植物由来インクとは?再生可能素材が導く人・環境にやさしい選択肢
2024/12/27
SDGsの推進に伴い「植物由来インキ」の注目度が高まっていることをご存じでしょうか。認証マークも設置されており、商品のパッケージやデザインの印刷をはじめとし、幅広い用途に活用され始めています。従来の塗料をエコな植物由来インクに置き換えるだけで、手軽に環境活動へ貢献できるでしょう。
今回は、植物由来インクとはどのようなものかを分かりやすくまとめました。メリット・デメリットや印刷方法に応じた選び方、商品化のアイデアもお伝えします。ぜひグッズ制作・企画の際の参考にしてください。
1.植物由来インクとは
まず、植物由来インクの特徴を、バイオマスインクとの違いや認証マークも併せて確認していきましょう。
植物由来インクの特徴
「植物由来インク」とは、植物性の原料を用いて作られた環境に配慮した塗料の総称です。「植物油インク」と「バイオマスインク」の2種類に大別され、それぞれ原料や製造工程が異なります。いずれも2015年以前に開発されたインクですが、SDGsの推進に伴い、近年になって再注目されるようになりました。
植物油インクとバイオマスインクの違い
植物油インクとバイオマスインクはいずれも環境に与える負荷が少ないエコな塗料という点では同じですが、大きな違いはその成分にあります。
植物油インクは、植物由来のオイルおよびそれらが主体の廃油の再生油を主成分とする塗料です。別名「ベジタブルインク」とも呼ばれます。
一方バイオマスインクは、コットンや紙、植物性の食品などの天然資源から抽出した成分を使用して作られた塗料です。別名「ボタニカルインク」ともいい、原料の違いから植物油インクと区別されます。
植物油インクやバイオマスインクの認証マーク
植物油インクとバイオマスインクには、それぞれ次の認証制度が存在します。
- 植物油インキマーク
- バイオマスマーク
植物油インキマーク
「植物油インキマーク」とは、印刷インキ工業会が設置している、植物油や再生植物油などが由来のインクの認定制度です。成分中の植物油の含有基準量やNL規制準拠など、一定の条件を満たした塗料が取得できます。
なお植物油インキマークは、以前あった「大豆油インキマーク」の後継として設置されました。大豆油のみが対象だった大豆油インキマークが廃止となり、2008年に適用範囲を拡大し、新制度として発足したのが植物油インキマークです。
植物油インキマークは商品本体のほか、カタログやポスターなどにも印刷可能であり、エコなイメージが視覚的にアピールできます。
バイオマスマーク
「バイオマスマーク」とは、一般社団法人日本有機資源協会が管理している、バイオマス(生物由来の資源)を利用した商品の認証制度です。バイオマスの含有量が乾燥重量で10%以上など、一定の条件を満たすインクが対象となります。審査に合格すれば認証が受けられ、バイオマスマークの表示が可能です。
バイオマスマークには、認定番号入りと広報用の2種類のマークがあります。対象となる商品本体やパッケージ・ラベルのほか、事前に認可を取っていれば配布用の資料などにも表示できるマークです。
2.植物由来インクの5つのメリット
植物由来インクのメリットは、主に次の5つです。
環境負荷が抑えられる
植物由来のインクはVOC(揮発性有機化合物)を含まず、その他の有害な成分の使用量も少なく抑えられています。従来の石油由来のインクは、樹脂や高沸点石油系溶剤が多く含まれており、生産から廃棄までのあらゆる場面で環境汚染の恐れがありました。植物由来インクに置き換えることで、環境へ与える負荷を最小限に減らせるでしょう。
土に還る
植物由来のインクは成分が環境にやさしいだけではなく、生分解性の素材です。土に埋めれば自然に還るため、資源を循環させられます。
化石燃料の使用量が減らせる
石油由来インクを植物由来インクにすれば、化石燃料の保存にもつながります。エコな資源の代替で化石燃料の使用量を減らしていけば、将来的にカーボンニュートラルの実現に近づくはずです。
安全性が高い
植物由来インクは、石油由来のインクより人体への安全性が高い塗料だといわれています。そのため、近年は食品パッケージへの利用や、芸術・創作方面への活用も進められるようになりました。あわせて、生産・使用の現場における労働環境の安全性を高めることにもつながり、製造にかかわる全ての人の健康が守れます。
エシカルブランディングにつながる
