STEP5┃実効性のある報告とコミュニケーションを知り、SDGsの取り組みを広く知らせる。
2021/09/09 (更新日:2024/09/30)

SDGsへの取り組みを事業活動の1つとして継続し、拡大・強化させていくためには、実践状況の進捗、結果や今後の見通しなどについて、社内、社外のステークホルダーに対して定期的に報告し、コミュニケーションを図ることが重要です。SDG Compassにも、SDGsのターゲット12.6において、「特に大企業や多国籍企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する」と明記されています。
シリーズ「SDGs自社への落とし込み5step完全解説」では、SDG Compassの核となる5つのステップに沿って、SDGsに取り組むための方法を解説してきました。最終回となるステップ5では、ステップ4までに進めてきたようなSDGsの達成を目指した取り組み内容、進捗、結果、今後の展望などを報告、発信することの意義やその方法について紹介します。
1.報告とコミュニケーションの重要性を知る
報告とコミュニケーションの重要性やその意義について考える。

日本では、“企業秘密”という従来の概念が根強く残っている企業も多く、これまでは情報開示に対して消極的な傾向がありました。しかし、SDGs閉鎖的な社風を打ち破り、情報を開示していくことが基本的なスタイルとなります。
効果的な報告は、信頼の醸成、価値創造の促進につながること、さらには内部変革による組織発展や、持続可能な意思決定プロセスを支援するための強力なツールとなります。
また、SDGsへの取り組みの進捗を企業全体としての報告に統合することで、「企業の持続可能性」をしっかりと伝えることができ、ステークホルダーとのパートナーシップを促進することにもつながります。
ここでは、報告することの重要性と報告によって期待されるメリットを解説。また、情報開示に努める際に理解しておきたいデメリットをまとめます。
報告とコミュニケーションがもたらすメリットを享受する。
SDGsに関する報告とは、企業経営を通じて発生する環境、社会、経済への影響を、プラス面もマイナス面も含め、社内外のステークホルダーに報告することです。
ここで対象となるステークホルダーは、例えば金融関係者(投資家、債権者など)、従業員、取引先、サプライヤー、顧客や消費者、地域社会、市民団体、政府・自治体などを指します。
こういったステークホルダーに対して、SDGsのプロセスや結果、展望を効果的に報告することは、透明性を高めることにつながるため、各ステークホルダーとの信頼関係の醸成や社会的評価の向上のための手法として有効でしょう。
加えて近年は、そういった対外的な対策としてだけでなく、持続可能な意思決定のプロセスを支援し、組織発展の促進、達成度の向上につながるといった効果も期待されています。
特に、社内のスタッフに向けては、ステークホルダーとのコミュニケーションが良い意味でのプレッシャーとして働くということも考えられます。モチベーションを高め、イノベーションを促進することで、SDGsの取り組みをより良い方向へ転換させること、またSDGs達成に貢献する製品やサービスの創出につながります。
さらには、ESGへの配慮を周知することで投資を呼び込む効果が期待できるなど、多岐にわたる派生利益の戦略ツールとして捉えられているのです。
報告とコミュニケーションがもたらすデメリットを知る。
一方で、企業が発信する環境や社会に与える影響に関する情報開示が、単なる社会的責任の一環にとどまらなくなってきた昨今においては、リスクがあることもしっかりと認識しておく必要があります。
SDGsに関する情報の開示・発信をする際、過剰な表現や誇張した情報発信をしたり、不都合なことを隠して自社にとって有益な情報のみを発信したりするなど、実態が伴っていない状態を“SDGsウォッシュ”と言います。実態以上にSDGsへの貢献度を強調したり、プラスの要素ばかりを羅列したりすると、SDGsウォッシュの批判や指摘を受けるリスクがあります。正確な開示、的確な報告になるよう、しっかりと留意しましょう。
例えば、まだ取り組み実施中で結果がわからない場合などは、「こういう結果が出そう」と曖昧な表現や希望的な観測を表記するのではなく、「現時点では、調査・実施中であり、実現へ向けて取り組んでいる途中段階である」ということを、包み隠さず記載しておくことが大切です。
また、いくらSDGsに積極的に取り組んでいても、公開していない情報については行動していないとみなされてしまうので、開示しないことのマイナス面を念頭に置いておきましょう。
2.SDGsの取り組みを記録する
報告とコミュニケーションの実現に向け、取り組みの記録や評価によりプロセスを管理する。

報告やコミュニケーションを行うためには、SDGsへの取り組みに対し、日常的に記録し、成果に至るまでのプロセスをしっかり管理することが不可欠です。記録の作成や会計面からの評価など、報告やコミュニケーションをする基盤となるプロセスの管理について解説します。
SDGsの目標達成に向けた取り組みについて記録を作成し、プロセスを管理する。
報告を行うためには、成果に至るまでのプロセス、進捗をしっかりと記録し、管理しなければいけません。もちろん、記録作業自体が目的化しないように、SDGsの目標達成に向けた取り組みに役立つような内容になっているかという点をチェックしましょう。記録作業自体が効率的で、かつ後々しっかりと活用できる内容になっているか。記録方法や項目についても検証が必要です。
有効な記録を作成するためのチェックポイント
・取り組みについて5W1Hに基づいて記録できているか?
