パルプモールド梱包で実現する、サステナブルなブランド戦略。メリット・デメリットから成功事例まで徹底解説

2025/09/01

パルプモールド梱包で実現する、サステナブルなブランド戦略。メリット・デメリットから成功事例まで徹底解説

世界的な課題であるプラスチックごみ問題が深刻化する昨今、多くの企業が「脱プラスチック」を重要な経営課題と捉えています。その中で、環境配慮と優れた機能性、そしてブランド価値を向上する素材として、現在「パルプモールド」が大きな注目を集めています。
本記事では、パルプモールドの基礎知識から具体的なメリット・デメリット、コストの課題、そして制作事例まで、導入検討に必要な情報を徹底解説します。

1.パルプモールドとは?

パルプモールドとは?

パルプモールドとは、新聞紙や段ボールなどの古紙を主原料とした、環境に優しい成形素材です。原料を水に溶かし、金型を使って立体的な形状に抄き上げた後、乾燥させて作られます。

軽量ながら優れた緩衝性を持ち、製品の形に合わせた自由な設計が可能です。リサイクルや自然分解ができるため、プラスチック製の梱包材やトレーに代わるサステナブルな素材として、家電から化粧品まで幅広い分野で、活用され始めています。

パルプモールドの製造方法

パルプモールドの製造方法

パルプモールドは、紙由来の再生資源を活用し、以下の4つのプロセスを経て成形されます。

  1. パルプの生成
    古紙や段ボールを細かく粉砕し、水と混ぜ合わせて繊維状のパルプを生成します。
  2. 成形
    専用の型にパルプを注ぎ込み、真空によって水分を除去しながら形状を整えます。
  3. 乾燥
    オーブンなどで加熱し、または自然乾燥により水分を飛ばして耐久性を高めます。
  4. 仕上げ加工
    表面を滑らかに整え、必要に応じてロゴ刻印やプリント、コーティングを施します。

これらの工程では古紙やダンボールなどの再生素材を用い、化学薬品の使用を極力抑えて製造できる点が特徴です。環境負荷を最小限にしながら、多様な設計ニーズに対応できる柔軟さがパルプモールドの強みといえます。

2.パルプモールドが注目される理由

パルプモールドが改めて注目される理由には、加工の自由度が広がったことにあります。近年の成形技術の向上により、かつては難しかった複雑な形状やシャープなエッジ、表面の滑らかな仕上げが可能になりました。

環境配慮という条件を満たしながら、ブランド価値を高める高いデザイン性をも両立できる実用的な素材へ進化したこと。それが、パルプモールドが今、改めて選ばれている理由です。

3.パルプモールド梱包のメリット・デメリットを徹底比較

パルプモールド梱包のメリット・デメリットを徹底比較

環境に優しく、加工しやすい利点を持つパルプモールドですが、導入を検討する上では、その特性を多面的に理解しておくことが不可欠です。ここでは、具体的なメリットと考慮すべきデメリットの両面から詳しく見ていきましょう。

【メリット1】自由な設計でブランド価値を高める

パルプモールドの大きな魅力は、その成形自由度の高さにあります。製品の形状にぴったりとフィットする複雑なデザインはもちろん、表面に企業のロゴやメッセージを刻印(デボス加工)することも可能です。さらに、赤や緑、黄色といったカラフルな着色もできるため、パッケージそのものが持つ独特の風合いと、オリジナリティあふれるデザインが組み合わさることで、他社製品との差別化を図り、企業独自の世界観を効果的に演出できます。

【メリット2】環境配慮で企業イメージを向上

パルプモールドは、古紙を100%原料にできるため、持続可能な資源活用を体現する素材です。環境に配慮した素材を梱包に採用することは、企業のSDGsへの取り組みを消費者に直接アピールする絶好の機会となります。環境意識の高い顧客からの共感を獲得し、企業全体のブランドイメージ向上に大きく貢献することでしょう。

【メリット3】比較的軽量かつ高い強度で製品を保護

「紙製」と聞くと強度が心配になるかもしれませんが、パルプモールドは立体的な構造設計により、衝撃をしっかり吸収する高い緩衝性を備えています。製品の形状に合わせて精密に成形することで、輸送中の衝撃や振動から大切な製品を保護します。

【デメリット】金型の初期費用と小ロットの課題

一方で、オリジナルの形状でパルプモールドを製造するには、専用の「金型」が必要となり、その初期費用が発生します。この金型費用は特に生産量が少ない場合、製品一つあたりのコストを押し上げる要因になり得ます。そのため、従来は大量生産品でなければ採算が合わず、小ロットでの導入は難しいとされてきました。この点が、多くの企業にとって大きな障壁となりうるため、製造したい金型と費用を製造メーカに事前に相談するようにしましょう。

【番外編】SUSPRO調査隊が営業担当に聞いてみた!パルプモールド梱包に関するインタビュー

ここでは、生活家電向けにパルプモールド梱包材の案件を担当した営業スタッフI.Mに、企画から設計までの裏側をインタビュー!

