サステナブル生地

「再生ポリエステル」とは?海洋ごみの削減や脱炭素化でSDGsに貢献できる、循環型のペットボトル再生素材

2021/10/08 (更新日:2021/11/29)

衣類やインテリア雑貨などで使われる「ポリエステル」。ポリエステルには多くの種類があり、各業界で利用されています。とりわけ、合成繊維の材料としては安価に手に入ることから、世界中で普及してきました。

ポリエステルを繊維化して「ポリエステル繊維」にするときには、「ポリエチレンテレフタラート(PET)」という物質を原料にします。このPET(ペット)は、ペットボトルの原料と同じ。この仕組みを活用し、廃棄されるペットボトルをリサイクルすることで生まれるのが「再生ポリエステル」です。

ペットボトルの不法投棄などによる海洋汚染が問題となる昨今。さらにポリエステルの製造・廃棄で発生する二酸化炭素の排出も削減できることから、再生ポリエステルの生産は、SDGs活動への取り組みに生かされています。

今回は、そんな再生ポリエステルの特徴やリサイクルの流れ、地球環境に与える影響について解説していきます。

1.機能的で軽い生地が作れるサステナブル素材。再生ポリエステルの特徴

再生ポリエステルは、ペットボトルを原料とする再生素材です。これを繊維化する「再生ポリエステル繊維」は、衣類やインテリア雑貨の生地などに多く利用されています。

では、再生ポリエステルの特性やコスト面について、詳しく見ていきましょう。

再生素材でも、一般的なポリエステル繊維と同様に軽くて丈夫

通常のポリエステル繊維と同様に、型崩れしにくい、シワになりにくい、耐久性が高いといった特徴を持ちます。さらに軽量で、伸縮性や速乾性が高いので、衣類やエコバッグ、シューズ、ポーチの生地などに広く利用できます。

例えば『ユニクロ』では、資源の有効利用を促進するため、2020年シーズンの新商品となったフリースやポロシャツの素材の一部に再生ポリエステルが含まれています。また、『ナイキ』や『アディダス』といったスポーツブランドでも、海洋ごみの削減を目指し、トレーニングウェアやランニングシューズのソール部分などに再生ポリエステルを多用。

こうしてSDGsへの注目度の高まりと同時に、アパレル業界でも積極的に再生ポリエステルが導入されるようになっています。

サステナブル素材のなかでは安価。シルクのような高級感も

サステナブル素材は、生産工程や原料によってやむを得ず高価になってしまうことがありますが、再生ポリエステルはペットボトルを原料とするため、比較的安価です。

一方で、高級感のある雰囲気が演出できるのも良いところ。シルクのような光沢感を持たせることも可能です。肌触りのなめらかさはシルクには及ばないものの、低コストで高級感のあるグッズや衣類を作りたいときなどに重宝する素材と言えそうです。

2.再生ポリエステルの生産工程とサステナブルなポイント

再生ポリエステルの生産工程 作成:アイグッズ

再生ポリエステルは、ペットボトルを回収して粉砕し、糸や繊維として再生することで生地にしていきます。こうしてペットボトルを再生素材としてリサイクルすることにより、海洋ごみの削減、脱炭素化といった地球環境への負荷が期待されています。

具体的にどのようにSDGsに貢献できるのか、再生ポリエステルのサステナブルなポイントを見ていきましょう。

海洋ごみを増やさない。ペットボトルの再利用でSDGsに貢献

一般社団法人プラスチック循環利用協会が発表した「プラスチックリサイクル基礎知識2020」によると、ペットボトルはプラスチックごみの約23%を占めるもの。そのプラスチックごみは、海洋汚染の原因としてSDGsの観点からも世界的に問題視されています。

海の生態系へ悪影響を及ぼす問題では、不法投棄されたプラスチックごみが海に流れ着き、魚や海鳥が飲み込んで苦しんでしまう悲しい出来事が世界各地で起こっています。

さらに、海に流れ着いたプラスチックは波の影響で粒子化されます。直径5mm以下の「マイクロプラスチック」となると、それ以上は自然分解されず、数百年間以上も自然界に残ると言われています。堆積したマイクロプラスチックは有害物質が吸着していることも。これが飲料水や食塩などに含まれている可能性が指摘されているのです。