・作業負担を軽減できるよう、業務日報など既存の書式に簡単に追加できる形式になっているか?
・KPIとの関わりも捉え、取り組み結果を可能な限り数値化し、客観的に認識できるように記録しているか?
・取り組み結果から読み取れる事柄を分析し、今後に役立つよう記録しているか?
・自社以外に関与したステークホルダーや、そのステークホルダーが果たした役割も記録しているか?
SDGsの取り組みの有効性を会計面から評価し、経済性を高める。
SDGsに取り組む上で、環境や社会的な課題解決とビジネスの両立は、今や必須のタスクと言えます。そのため、SDGsを実践する上で、経済性や経営に関する影響など会計面から評価し、SDGsの取り組みの有効性を高めていく必要があります。
具体的には、第一にESG問題の抑制や解決にかかったコストを、取り組みテーマごとに集計して評価すること。第二に、ESG問題の抑制や解決にあたり、その取り組みから得られた収益、もしくは削減できたコストを取り組みテーマごとに集計して評価します。
実際の支出や収入を明確にしにくいボランティア活動などのケースでは、例えば「のべ参加人数×自社の平均日額賃金」などを計算し、その貢献度を評価します。また、SDGsの取り組みがメディアによって取り上げられた場合などは、広告料に換算してプラスの収益に組み込むなど、会計的視点から取り組みを評価する記録を残しておきましょう。このように会計面からの評価、記録を行うことで、より継続的な経済性改善の努力が可能となります。
3.効果的な報告の手順を知る
効果的な報告を行う際の手順とおさえておきたい要素。

効果的な報告を行うための基本的な手順と、おさえておきたいポイントを紹介します。また、SDGsの報告については、実に多様な枠組みがあります。その特徴を把握するためのポイントをおさえて、自社に最適な枠組みを有効活用しましょう。
SDGsの取り組みを報告する際の基本手順とは?
実際に報告を行う際の基本的な手順について紹介します。ただし、実際には手順通りにいかず、前の段階に戻ったり、同じ段階にとどまったりということもあると思います。さらに、自社ですべて行う場合と、コンサルティング会社などに依頼する場合によっても異なってくるでしょう。
ここでは一例として、実際に報告を行う際の基本手順について紹介します。
SDGsの取り組みを報告する際の基本手順
1.経営トップと連携を図り、組織体制を整える
SDGsは企業経営に大いに関係を持っていることから、全部門、グループ全体で取り組まなければなりません。そのため、会社の現状や今後の指針、展望、SDGsへの取り組み姿勢などは、経営トップの強い意思として内外へ発信する必要があるでしょう。
SDGsの担当部署と経営トップの連携を密に図り、報告の内容やその意義について意思疎通を図ることのできる組織体制が不可欠となります。
2.情報を届けたい対象、目的を明確にする
ステークホルダーごとに求める情報が異なるため、誰に向けて、どのような情報を開示し、結果として何を達成したいかを検討しなければなりません。
3.報告する媒体と報告する範囲を決める
例えば大企業では、財務情報を報告するアニュアルレポートと非財務情報を報告するサステナビリティ報告書を作成したり、それらをまとめた統合報告書を作成したりしています。中堅・中小企業は、自社のホームページやブログなど簡易な報告から始めるのも1つの方法です。
また、開示する際には、重要な項目に焦点をおくことも大切。ステップ2で抽出した優先的に取り組むべき課題や、それに対応したSDGsのターゲット群は重要な項目の1つです。報告媒体については、詳細を後述します。
4.データや必要な情報を定期的に収集する
ステップ3で選定した各指標に関する定量的および定性的データを、定期的に収集しましょう。その際、社内の各部署やグループ企業などの協力は不可欠となります。
5.最適な枠組みに基づき、報告書などを作成する
SDGsに関する報告は、できる限りすでに確立された枠組みに当てはめて進めることをおすすめします。社内外のステークホルダーとの円滑なコミュニケーションにつながるだけでなく、自社目線で作成しないことで、偏重を防ぎ、SDGsウォッシュのリスクを避けることにもつながります。
効果的な報告に求められる4つの“C”とは?