I.Mはフルオーダーグッズの制作を担当しており、素材選定から設計サポートまで幅広い知識を持つスタッフです。今回は「耐久性を確保しながらも環境配慮を実現する」パルプモールド梱包の案件を深掘りします。

そもそも、この案件でパルプモールドを提案することになった経緯はなんですか?

お客様から「環境にやさしい梱包を検討したいが、耐久面も重視したい」というご要望があったのがきっかけです。製品は家庭用ドライヤーやアイロンといった生活家電で、精密さと強度が求められるため、プラスチックからの切り替えには慎重さが必要でした。そこで、強度とデザイン性を兼ね備えたパルプモールドを提案しました。

設計の段階で工夫したポイントは?

お客様が希望する製品サイズや重量、輸送条件に合わせて、緩衝性を確保できるような形状設計を意識しました。例えば、重たいモーター部分と軽い持ち手部分が輸送中に動いてぶつからないよう、それぞれをぴったりと固定する窪みを設計し、破損リスクを最低限に抑えるように工夫しました。

破損リスクを最低限に抑えるように工夫

特に大変だった点はありましたか?

1番の課題は「デザインとコストのバランス」でした。形状の自由度やコスト面を重視し、内側のパルプモールドは海外工場で生産。一方、外側のパッケージは販売用ということもあり、鮮やかな色合いや繊細な印刷が求められました。そのため、印刷に強みを持つ国内の化粧箱工場で制作しました。このように国内外の工場を使い分けることで、コストを優先しつつ、他社と差別化できるデザインを担保しました。

今後、パルプモールドを導入検討している企業へ一言お願いします。

パルプモールドは、環境配慮と耐久性を両立できる梱包材として、汎用性が高い素材です。とくにエコブランディングを重視するブランドにとっては、ただの梱包を超えて「企業の姿勢を伝えるツール」となり得ます。SUSPROでは、設計から量産まで一貫してサポートしますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

4.パルプモールド導入で失敗しないための製造パートナー選び

パルプモールド導入で失敗しないための製造パートナー選び

パルプモールドの導入効果を最大化するには、信頼できる製造パートナーとの連携が欠かせません。数あるメーカーの中から、自社に最適な一社を見つけ出すために、以下の3つのポイントを確認することをお勧めします。

グローバルな生産体制による、安定した品質と供給

パルプモールドの生産は、国内・海外に様々な拠点があります。重要なのは、どの国で生産するかではなく、顧客の求めるレベルに合わせた品質管理が徹底され、安定した供給体制が構築されているかです。プロジェクトの規模や求めるコスト、納期に応じて適切な梱包材を提案できるパートナーを選ぶことが、事業リスクを低減し、安定した製品供給を実現する鍵となります。

大ロット生産の課題を解決する「倉庫保管・分納納品」

パルプモールドの単価を抑えるには大ロット発注が有効ですが、一方で「大量の在庫をどこに保管するか」という課題が生まれます。そのため、製造パートナーの倉庫保管・分割納品の体制の有無も重要です。必要な時に必要な分だけ納品を受けられるため、保管コストや管理の手間なく、価格メリットと安定供給の両立が可能になります。

オリジナル設計の実績と、それを形にする提案力

成形の自由度が高いパルプモールドだからこそ、パートナー選びではオリジナル実績の豊富さが重要になります。これまでの成功事例や失敗事例から得た知見をもとに、緩衝設計、デザインのバランスが取れた最適な提案をしてくれるメーカーを選びましょう。漠然としたイメージしかなくても、それを具体的な形にしてくれるパートナーこそ、成功への近道といえるでしょう。

オリジナル設計の実績と、それを形にする提案力

成形の自由度が高いパルプモールドだからこそ、パートナー選びではオリジナル実績の豊富さが重要になります。これまでの成功事例や失敗事例から得た知見をもとに、緩衝設計、デザインのバランスが取れた最適な提案をしてくれるメーカーを選びましょう。漠然としたイメージしかなくても、それを具体的な形にしてくれるパートナーこそ、成功への近道といえるでしょう。

5.パルプモールド梱包で、持続可能な未来とブランド価値を両立

本記事では、梱包材としてのパルプモールドの可能性について、メリット・デメリットから具体的な事例、パートナー選びのポイントまでを解説しました。

パルプモールド梱包への切り替えは、もはや単なる環境問題への対応策ではありません。それは企業の姿勢を社会に示し、顧客との新たな関係性を築くための一手です。製品の保護という基本的な役割を超え、ブランド価値を高め、持続可能な社会の実現に貢献する。そんなパルプモールドで梱包制作をしてみてはいかがでしょうか。

SUSPROでは、お客様一社一社の課題に真摯に向き合い、最適なパルプモールド梱包をご提案します。設計から製造まで一貫してサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

SUSPRO編集部

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

多様な企業様の販売品・ノベルティを制作しているグッズの企画・営業担当。企画から納品まで一気通貫で担う中で、特にエコ素材に関する知識や取り扱い方法・トレンドなどに精通しています。

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

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