サステナブル生地

「ウォッシャブルペーパー」とは?植物由来の洗えるクラフト紙で、SDGsに貢献

2021/09/09 (更新日:2021/11/29)

紙ならではの上品な質感を演出できる「ウォッシャブルペーパー」。型崩れしにくく、丸洗いもできることから、バッグやポーチ、ケース、帽子、服など、さまざまなグッズの素材に使われています。

また植物由来の原料を使うため、リサイクル&生分解が可能というサステナブルな一面も。SDGs達成を目指す社会のなかで、温室効果ガスの排出が少ない低炭素系エコ素材としても注目を集めています。

今回は、そんなウォッシャブルペーパーについて解説していきます。

1.紙なのに丸洗いできるサステナブル素材。ウォッシャブルペーパーの特徴

ウォッシャブルペーパーは紙でありながら、名前の通り、「洗える」のが最大の特徴です。

また、見た目はクラフト紙のようですが、布のように針と糸を通せるのもポイント。縫製できるので、バッグやポーチなどさまざまなグッズを作ることができます。さらに詳しく紹介していきましょう。

洗えて繰り返し使える、エコなクラフト紙

ウォッシャブルペーパーはクラフト紙の一種です。一般的なクラフト紙とはパルプを原料とする紙で、強度は高めながら水には弱い素材です。一方、ウォッシャブルペーパーは水に濡れても型崩れしにくく、破れにくい性質。クラフト紙でありながら水に強い、というのがウォッシャブルペーパー最大の持ち味です。

ウォッシャブルペーパー製のグッズは、その仕様にもよりますが、手洗いなどで丸洗いすることが可能になります。洗って乾かして繰り返し使える、サステナブルなグッズに仕上げることができます。

縫製できて、高級感も! バッグやポーチの素材にぴったり

もうひとつ、ウォッシャブルペーパーのユニークな点は、縫製ができることです。ただ、これまでにも紙のような素材でありながら縫製できるものとして、洗える紙「耐洗紙」や、使い捨てマスク素材でおなじみの「不織布」などがありました。こうした素材とはどう違うのでしょうか。

一番のポイントは、ウォッシャブルペーパーがより紙らしい質感を持っていることでしょう。見た目は、クラフト紙ならではの温もりとハリがある質感。シワができることで、レザーのような高級感も漂います。「紙なのに洗える」、「紙なのに縫製できる」という驚きと、高級感。こうしたことが、ユニークなグッズを作りたいという需要にも応えられる魅力となっています。

また、グッズ素材にウォッシャブルペーパーが選ばれる時には、原料が天然成分である、という点がポイントになることも。続けて見ていきましょう。

2.ウォッシャブルペーパーの生産工程とサステナブルなポイント

パルプ(セルロース)の製造工程 作成:アイグッズ

ウォッシャブルペーパーがサステナブル素材と言われる理由は、生産時に使われる原料にもあります。その原料とは、植物由来の「セルロース」。セルロースは、脱炭素社会を支えるエコ素材のひとつで、SDGsにも貢献できるとあって注目度がますます高まっています。

サステナブルな天然成分、セルロースが主原料

セルロースとは、植物の細胞壁の主成分。セルロースがつながった「セルロース繊維(セルロースファイバー)」で、古くから紙、綿の原料として利用されてきました。ウォッシャブルペーパーは、そんなセルロース繊維からできています。なお、木材から余分な部分を取り除いて、「セルロース」だけにしたものを「パルプ」と呼びます。

セルロースは、古紙や間伐材からも化学的・機械的処理によって取り出すことができます。古紙のリサイクルや木材資源の有効活用ができるうえに、生分解によって「土に還る」ことが可能です。そのため、セルロースで作られるウォッシャブルペーパーは、環境負荷が少ない素材と言えます。

脱炭素系の素材を選ぶことで、SDGsへ貢献

SDGs達成に向けて、日本でも、温室効果ガスの削減を目指す動きが活発になっています。素材選びにおいても、プラスチックの代替材料として、製造過程でCO2の排出が低い素材を選ぶ企業が増えているようです。