SDGsに関する取り組みについて、効果的な報告を実現するためには、4つの“C”をおさえておきましょう。
効果的な報告に求められる要素
Concise(簡潔)…優先的に取り組む最も重要な内容に焦点を当て、乱雑さと情報過多を避けた報告になっているか?
Consistent(一貫性)…パフォーマンスについて、経年の評価が可能な報告になっているか?データの本質的意味の理解とマネジメントへの活用を可能にしているか?
Current(現行・最新)…過去ではなく、現在の事業や影響、ビジネス機会の可能性についての洞察を与える有効な窓口となっているか?
Comparable(比較可能)…同業者と比較した時に、パフォーマンスを評価できる報告になっているか?それにより、企業が影響を追跡・評価し、経年で改善するための意思決定を行えるか?
さらに、可能な限り、集約されたデータと地域別のデータ、双方を公開することも求められています。
多様な報告枠組みの特徴とポイントを知る。

SDGsの報告を行う際の枠組みは多岐にわたっています。そのため、それぞれの枠組みの特徴を捉え、最適な枠組みをセレクトする必要があります。多様な枠組みについて、それぞれの特徴を紹介します。
枠組みを見極める際のポイントはココ!
SDGsの報告の枠組みを選ぶにあたっては、下記のポイントに沿って、まずは特徴を把握しましょう。
報告の枠組みを選ぶポイント
・国内企業向けに作成されたものか、国際的に参照されているものか。
・投資家など金融関係者、または投資家を含むさまざまなステークホルダーを対象とするものか。
・環境、社会、ガバナンスの全般をカバーするものか。もしくは、個別課題に特化するものか。
・報告のための詳細な規則やルールを定める「細則主義」に基づいているか。あるいは、報告のための原則や規範を示し、内容を報告主体に委ねる「原則主義」に基づいているか。
ことさら日本においては、環境報告書やCSR報告書から持続可能性に関する報告が派生、発展してきたという経緯があるため、ステークホルダー向けの情報開示が充実している傾向にあります。その分、投資家など金融関係者にとっては、情報へのニーズに適っていないという印象を受けることもあるので、注意が必要でしょう。
世界の大手企業74%が使用している枠組み、GRIスタンダードとは?
報告の枠組みについて、それぞれの特徴を把握するポイントはわかったものの、多種多様な枠組みの中から、どれを選択すれば良いのか、1つの枠組みで良いのか複数を組み合わせるべきなのかなど、頭を抱える方も多いのではないでしょうか。
SDG Compassでは、従来の報告様式や報告書を選択することも、簡潔な独立型の報告書などの作成を選択することもできるとしています。
そんな中でも、SDG Compassでは一例として、GRIをピックアップして紹介しています。迷った時には、最初の候補としてまずGRIという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
GRIとは、Global Reporting Initiative(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)の略で、企業の持続可能性に報告を提唱してきた独立の国際組織。独自の持続可能性報告基準とマルチステークホルダーのネットワークを通じて、経済と世界の持続可能性を働きかけています。
GRIが発表しているGRIスタンダードは、世界で最も広く採用されているとされる非財務報告の枠組みのこと。GRIによると、世界の大手企業の上位250社のうち、74%がGRIスタンダードを利用してサステナビリティ報告書、CSR報告書、ESGレポートなどを発表しているそうです。
SDG Compassによると、GRIは持続可能性に関する報告について、下記の10の原則を定めており、この10の原則は、企業が重要な問題に関して質の高い情報を作成する上で有益であるとしています。さらに、持続可能性報告のみならず、全般的なコミュニケーションにも有用であると推奨しています。
GRIが掲げる報告の10原則
・ステークホルダーの包含(包摂性)
・持続可能性の文脈
・マテリアリティ(重要性)
・網羅性
・バランス
・比較可能性
・正確性
・適時性
・明瞭性
・信頼性
ESG金融向けの報告のポイントと枠組みとは?
