再生ナイロンとは?持続可能な新しいエコ素材の魅力を徹底解説
2024/11/29
近年、SDGsの波を受けて、サステナブル素材によるものづくりに注目が寄せられるようになりました。多彩なサステナブル素材の開発が進められ、エコな選択肢がどんどん拡大しています。
そんなサステナブル素材のうち、今回は「再生ナイロン」をピックアップ。アパレル業界や漁業の現場でニーズが高まっている、再生ナイロンの魅力に迫ります。
1.再生ナイロンとは
まずは、再生ナイロンの特徴や類似素材との違い、各種ブランドの利用状況を把握したうえで、その活用の可能性を考えていきましょう。
再生ナイロンの特徴
「再生ナイロン」とは、ナイロンの生産過程で出た廃棄物やごみとして廃棄されたナイロン製品、化学樹脂製の海洋ごみなどから作られた素材です。「リサイクルナイロン」や「エコナイロン」とも呼ばれ、環境配慮型の化学素材として注目されています。
再生ナイロンの特徴は、軽量で強度が高いこと。従来のナイロンの代替品として、さまざまな用途に使われています。また美しい光沢があり、吸水性・速乾性や伸縮性に優れるため、アパレルグッズやスポーツウェア、防寒具などの生地にも最適です。
近年は国内での生産・供給も進められており、今後の量産化や低コスト化が期待されています。
再生ナイロンと従来のナイロンの違い
再生ナイロンと従来のナイロンは、大元となる原料自体は変わりません。両者の違いは、どのような出所の原料を使用しているかという点にあります。
従来のナイロンは、石油から作られる新品の化学樹脂製品であり、いわゆるバージン材です。一方で再生ナイロンは、通常のナイロンの生産過程で出た端材や、石油プラスチック製の廃棄物をリサイクルして作られています。
したがって再生ナイロンと従来のナイロンはもともとの原料が同じであるため、見た目や質感に違いは生じません。しかし廃棄物由来の再生ナイロンのほうが、生産・廃棄の際のCO2排出量が減らせるという点で、よりサステナブルな素材となっています。
再生ナイロンと再生ポリエステルの違い
再生ナイロンとよく引き合いにだされる素材が「再生ポリエステル」。どちらも廃棄物を原料とする合成繊維ですが、両者は質感と性能が異なります。
再生ナイロンは摩擦に強く、伸縮性にも優れるため引っ張っても破れにくいほか、繊維が細かく滑らかで光沢感がある素材です。対して再生ポリエステルは、耐久性はナイロンに劣るものの、乾きやすく縮みにくい素材であり、シワや静電気が生じやすく火によく燃えます。
なおリサイクル技術の普及はポリエステルのほうが一歩進んでおり、ナイロンより多く流通している傾向です。
再生ナイロンを導入している有名ブランド
再生ナイロンは、今や世界中の有名ブランドがこぞって取り入れている素材となりました。例えば、代表的な再生ナイロン活用のパイオニアとして、次のようなブランドが挙げられます。
- PRADA(プラダ)
- Burberry(バーバリー)
- Patagonia(パタゴニア)
- STELLA McCARTNEY(ステラ・マッカートニー)
また国内でも「伊藤忠商事」をはじめとする有名企業が再生ナイロンを用いた製品展開を開始しました。そのほか「株式会社良品計画」では「東レ株式会社」と提携してナイロン製品を自社回収して作った再生ナイロン製の商品を展開し、循環型経済システムの構築を目指しています。
今後さらに技術開発が進めば、再生ナイロンのトレンドの波はますます拡大していくでしょう。
2.再生ナイロンの種類
再生ナイロンは、その製造過程によって以下2種類に分けられます。
- プレコンシューマー(Pre-Consumer)
- ポストコンシューマー(Post-Consumer)
プレコンシューマー
「プレコンシューマー(Pre-Consumer)」とは「消費前の材料」を意味する用語であり、この場合は生産過程で生じた端材をリサイクルした再生ナイロンのことです。ナイロンの落ち綿や糸くずなどの廃棄物を利用し、再資源化します。
プレコンシューマーによる再生ナイロンは、原料となる廃棄物が加工・染色前の繊維のため、不純物が少ない上質な素材です。また、廃棄物の回収・資源化まで自社内で完結するため、手間やコストがかからないうえ、トレーサビリティ(生産から廃棄までの過程が追跡できること)が取りやすいといえます。
