を与える可能性が高い領域と、正の影響を与えている、もしくは正の影響を与える可能性が高い領域を特定してマッピング。現在、および将来、両方の視点から影響を考えることで、より精度の高いバリューチェーンマッピングを実現できます。

正の影響として抽出された項目については、プラスの影響をさらに強化して伸ばし、負の影響として抽出された項目については、マイナスの影響をできる限り最小化しなければなりません。

バリューチェーンマッピングで抽出した、機会の創出(正の影響)を強化する。

どのようにバリューチェーンをマッピングしていくのか、アイグッズの実例と照らし合わせながら見てみましょう。

アイグッズのバリューチェーンマッピングの考え方

・世に生み出している機会を洗い出す

・負の影響を洗い出す

・プラスとマイナスで、優先順位付けをする

・優先順位の高いものを抽出し、ターゲットに結び付ける

・バリューチェーンマッピング完成!

アイグッズが、自社の事業によって世に生み出している機会、プラスの影響について洗い出します。例えば企画分野における「1年目から活躍できる教育制度」や「男性も女性もバリバリ働く」、生産分野における「現地社員の給与アップ」などは、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の項目に該当する正の影響が挙げられます。

また、調達分野の「サステナブルな提案による環境保護」や検品分野の「サステナブルな梱包資材採用」などは、目標13「気候変動に具体的な対策を」につながります。

バリューチェーンマッピングで抽出した、負の影響を最小化する。

注)このリストには、現実にはまだ起こっていない、起こり得る「リスク」も含まれています。

同様に、バリューチェーンマッピングから、負の影響を与えるリスクを抽出します。 

調達分野での「染料による汚水」や、生産分野での「コットン使用による水の大量消費」は、目標6「安全な水とトイレを世界中に」という項目に対して負の影響をもたらしています。また物流分野では、「納期による空輸でのCO2増加」、「配送業者によるCO2の排出」、「船の輸送におけるCO2排出」など、目標13「気候変動に具体的な対策を」の項目に多くの影響を及ぼしていますので、負の影響を抑制する必要があります。

廃棄分野では、「大量生産による大量破棄」や「過剰梱包による大量のゴミ」など目標12「つくる責任つかう責任」について負の影響を与えているため、「社員で持ち帰る」、「廃棄予定品を集めて再利用」、「梱包資材の再利用」などで負の影響を抑制しています。

SDGsに対してプラスの成果を出しても、マイナス面、問題点が抑制されなければ、総合的に見て、持続可能な社会の実現に貢献したとは言えません。SDGsへの取り組みにおいて、正の影響をもたらすことはもちろん、負の影響をしっかり抑制し、最小化することが不可欠なのです。 

「社会価値・経済価値」「発生可能性・深刻度」で重要課題を洗い出す。

正と負の影響を洗い出したら、プラスの影響については社会価値と経済価値を座標軸に分類します。マイナスの影響については、発生可能性と深刻度を座標軸に分類していきます。それぞれ、双方向の指標が高い次元にある機会・課題に着目していきましょう。

バリューチェーンにマッピングする際には、下記の点において留意が必要です。もちろん、マッピングする時には、ステークホルダーの意見にしっかり耳を傾けることも忘れずに。特に、事業やバリューチェーンを通じて、負の影響を受けるステークホルダーの視点や関心事を把握することは、正と負の影響を的確に評価することにつながります。

マッピング時の注意点

1.バリューチェーン上には、まず人、環境、ガバナンスに関するリスクをマッピングします。中でも、人権に関するリスクは優先課題になる可能性が高いため、労働者、従業員、顧客など“人”に関するリスクは必ず記載しましょう。 

2.有益な製品、サービス、投資を通じて自社が貢献している領域をマッピング。その際には、自社の技術や能力を活用している領域、もしくは自社の技術や能力を活用して新たに価値を創造できそうな領域をマッピングしましょう。 

3.正の影響があると思われる製品やサービス、投資について、負の影響をもたらしていないか考え、負の影響もマッピングします。 

4.業界の特性を理解し、期待される役割と批判が集まりやすい分野、両面から注意深く検証しましょう。例えば、AIを積極的に導入している企業であれば、AIの利用によるイノベーションや課題解決が期待される一方で、雇用の機会を減少させて失業や格差の拡大を生むという批判が予想されます。 

5.自社のバックボーンやネットワークを見返し、直面している課題を洗い出します。例えば、操業している国、取引先の国について、該当する国が児童労働や強制労働、環境汚染などについて批判を受けていないか。また、投資家から最近受けた新たな質問がないか、NGOから批判されたことはないかなど、これまでの課題も振り返りましょう。 

影響が大きい領域を漏れなくマッピングするために、多様なツールを活用。 

重大な影響を見落とさないためには、産業別SDGs手引きや、SASBマテリアリティマップなどが役立ちます。また、自社にとって重要な課題を洗い出し、正と負の影響をマッピングするためには、Future-Fitビジネス・ベンチマーク、ISO26000、国連グローバル・コンパクトの10原則、GRIスタンダード、SASBスタンダードなどの、国際的な枠組み、動向を参考にすると良いでしょう。 