近年は特に、ESG金融が要求する情報の開示にも取り組む必要があります。ESG金融向けの情報開示では、企業自身の持続可能性が、特に重要視されます。具体的には、SDGsの取り組みが事業戦略や財務パフォーマンスに与える影響です。
ESG金融向けに情報開示を行う際に、参考になる報告枠組みとしては、下記のような枠組みが候補となります。
ESG金融向けの報告枠組み例
・国際統合報告フレームワーク
国際統合報告評議会(IIRC)によって発行された枠組みで、統合報告書を作成するためのガイダンスを提供するもの。7つの指導原則と8つの内容要素を中心に記載されている。
・価値協創ガイダンス
2017年に経済産業省によって策定された「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス-ESG・非財務情報と無形資産投資-」。企業が伝えるべき情報の全体像を体系的・統合的に整理するために活用できる。
・SASBスタンダード
SASB(サスビー)は、米国サステナビリティ会計基準審議会の略称。GRIスタンダードや国際統合報告フレームワークでは、自社でマテリアリティを特定することが求められていたのに対し、SASBスタンダードは11セクターの77業種別に、財務にとってのマテリアルな開示項目と指標を設定している。
4.最適な報告媒体を選び、報告とコミュニケーションを行う
各ステークホルダーが求める情報を発信することで、関係性を強化する。

SDGsの報告では、誰に向けて、どのような媒体を使って、どのような情報を開示するかの見極めが成功の鍵を握ります。社外のステークホルダーである投資家、ESG評価機関、行政などの情報ニーズと、従業員や労働者といった社内のステークホルダー、さらには消費者が求める情報は、主眼に置いている部分が異なります。そのため、各ステークスホルダーの特性を踏まえ、確実に情報が届く発信方法を選択しましょう。
金融関係者には、有価証券報告書やアニュアルレポートで課題と戦略を発信。
SDGsにまつわる企業による情報発信は、ESG投資への対応という意味合いも強くなりつつあります。
企業による報告の1つに、会社法や金融商品取引法に基づく事業報告書や有価証券報告書、証券取引所規則などの上場規制に基づく決算短信など、財務情報に関する報告があります。
ESG投資にまつわる情報へのニーズが高まる中、有価証券報告書のように、財務情報を中心にまとめてきた報告書においても、持続可能性、SDGsにまつわる記載が多く見られるようになっています。
また、過去や直近の業績、財務状況のみならず、SDGsの実現へ向けての組織体制や、長期的な収益性を評価するための非財務情報も重視されるようになってきています。
外部のステークホルダーには、CSR報告書や環境報告書で進捗や成果を紹介。
財務情報に関する報告のほかに、経営戦略や経営課題、長期ビジョン、ガバナンス、SDGsを含む環境・社会の持続可能性に関する情報など、非財務情報に区分される報告もあります。
金融関係者以外の、さまざまな外部のステークホルダーに対しては、企業が自主的に作成するアニュアルレポートやサステナビリティ報告書、CSR報告書などに、SDGsならびに持続可能性に関する取り組みの成果や進捗状況といった情報を盛り込むケースが多く見られます。
また、環境省主催のステークホルダーズ・ミーティングやSDGs関連のシンポジウム、セミナーなどで、自社の取り組み状況を対外的に発表する、営業用のパンフレットにSDGsに関する活動レポートを掲載するなど、さまざまな方法で外部とコミュニケーションを図る例も増えています。
消費者には、自社サイトやSNS、製品・サービス表示でリアルタイムに活動内容をPR。
上記のようなレポートの作成や書面にするためには、時間がかかってしまうこともあります。そのため、リアルタイムの実践や最新の活動内容については、企業独自のウェブサイトやSNSなど、レポート以外のメディアを活用して、地道な広報活動を続けていきましょう。気軽にアクセスできる媒体を活用し、消費者を中心とした社会全体に向けて、活動内容を日常的に見せていくことも効果的です。