ポストコンシューマー
「ポストコンシューマー(Post-Consumer)」とは、消費者が使用済みの製品を回収して作られる素材を指します。再生ナイロンでは、使い古しのナイロン製の衣類やファッション・インテリアグッズのほか、プラスチックおよび漁網(ぎょもう)などの海洋ごみが原料です。
ポストコンシューマーの再生ナイロンは、加工して流通後の製品が原料なので、資源化するには素材を分解して不純物を取り除く作業が必要です。使用済みナイロンのリサイクル技術は導入・維持に莫大な費用がかかるため、製造している企業が少なく、調達も容易ではありません。
だからこそ、再生ナイロンをものづくりに取り入れるときは、素材の調達やアップサイクルサービス、サステナブルなグッズ制作を展開している業者との協力関係が不可欠だといえます。
3.再生ナイロンがサステナブルな2つの理由
再生ナイロンは、次の2つの理由からサステナブルな素材の一つに数えられています。
- 環境負荷が少ない
- ゼロ・ウェイストに貢献できる
環境負荷が少ない
再生ナイロンは、製造時のCO2排出量が従来の石油由来のナイロンより少ないことがエコなポイントです。原料によって違いはありますが、生産工程におけるCO2排出量の最大8割以上も削減できるといわれています。
CO2は、地球温暖化を加速させる温室効果ガスのうち、最も影響の大きな物質です。そのためCO2の排出量が少ない素材を活用して脱炭素化が進めば、環境へ与える負荷を大幅に抑えられるでしょう。
ゼロ・ウェイストに貢献できる
「ゼロ・ウェイスト」とは、資源の浪費や無駄遣いをなくし、ごみを出さないという考え方です。廃棄されていたプラスチックごみを回収し、原料に用いている再生プラスチックを取り入れれば、資源の有効活用とごみ削減につながります。
また、現在問題になっている海洋ごみも再生ナイロンの原料の一つのため、美しい海を守ることにも貢献できるはずです。
【番外編】素材のプロに再生ナイロンについて聞いてみた!
過去200社以上の企業様と一からオリジナルグッズ制作を担当してきた「SUSPRO」企画営業担当が、再生ナイロン素材について解説します!
Q1.再生ナイロンはどのような用途に選ばれるのでしょうか?
再生ナイロン素材は、ポリエステル素材に似ているといわれています。しかしナイロンの方がより目が詰まっていて細かいため高見え感がある点が一番の特徴です。したがって高級感を出したいグッズの素材に、よく再生ナイロンが選ばれます。
Q2.再生ナイロンはどのような業界に人気がありますか?
再生ナイロンは、業界を問わず多くのご要望をいただいています。価格以上に高見えするので、アパレルや化粧品会社など、ラグジュアリーな世界観を大切にしている企業・ブランドのグッズに特におすすめです。
Q3.再生ナイロンがおすすめできないケースはありますか?
再生ナイロンはどうしても価格が高くなりがちな素材です。予算や要望によっては、再生ナイロンと似ていてよりリーズナブルなポリエステル生地をおすすめするケースもあります。弊社ではたくさんのサンプル生地をご用意しておりますので、実際に手に取って質感を確かめたうえで、最終的にどの素材を採用するか選んでいただきたいです。
Q4.プロ目線で再生ナイロンに適したグッズを教えてください。
再生ナイロンは、目が詰まっているぶん水をよくはじき、見た目にもサラッと涼しげ。ですので、夏のシーズンのバッグや、ポーチなどの素材に採用してみてはいかがでしょうか。
4.エコ活動の第一歩は再生ナイロンの活用から
グッズの記事を従来のナイロンからエコな再生ナイロンに置き換えるだけで、エシカルな姿勢が示せます。見た目や質感、機能はそのままに、よりサステナブルな選択肢を取り入れてみませんか。
「SUSPRO」では、再生ナイロンをはじめとするリサイクル素材やサステナブル素材によるエコなものづくりを提案しています。オリジナルエコグッズ制作のほか、廃棄物のアップサイクルも承りますので、少しでも興味があればぜひお気軽にお問い合わせください
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