その他にも、バリューチェーンマッピングをするためのツールはたくさんあります。その1つが、ライフサイクルアセスメント(LCA)です。LCAとは、製品やサービスの原料調達から製造、組み立て、流通、廃棄に至るまでの製品やサービスの“一生=ライフサイクル”を通じ、環境や社会への影響を把握するための手法です。 

これを利用することで、企業活動による環境や社会への影響など、自社のバリューチェーンにおける製品・サービスと、SDGsの関係性を把握しやすくなります。 

また、企業活動を行う上では、自社工場や自社の拠点におけるエネルギーの使用や排水・排ガスといった直接的な影響のみならず、原材料調達時や製品の使用時、廃棄段階など間接的な影響も念頭に置くべきです。 

自社工場での製造段階や配送時などに排出される温室効果ガスのように、自社における直接的な影響をスコープ1。自社で使う電気や熱の供給時に生じるCO2 の排出など、間接的な影響をスコープ2。さらにライフサイクル全体を通しての影響全般をスコープ3と呼んでいます。

優先度の高いプラスマイナスの影響を、ターゲットに当てはめる。

アイグッズが洗い出した、プラスとマイナスそれぞれの影響をバリューチェーンマッピングした表が下記となります。

アイグッズがピックアップした優先度の高い課題について、SDGsの169のターゲットに紐付けました。

例えば、プラスの要素として、社会価値も経済価値も高い領域に位置付けられた「社員の働きがい向上」は、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲット5.1「あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。」や、ターゲット5.5「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。」につながります。

また、バリューチェーンの企画分野で挙がった「充実した労働環境」は、目標8「働きがいも経済成長も」のターゲット8.5「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。」にプラスの影響を及ぼしているものの、同じターゲットに対し、「慢性的な長時間労働」、「オフィスの不整備」、また生産分野では「業界の慣習による低賃金」といった負の影響も浮かび上がってきました。

さらに、目標12「つくる責任つかう責任」については、プラス、マイナス、さまざまな要素が表出してきました。中でもターゲット12.5「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」に関連する事項として、「サンプルの大量廃棄」、「生地余りの大量破棄」、「不良サンプルの大量廃棄」、「輸送による資源大量消費」、「大量生産による廃棄物の発生」など、各分野で負の影響が明らかに。

これに対し、正の影響を及ぼしている「サーキュラーエコノミー」への取り組みを推し進め、循環型ものづくり事業の開発・推進を行っていくなど、マイナスの影響を抑制し、プラスの影響を強化することが重要課題として顕在化しました。

3.指標を選択し、データを収集する

指標に基づきデータを収集することで、SDGsへの貢献度を“見える化”する。 

バリューチェーンマッピングにより、SDGsに取り組む上での影響が浮き彫りになったら、ロジックモデルを作成し、必要なデータの収集と分析を実施しましょう。 

ロジックモデルを作成し、SDGs達成に貢献する道のりを整理する。

事業活動による直接的な結果がもたらす、短期的・長期的な社会や環境への変化・成果を「社会的インパクト」と呼びます。また、投入(インプット)、活動(アクティビティ)から、産出(アウトプット)、結果(アウトカム)、さらには社会への影響(インパクト)という5段階に分けて、事業活動がSDGs達成に貢献するまでの道のりを整理するツールが、ロジックモデルです。

下流に位置するアウトカム、インパクトから逆算して、どのような事業活動が必要かを考えていきましょう。

このロジックモデルを踏まえた上で、SDGsと自社あるいは自社の事業とのつながりを改めて考え、SDGsの目標やターゲットと紐付けます。

ロジックモデルのアウトカムを可視化する指標を決め、データを収集する。 

ロジックモデルのアウトカムを鍵に、それを可視化する指標を決定します。SDG Compassのウェブサイトでは、17のゴールとそのターゲットに対してマッピングした事業指標を一覧にして掲載しているので、まずはこれを参考にしましょう。また、この一覧に掲載されている指標をヒントに、企業は独自で指標を設定することもできます。 

さまざまな種類の指標を検討し、アウトカム、インパクトを計測する「遅行指標」と、アウトカム、インパクトを予測する「先行指標」のバランスを意識すると良いでしょう。 

選択した各指標に基づき、データの洗い出し、収集、分析を進め、達成度を把握します。データの収集については、購買または販売システムから必要なデータを抽出するなど、現行の事業システム、プロセスを採用するという方法が最も効率的でしょう。 

その他、既存のシステムでは必要なデータが得られない場合は、現地訪問、アンケート調査、フォーカスグループ調査、聞き取り調査なども手段の1つとなります。ただし、データの収集に関してSDG Compassでは、誤報告のリスクを十分に認識し、内部・外部検証によりデータの信頼性を高めるなど、データの質や整合性を担保する対策を整備することが望ましいとしています。