その低炭素系素材のひとつが、「セルロースナノファイバー」です。これはセルロースを微細化して繊維にしたもの。生物由来のバイオマス素材であることと、さらに、高強度で軽いことから、環境省などが各分野での利用を推進中です。

とりわけ、大量のグッズ製作などを行うときには、そのようなセルロースを原料とするウォッシャブルペーパーを素材に選ぶことで、SDGsへ貢献できると言えそうです。

3.ウォッシャブルペーパーのメリット・デメリットとは

ほかにも、実際にウォッシャブルペーパーでグッズ製作を行うにあたって、知っておきたいことがいくつかあります。メリット、デメリットのそれぞれを紹介しましょう。

メリットは、グッズ製作にぴったりな高級感とSDGsへの貢献度

洗える、縫製ができる、高級感がある、という特徴のほかにも、ウォッシャブルペーパーには魅力がたくさん。バッグ、ポーチ、手帳カバーなどさまざまなグッズの素材に適しています。

ウォッシャブルペーパーのメリット

紙らしい上品な質感

ハリがあって、レザーのような高級感がある

縫製できる

丸洗いできて破れにくい

ほつれない

SDGsに貢献するサステナブルな素材

ウォッシャブルペーパーは縫製する際、切りっぱなしでもほつれにくいのがメリット。ハリがあるので、形状キープもスムーズです。例えばペンケースなら、持ち歩く時は畳み、使う時には卓上で立たせる、といった造りにするなど、仕様やデザインの幅が広がります。

また、SDGsに貢献できる素材であるのも大きな魅力。過去には、アイグッズの開発事例として、“地球や人を大切にする”という想いを持つライフスタイルブランド様のノベルティグッズとして、エコバッグやポーチを製作したことも。ブランドの想いをさり気なく伝えるグッズとして好評を得ました。

グッズ製作上のデメリットは、コストと色ブレ

ウォッシャブルペーパーの生地は主に、アメリカ合衆国かドイツからの輸入品を使用しています。高級感や強度を備えているのは魅力ですが、ポリエステルなどに比べて生地単価が高いと感じられるかもしれません。今後、ウォッシャブルペーパーが普及するにつれ、少しずつ生地単価が下がることが期待されます。

また、紙ならではの特徴として、色ブレが起きやすいという面があります。アイロンをかけることも難しく、一度ついたシワは基本的には消えないのがデメリットです。色ブレや、経年劣化でできるシワを「味わい深さ」として生かす工夫が求められるかもしれません。

4.ウォッシャブルペーパーにぴったりなおすすめグッズ

ウォッシャブルペーパーは、適度なしわ感のある優しい風合いが魅力。ほかの生地で代替しようとしても、同じような仕上がりを演出するのは難しいでしょう。そのため、グッズの質がブランドイメージに直結する、アパレル業界でとくに注目を集めています。

例えばバッグやポーチ、手帳カバーはもちろん、広い範囲の縫製品でおしゃれに見せたい時にウォッシャブルペーパーを採用するのがおすすめ。お買い上げ金額に応じてお客様にお渡しするノベルティや、雑誌の付録として販売するアイテムなど、グッズを通して自社ブランドのイメージを伝えたいときに活用すると良いでしょう。

5.多彩なグッズに応用できるウォッシャブルペーパー。SDGsに貢献するサステナブルなアイテムに!

紙でありながら丸洗いでき、縫製ができて、高級感もしっかり。紙だからこそ、上品な質感やハリ、があり、切りっぱなしなどのデザインも思いのまま。

そんなウォッシャブルペーパーは、バッグやポーチなど、幅広いグッズの素材に適する自由度の高い素材です。これまでになかった斬新なデザインのグッズを生み出す可能性も秘めています。

また、植物由来の原料から作られ、サステナブルな素材であるのも魅力。SDGsへ取り組む企業活動の一環として、次なるアイテム・グッズの開発時には、ウォッシャブルペーパーの使用を検討してみてはいかがでしょうか。

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