そのような「ごみ」になりうるペットボトルを回収し、再生素材にすることは、環境保全に少なからず貢献できると言えるでしょう。

環境に負荷をかけない原料で、脱炭素化を目指す

製造や廃棄の過程において脱炭素化に貢献できるのも、再生ポリエステルのサステナブルなポイントです。

通常のポリエステル生地は、石油や石炭、天然ガスを原料とします。これに対して、再生ポリエステルで作る生地は、回収したペットボトルをリサイクルして製造。そのため、生産時に発生する石油の使用量を削減できます。

さらに、「PETボトルリサイクル推進協議会」が発表しているデータによると、通常のペットボトルの原料の採掘から生産、供給、廃棄物の処理までに排出される二酸化炭素は3,668千トン。一方で使用済みのペットボトルを回収し、リサイクルする作業においても963千トンの二酸化炭素が排出されますが、その分だけリサイクルによる代替効果があるため、全体として二酸化炭素の排出量は約40%少ない結果に抑えることができるのです。

3.再生ポリエステルのメリット・デメリットとは?

ここで、再生ポリエステルを製品に使うときのメリットとデメリットについて、まとめてみましょう。

メリットは、耐熱性を生かした加工の自由さ。肌触りのよさも魅力

熱に強い素材なので、プリーツ加工をはじめとする、さまざまな加工を施したグッズが製作できます。さらに形状記憶性にも優れているため、アイロンや手間のかかる手入れも不要。製品の扱いやすさも、利点と言えるでしょう。

また、速乾性に優れているため、さらりとした着心地が求められる衣類などにも最適。軽量で、繰り返しの洗濯にも強いことから、スポーツ用のTシャツ生地にもおすすめです。

再生ポリエステルのメリット

  • 軽量で、かつ耐久性がある
  • シワになりにくく、形状記憶性が高い
  • 速乾性に優れ、さらりとした肌触りが続く
  • サステナブル素材でありながら安価
  • 熱に強いので加工の自由度が高い

静電気による肌への負担と、摩擦への弱さがデメリットに

合成繊維であることから静電気が発生しやすく、肌への負担となることがあります。また、摩擦によって生地に毛玉ができやすいという性質も。特に、ニットでは静電気が生じやすくなるため、製品との相性を十分に理解しておくようにしましょう。

4.再生ポリエステルにぴったりなおすすめグッズ

扱いやすく安価な再生ポリエステル。メリットやデメリットを加味して、特性を生かしたグッズ製作をしましょう。

例えば、速乾性が高くカビにくい特性を生かし、ノベルティのエコバッグの生地に。耐久性にも優れているため、重い荷物を入れられるだけではなく、汚れにも強く、手入れ不要のアイテムとして高いニーズを得られるでしょう。

また、気軽に洗濯できるため、繰り返し着るようなユニフォームや制服、夏場のTシャツやポロシャツ、スポーツウェアの生地としてもおすすめです。

5.機能性も扱いやすさも抜群の再生ポリエステル。ペットボトルで地球にやさしい循環型ものづくりを

回収されたペットボトルから生まれる再生ポリエステル。オリジナルグッズなどの素材として取り入れることで、海洋ごみの削減や脱炭素社会への取り組みに貢献することができます。

衣類や雑貨など、縫製製品に幅広く対応できるのが再生ポリエステルの魅力。サステナブル素材のなかでは比較的安価であることも高いメリットだと言えるでしょう。

ノベルティや販促品、オリジナルグッズの製作・企画において、「エコ素材でリーズナブルな価格のグッズを」「低コストで、高級感のあるグッズ・衣類を」といった要望が挙がったときには、ぜひ再生ポリエステルの採用を検討してみてはいかがでしょうか。素材と製品の相性をしっかりと見極めることで、世の中のニーズに応えながら、効果的なSDGsの取り組みにもつなげることができるでしょう。

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