また、新製品の発売時などをきっかけに、店舗のポップやチラシなど、広く目に留まるような販促ツールを通じた発信も同時に進めると良いでしょう。こういった消費活動に近い所でのPR、広報活動は、エシカル消費の促進にもつながります。
5.継続的な取り組みにするため、社内共有の方法を工夫する
継続の鍵は、社内での情報共有! SDGsの取り組みを社内で透明化する。

これまで対社外に関する報告の方法を説明してきましたが、社内への報告・共有もSDGsの持続的な取り組みにおいて重要項目となるので、最後に解説します。
例えば一時的な寄付のように、従来のボランティア的な要素の強い活動の中には、持続可能という概念にあてはまらない活動も多くありました。SDGsの考え方にのっとり、事業モデルを変革し、企業体制の根本的な部分から軌道修正していくことで、初めて継続的な取り組みとなるのです。
SDGsの取り組みを持続可能な取り組みにするためには、先述したさまざまな社外のステークホルダーや消費者への情報発信、報告、コミュニケーションに加え、社内でのモチベーションの維持が最大の鍵になります。
下記のような方法で、SDGsのプロセス、進捗状況、成果などを機会のあるごとに社員への“見せる化”を続けることで、取り組みへの一体感が生まれ、共通言語として根付いていくことにつながるでしょう。
社員へ対する報告スタイルの基本的な考え方
・朝礼や経営報告会、全社会議など、全社員が集まる機会を活用し、実践状況を共有する。
・部門会議や部門間の会合(リアル会議、オンライン会議)などを通じて、日常的に実践状況を共有する。
・社内報をはじめとしたメディア、資料、オンライン上のレポートなどを活用し、定期的に、社内に向けて実践状況を発信する。
・日報やグループウェアを日常的に更新し、目に留まるメディアを通じて日々のリアルな進捗状況を報告する。
このように社員に対してSDGs報告を行うことは、会社の存在意義や一人ひとりの役割に関する理解、SDGsへの意識を高めることにつながり、ひいては情熱を持って働くことにもつながります。
6.まとめ
継続的な報告とコミュニケーションで価値創造につなげる。
どれだけSDGsに対して積極的に良い取り組みを行っていたとしても、それを報告という形で“見せる化”しなければ、世の中にとっては何もしていないのと同じことです。“見せる化”に取り組むことは、企業が社会から選ばれる力を高めることに直結します。
社内外へ向けて、SDGsに関する取り組みを報告するためには、実践内容を有効な形で記録し、記録をもとに振り返り、アピールポイントを整理することが第一歩です。
その上で、誰に向けて、どのような媒体を使い、どういった情報に重点を置いて発信するのかを検討し、報告を続けましょう。検証し、実践し、報告する。その一連の流れを継続し、何度も繰り返すことで、SDGsという共通言語のもとにコミュニケーションが生まれ、新たな価値創造につながるのです。
ステップ5のアイグッズ的ポイント
・SDGsは、積極的に情報を開示していくことに重きを置いている。“企業秘密”に象徴される、従来の日本の閉鎖的な概念を払拭していくことが必要
・簡潔、一貫性、現行・最新、比較可能という4つの要素をおさえた効果的な報告で透明性を高め、ステークホルダーとの信頼を醸成する
・逆に報告を怠ったり、良い内容ばかりに偏った報告をしたりすると、企業自体の信頼を失い、ビジネスチャンスを逃す可能性も
・継続的な取り組みは、社内広報と共有が肝要! 社外的な発信のほか社内共有にも力を入れよう
・情報ニーズに合わせた報告内容とコミュニケーション方法で、ステークホルダーから選ばれる企業に
参考文献
・「SDG Compass」(GRI・UNGC・WBCSD)
・「すべての企業が持続的に発展するために-持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド-[第2版]」(環境省)
・「SDGsコミュニケーションガイド」(電通SDGsプロジェクト)
・『図解入門ビジネス 最新SDGsの手法とツールがよ~くわかる本』(秀和システム)
・『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門』(技術評論社)
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