不織布とは?原料やメリット・デメリットを踏まえてどんな布かを徹底解説

2025/02/17

不織布とは?原料やメリット・デメリットを踏まえてどんな布かを徹底解説

暮らしの身近なところで活用されている不織布。誰でも一度はその名前を耳にしたことがあるでしょう。しかし実際に使ったことはあっても、その特徴や性質をよくご存じない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、不織布とはどのような布なのかを分かりやすく解説します。原料による違いやメリット・デメリット、よくある用途も紹介しますので、グッズ制作の参考になれば幸いです。

1.不織布とは

不織布とは

まず、不織布の特徴や名前の由来、種類とその違いを説明します。

不織布の特徴

「不織布(読み方:ふしょくふ)」とは、繊維同士を重ねて熱や水圧、接着剤などでくっつけ、シート状にした素材です。英語表記「non-woven fabric」から分かるとおり、一般的な布のように製造過程で織る工程がないことから、その名前が付けられました。

一般的な織物や編物が碁盤の目のように規則正しく並んでいるのに対し、不織布はワタのように縦横無尽になっているイメージです。繊維の隙間が大きいため非常に通気性・ろ過性がよく、吸水性や保湿・保温性にも優れます

なお不織布は一見すると紙のようにも見えるものの、両者は異なる素材です。紙と同じ原料から作られる不織布もありますが、製造方法や廃棄方法が違います。

不織布の由来

最初に不織布が開発されたのは、20世紀初頭のドイツです。紡績工場から出た紡毛糸や毛くずを接着剤でくっつけ、フェルトの代用品として販売したのが始まりだといわれています。

その後、不織布は世界中に普及。1950年代ごろアメリカを通して日本にも技術が伝わり、日本でも製造され始めました。

不織布の種類

不織布には、大きく分けて次の2種類があります。

  • 乾式不織布
  • 湿式不織布

乾式不織布は、わた状にした繊維を乾いたままシート化した素材です。なお、アメリカから日本に最初に持ち込まれた機械は「乾式不織布」の製造機であり、現在でもほとんどの不織布が乾式で作られています。

一方、湿式不織布は成形に水を使う「紙すき」とよく似た製法で作られるため、均一でムラの少ない生地です。異種素材の繊維を任意の割合で混ぜ合わせられるので、組み合わせ次第でさまざまな機能が付与できます。

2.不織布の原料となる素材

不織布の原料となる素材

不織布の原料は、天然素材・合成繊維など多種多様。主な原料として挙げられるのは、次の11点です。

不織布の原料特徴
コットン(綿)ガーゼのようなやさしい触感
パルプ(木材)薄く柔らかでパリッとした触感
ウール(羊毛)厚めで毛羽立ちがある触感
バンブーファイバー(竹)抗菌・消臭効果に優れる
ポリエステル(PET)吸水性は劣るが高強度かつプリント・染色しやすい
ポリエチレン(PE)耐油・耐薬性に優れ成形しやすい
ポリプロピレン(PP)軽量で耐久性・防水性に優れる
レーヨン(再生繊維)薄く光沢のあるサラッとした触感
ナイロン(ポリアミド)抜群の強度で高級感のある質感
ビニロン(PVA)耐水性・耐候性に優れる
ポリ乳酸(PLA)植物由来で土に還る環境にやさしいプラスチック

一口に不織布といっても、原料によって質感や機能が異なるため、用途に応じて使い分けることが大切です。

3.不織布の5つのメリット

不織布の5つのメリット

続いて、不織布の主なメリットを5つ紹介します。

加工のバリエーションが多い

不織布にはさまざまな原材料や製法があり、複数の素材の組み合わせもOKです。組み合わせ方によって厚み・強度や機能、質感が自在に調整できます。布状をはじめとし、レザー調やワタ、ペーパー状にも加工可能。生分解性の素材の不織布をグッズ制作に用いれば、環境配慮の姿勢もアピールできるでしょう。

単価が安い

不織布は繊維を織ったり編んだりする工程がない分、一般的な布より単価が安い傾向にあります。そのため大量生産に向いており、ノベルティやばらまき用のグッズ制作の生地にもおすすめです。

寸法安定性に優れる

不織布は、繊維の方向が一方向もしくはランダムに結合されていることから、寸法安定性のよい素材です。なお「寸法安定性」とは、環境や科学的な変化による素材寸法の変化の度合いを指します。使用・着用や洗濯などをくり返しても、膨張・収縮および型崩れが起こる心配がありません。

ほつれない

不織布は、その名のとおり糸を織っているわけではないため、引っ張ったり引っかけたりしてもほつれません。裁断した部分を後処理する必要もなく、破れた部分から糸が解けていく心配も不要です。

環境にやさしい

不織布は、織物の製造過程で出るごみをリサイクルしたサステナブルな素材です。使い終わった後も廃棄するだけではなく、分解・繊維化して再利用できるため、リサイクルの循環が作れます。