環境配慮型の性質を持つ植物由来インクを取り入れることで、エシカルな姿勢に積極的であることが外部へ効果的にアピールできます。SDGsへの貢献はCSR(企業の社会的責任)の一つ。商品の素材自体を変更するのは容易ではなくとも、インクを植物由来に置き換えるだけなら手軽にできます。エコな企業としてブランディングできれば、消費や投資の促進が期待できるでしょう。
3.植物由来インクのデメリット
植物由来インクは、石油由来のものより取り扱いが難しい傾向にあります。汎用性は高いものの、含有量が多くなるほど硬化にかかる時間が長くなってしまい、次の工程である加工に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
さらに、安定性を欠いたインクの使用は、商品の不良やトラブルの原因にもなりかねません。そのため、正しい知識・ノウハウと慎重な取り扱いが不可欠です。さらに、種類によっては費用が高く、製造コストが増えるかもしれません。
とはいえ植物由来インクは、デメリットより得られるメリットのほうが大きいといえます。実際に、現在すでに多くのシーンで活用されていることからも、植物由来インクの有用性がお分かりいただけるでしょう。また自社に知識・ノウハウがない場合は、信頼できる専門業者を選定し、パートナーとすることで解決できるはずです。
4.【印刷方法別】最適な植物由来インクの選び方
植物由来インクには、印刷方法によって相性の良し悪しがあります。以下では、植物由来インクでのプリントによく利用される2つの印刷方法を例に挙げ、どのインクが適しているのかみていきましょう。
- オフセット印刷
- グラビア印刷
オフセット印刷
「オフセット印刷」とは、ブランケットという樹脂やゴムからできた筒状の版の回転を利用してインクを転写するプリント手法です。写真や文字を鮮明かつスピーディーに印刷できることから、現在主流の印刷方法となっています。
オフセット印刷は、そのほとんどが植物油インク対応です。しかし近年は、バイオマスインク対応のオフセット印刷も生まれており、選択の幅がより広がっています。
グラビア印刷
「グラビア印刷」では、凹版に流し込んだインクを、圧着ローラーを利用してフィルムなどに転写する仕組みになっています。色の濃淡や繊細な表現が可能なため、主に写真の印刷に用いられるプリント手法です。グラビア印刷にはバイオマスインクが適しており、昔から長く活用されています。
5.植物由来インクで印刷できる商品
植物由来インクは、石油由来インクと同じく紙やプラスチックをはじめとするさまざまなものに印刷できます。具体的には、以下のようなグッズの印刷の際に活躍するでしょう。
- 冊子・カタログ
- パンフレット・DM
- チラシ・フライヤー・ポスター
- 包装紙
- 食品パッケージ
- ショッパーバッグ
- クリアファイル
SUSPRO調査隊がリサーチ!植物由来インクで作れる商品はどんなもの?
SDGsの高まりとともに、注目され始めている植物由来インク。エコな成分・性質であるにもかかわらず、その性能は従来のインクに遜色ありません。
植物由来インクの主な用途は、基本的に紙素材への印刷です。紙箱や紙袋など、商品のパッケージによく使用されます。特に多くのシェアを占めているのが、サステナブルな意識が高い化粧品業界。例えば、ある大手化粧品メーカーでは、植物由来インキであるパーム由来油の使用を方針として掲げています。また植物由来インクは、従来のインクと比べ安全性が高いことから、食品業界でも人気です。食品パッケージや包装紙など、さまざまな用途に使用されています。
実際に利用した企業様からは「安全性が高く安心して使用できる点が良い」「植物由来インクに代替することでエコな企業イメージになった」といったお声をいただくほど好評です。企業のSDGsへの貢献が当たり前となり始めている今、エコで安全な植物由来インクを用いた商品パッケージやグッズ制作を検討してみてはいかがでしょうか。
6.植物由来インクへの代替で環境配慮の第一歩を踏み出そう!
人にも環境にもやさしい植物由来インクを積極的に活用することで、SDGsに貢献できます。また、エコなブランディングによる企業のイメージアップも実現するでしょう。ただし、植物由来インクは取り扱いにコツがいりますので、知識・ノウハウが豊富なパートナー企業と協力しながら商品化を進めていくことをおすすめします。
植物由来インクを使った商品パッケージ・グッズ制作に関するご相談は「SUSPRO」へ!検討段階でも「オリジナルグッズ制作」の企画提案から丁寧にサポートするので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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