4.優先課題を決定する

SDGsの実現と事業性、両面から将来性を考慮し、優先課題を決定する。

SDGsに対する将来的な正の影響、負の影響を把握し、それを裏付けるデータを収集したら、SDGs全体に対する優先課題を決定します。 

考慮すべき点は、ステークホルダーにとってどれほど重要な課題であるか、正と負の影響の規模や強度・可能性、資源効率化などによる競争力強化の機会、ステークホルダーからの圧力、負の影響が企業にとってコストやリスクになる可能性、正の影響により事業が成長する可能性、利益を得る機会など。 

ここで忘れてはならないのが、経営面のことだけに捉われず、環境・社会の持続可能性と、事業の両面に良い影響を及ぼすことができる課題であるかという点の考察です。長期的な視野に立った理想の将来像、ビジョンの実現に向けて、推進力となる課題であるかどうかを、今一度見返した上で優先課題を決定しましょう。 

ステークホルダーとの良好な関係構築が、SDGs成功の鍵に。

優先課題を決定する上での判断基準は多岐にわたりますが、中でも重要視すべきはステークホルダーにとっていかに重要な課題であるかどうかです。 

ステークホルダーとは、企業と何らかの利害関係がある、あるいは企業の事業に関心がある人々のこと。具体的には、株主や債権者、投資家、従業員、労働組合、取引先、消費者、地域社会、NPO、政府などが挙げられます。 

SDGsを実践し、円滑に事業を進めていく上では、こういったステークホルダーの関与を得て(エンゲージメント)、良好な関係を築くことが不可欠です。 

例えば、従業員や労働組合など、社内的なステークホルダーに対しては、優先課題の決定に際して理解、納得を得て、決定の段階から関わるように促すことで、SDGsの取り組みを“自分ごと”として捉えるようになる可能性が高まります。各部署や個人レベルでの取り組みに対しても、積極的に関わることが期待できるでしょう。 

また、投資家や取引先、消費者、地域社会といった社外のステークホルダーを巻き込むことは、ステークホルダーの課題、利害、関心、期待などへの理解を生み、事業機会を増やすと同時に、リスクを減らすことにもつながります。 

ここで肝となるのは、どのステークホルダーと、どのように(エンゲージメント手法)、どの程度(エンゲージメントのレベル)、関わりを持つかを見極めることです。ステークホルダーの視点や関心事、懸念事項などに関する知識を持つNGOや専門家などを代理ステークホルダーとして関与させることもできます。 

いずれにしても、それぞれのステークホルダーの影響度や、エンゲージメントの目的、得られる知見・情報などを総合的に判断して決定していくと良いでしょう。 

さらに、将来の世代や生態系など、自らの見解を明確に表現できないステークホルダーをはじめ、女性や子ども、先住民族、移住労働者など、いわゆる社会的弱者へも配慮が必要です。不利な立場に置かれている、あるいは社会的に疎外されているといった、ステークホルダーが抱く関心事や懸念点などに思いを巡らせ、心を寄せながら優先課題を決定することが望まれています。 

5.まとめ

毎年1回優先課題の見直しをはかり、常に変化を把握する。 

SDG Compassでは、本記事で紹介した優先課題を決定するための3つのアクションを、毎年1回定期的に行い、影響および優先課題の変化を把握することを推奨しています。優先課題を決定することは、SDGs実践の第一歩であると同時に、自社と社会、環境などあらゆる関係性の変化を継続的に考察し、常に更新をすべき重要なステップなのです。 

次の記事では、影響評価と導き出した優先課題を土台に、目標を設定していきます。 

>>STEP3┃目標を設定する

ステップ2のアイグッズ的ポイント

・社内の認識をそろえるためにも、まずは経営層などの意思決定者の協力が得られる体制づくりに力を入れる

・SDGsはイノベーションを起こす機会。現在の延長で施策を打つのではなく、理想の未来から逆算して施策を考える

・取り扱う社会課題が広いので、すべての課題に手を出していると、なかなか踏み出せず収拾もつかない。コアな自社課題に集中するためにも、優先順位付けが要となる。

・すべての事業の動きがわかるように、各関連部署の代表で集まりバリューチェーンマッピングを行うと、抜け漏れがない

・リスクの抽出(マイナス面)だけでなく、機会の創出(プラス面)もしっかり言語化する

・取り組み状況によって重要課題は変化していくので、定期的に見直しをはかる 

参考文献

「SDG Compass」(GRI・UNGC・WBCSD)

「はじめてのSDGs社会的インパクト・マネジメントガイド」(神奈川県政策局SDGs推進課)

「SDGs経営ガイド」(経済産業省)

・『図解入門ビジネス 最新SDGsの手法とツールがよ~くわかる本』(秀和システム)

・『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門』(技術評論社)

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