4.不織布の2つのデメリット

不織布の2つのデメリット

安価で加工しやすく、環境にもやさしいなどメリット尽くしの不織布。しかしその一方で、次の2点に注意しなければなりません。

強度が弱い

不織布は繊維同士をくっつけているだけの素材なので、織っている布よりも強度が弱い傾向にあります。シワにもなりやすいため、保管の際には注意が必要です。強度を高めるためには、樹脂やラミネートで加工するなどの工夫を施すことをおすすめします。

リユースには向かない

不織布は基本的に洗濯・アイロン不可のため、くり返しの利用には向きません。使い方にもよりますが、使い捨てもしくは数回程度の使用を想定したグッズの素材に適しています。どうしても汚れを落としたいときは、乾拭きまたは固く絞った布で拭き取るか、狭い範囲なら部分洗いしてしっかり水分を取りましょう。

5.不織布の主な用途

不織布の主な用途

不織布の代表的な使用例としては、次のグッズが挙げられます。

マスク・衛生用品

マスク・衛生用品

機能性に優れる不織布は、ウェットティッシュや生理用品、オムツのほか、マスクなどの衛生用品にぴったり。飛沫の防護効果が布やウレタン製のマスクより高く、通気性がよいので呼吸も妨げません。また、さまざまな形状・カラーにできるため、工夫次第でファッション性も付与できます。

ペーパータオル

ペーパータオル

不織布は、その軽さと吸水性を活かし、ペーパータオルの素材に用いられています。一般的な紙より丈夫で、複数回拭いても簡単には破れません。

トートバッグ

安価で軽量な不織布製トートバッグは、使い捨てや配布用のバッグに最適。説明会や展示会の資料を入れるバッグ、ノベルティのほか、ラッピング用の資材としてもおすすめです。

SUSPRO制作事例:SUS Recycled Non-woven Bag (不織布再利用 バッグ)

再生不織布を使用した、環境に優しいトートバッグ。カラーは淡色4色、定番3色の全7色展開です。説明会・展示会で使用される配布用バッグや、ホテル・旅館のランドリーバッグなどとしてよく選ばれており、手軽にエコが訴求できる商品として好評を博しています。

SUS Recycled Non-woven Bag 不織布再利用 バッグ

ポーチ・巾着

ポーチ・巾着

ほどよい柔らかさと厚みのある不織布は、ポーチや巾着の生地にぴったり。通気性が抜群で薬品にも強く、湿気もこもらないので、コスメ・衛生用品やバスグッズ入れにも最適です。

スーツカバー

スーツカバー

不織布は、通気性・吸湿性がよくサラッとしてほかの素材とくっつきにくい特性を活かし、スーツカバーによく使用されています。大量生産しても安価で済むため、ホテル・旅館の客室に設置する使い捨てスーツカバーにもおすすめです。

ティーバッグ・コーヒーフィルター

ティーバッグ・コーヒーフィルター

水分の透過性がよく、分子の大きなものは通さない不織布は、ろ過・抽出する用途にも最適。ティーバッグやコーヒーフィルターなど、ドリンクのドリップ用の資材として活用されています。

アパレルグッズ

不織布は衣類そのものに持ちいられることは少ないものの、ほかの生地と組み合わせて機能性アップに貢献しています。具体例は、内側の芯地やジャケットなどの中綿、スーツの肩パッドやブラジャーのカップなど。そのほか、ホテル・旅館のアメニティである使い捨てスリッパやシャンプーハットなどにも使用されます。

SUSPRO制作事例:SUS Non-woven Slippers (不織布スリッパ)

不織布を使用した使い捨てスリッパです。ソールにしっかりと厚みがあるにもかかわらず非常に軽量で、履き心地もよいため、館内のあらゆる場所で使用できるとよく喜びの声が寄せられています。また不織布のためほつれず、引っかかって転ぶ心配もありません。

SUS Non-woven Slippers 不織布スリッパ

医療用グッズ

医療用グッズ

軽くソフトな触り心地で単価の安い不織布は、医療用のグッズの素材にも最適。ガーゼや手術着・手術帽など、使い捨てを想定したグッズによく用いられます。

建材・土木用品

建材・土木用品

建材・土木用品には、耐候性の高い化学繊維由来の不織布が人気です。吸水性を活かしたろ過シートや防結露シートのほか、水分を通さない厚手素材の不織布は防水・防音にも活用されています。

6.機能的で多用途な不織布をグッズ制作に活用しよう!

不織布は、普段の生活からビジネス、非日常の宿泊施設まで、あらゆるシーンで大活躍の素材です。原料によって触感や機能が異なるため、それぞれの特徴や違いを理解したうえでグッズ制作を行いましょう。

SUSPRO」では、不織布グッズやアメニティ・客室備品の制作に関するご相談を承ります。用途やニーズに最適な素材の提案から制作、納品まで、グッズ制作のプロとしてワンストップで徹底サポート。ご注文や制作に関する疑問・質問は、問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

SUSPRO編集部

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

多様な企業様の販売品・ノベルティを制作しているグッズの企画・営業担当。企画から納品まで一気通貫で担う中で、特にエコ素材に関する知識や取り扱い方法・トレンドなどに精通しています。

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

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