バナナファイバーとは?アップサイクルで生まれた繊維の魅力と可能性

2025/01/08

バナナファイバーとは?アップサイクルで生まれた繊維の魅力と可能性

世界中で食べられている人気の果物「バナナ」。従来は果実部分の食用しか使い道がなく、生産過程で出るごみはすべて廃棄されてきました。しかし近年、ついにバナナの繊維化に成功。コットン、リネン、ウール、シルクに次ぐ第5の天然繊維「バナナファイバー」に多くの期待が寄せられています。

この記事では、バナナファイバーの概要とメリット・デメリットについてまとめました。バナナファイバーの使用がおすすめな製品も紹介しますので、ものづくりのヒントとしてぜひお役立てください。

1.バナナファイバーとは

バナナファイバーとは

まず、バナナファイバーとはどのような素材なのか、その特徴と作り方を確認していきましょう。

バナナファイバーの特徴

「バナナファイバー」とは、バナナの茎を繊維化した再生素材です。これまで主に廃棄処分されてきたバナナ繊維をアップサイクルして開発されました。リネンに似たシャリ感のある触り心地と凹凸のある風合い優れた吸水性が特徴です。

バナナファイバーは、超長綿を3:7の割合で混紡した「バナナクロス( BANANA-CLOTH®)」としてすでに商品化されており、普及が進められています。

アップサイクル素材には、バナナファイバー以外にも多彩な種類があります。詳細はこちらで解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

バナナファイバーの作り方

バナナファイバーの作り方

バナナファイバーは、次の手順で作られます。

バナナファイバーの作り方

  1. 伐採したバナナの茎の茶色い外皮を取り除く
  2. 白い部分を機械ではぎ取り繊維状に加工する
  3. 天日干しして乾燥させる
  4. 繊維をほぐして不純物を取り除き、方向を揃えてわた状にする(カーディング)
  5. わたを紡績する
  6. 紡いだ糸を織って生地にする

バナナの茎1本(25kg)から繊維化できる量はわずか2%程度、つまり500g〜750gしか取れません。とはいえ、バナナの茎の廃棄量は膨大です。例えば1億トンのバナナからは200万トンの繊維が取れる計算になるため、廃棄量の多さを考慮すると十分な量が確保できると考えられます。

またバナナは、栽培・繊維化の工程で使用する薬品が少なく、環境に必要以上の負荷を与えないところがエコなポイントです。出来上がったバナナファイバー生地は出荷・輸出され、衣類や雑貨など新たな製品として生まれ変わっています。

2.バナナファイバーの4つのメリット

バナナファイバーの4つのメリット

バナナファイバーを活用するメリットとして、主に次の4つが挙げられます。

ごみが減らせる

バナナファイバーの原料となるバナナは、成長が非常に早い植物です。植え付けから収穫までにかかる時間は約2年。バナナは一度しか実をつけない性質があるため、収穫したのち伐採されます。そして伐採後、茎の周辺からは新芽が出て実がなるまでは約3〜6カ月しかかかりません。

生育の早さゆえに、世界で伐採されているバナナの茎などの廃棄量は年間約10億トンに上るといわれています。バナナの茎は食べられないわけではありませんが、食用に適しているともいいがたく、これまでその多くがごみとして捨てられてきました。

バナナの廃棄物を再生すれば、捨てる量が減り、資源の循環促進とごみ問題の解消につながるでしょう。

環境が守れる

バナナの茎の廃棄方法は主に焼却であり、処理の中で排出される膨大なCO2による大気汚染が問題視されています。かといって、伐採したバナナを処分せずに放置した場合、腐敗して土壌を汚染してしまうでしょう。

伐採したバナナをリサイクルして資源に循環させれば、環境保全に大きく貢献できるはずです。

新たな市場が拡大する

本来ならごみとして捨てられていた原料を資源化する技術が広まれば、新たな産業もしくは商品として展開できます。それに付随して、栽培地の経済発展も促せるでしょう。

従来なら意味がないとされてきたごみを資源として生まれ変わらせるのは、まさに「アップサイクリング」な取り組みだといえます。

汎用性が高い

バナナファイバーは繊維としての汎用性が抜群によい素材です。コットン、帆布、スウェット、デニム、パイルなどと組み合わせ、多彩な生地に加工できます。

また、普段食べているバナナが身の回りのものに変身するという事実は、キャッチーなイメージとして製品の宣伝・PRに活用できるでしょう。

3.バナナファイバーのデメリットと課題

バナナファイバーの3つのデメリット

たくさんのメリットのあるバナナファイバーですが、デメリットが一切ないわけではありません。現状では、次のような課題を抱えています。

まだあまり知られていない

バナナファイバーはまだ歴史の浅い新素材であり、まだ十分に普及しているとはいえません。とはいえ、今後さらに広まっていけば、素材としての価値と価格が上がるはずです。そのぶん研究・開発に回せる費用も多くなり、より効率的な生産が可能になるでしょう。

どのようなバナナでも繊維化できるわけではない

繊維化には水分量が多くて柔らかい原料が適しているものの、バナナの固さは個体差が大きいため、すべてを加工できません。とはいえ、繊維化に適したバナナの研究・開発が進めば、素材の取れ高も増えることが見込まれています。

単体での使用は難しい

現時点ではまだ、バナナファイバー100%の生地を作ることは強度の問題から難しく、混紡が基本です。しかし単体では使えずとも、ほかの繊維と混ぜれば一般的なコットンやリネンなどと同程度かそれ以上の強度になるため、さまざまな用途に使えます。

4.バナナファイバーで作れる製品

バナナファイバーで作れる製品

バナナファイバーは、主に以下のような製品の生地としての活用が期待されています。

  • 服飾雑貨
  • 生活雑貨

糸が比較的太いバナナファイバーは、Tシャツやジーンズなどのカジュアルな服の生地にぴったり。リネンに似たサラッとした質感から、春夏向けの衣類や、麻素材と組み合わせたカゴなどの服飾雑貨の生地に適しています。独特のナチュラルな風合いを活かし、ポーチやハンカチなどの生活雑貨にもおすすめです。

また、ランチョンマットやコースターなど、飲食関連の小物にも好相性。めずらしい素材なので、オリジナルグッズやノベルティにすれば注目を集めること間違いなしです。

【番外編】SUSPROグッズ企画営業担当のおすすめの使い方!

SUSPROグッズ企画営業担当のおすすめの使い方!

エコなものづくりで企業のサステナブルな取り組みをお手伝いする「SUSPRO」では、素材に関する知識・ノウハウを豊富に有しています。そこで以下では、弊社グッズ企画・営業の担当者に、バナナファイバーのおすすめの使用方法を聞いてみました。

営業担当者の声

バナナファイバーを積極的に取り入れているのがファッション業界。繊維が比較的太い傾向にあるため、Tシャツやジーンズ、ソックスなどの生地として人気です。また、ハンカチやブックカバーなど生地にバナナファイバーを使うことで、ほかにはないナチュラルな風合いのある生活雑貨が作れます。

バナナファイバーを積極的に取り入れているのがファッション業界

特に、素材としての珍しさとエコな面から、環境に配慮したブランド・企画を展開している企業様に最適。実際に「サラッとして手触りが良い」「一見しただけではバナナからできたとは思えない」といったうれしい驚きの声を多くいただいています。

また、バナナファイバーは吸水性に優れているため、春夏向けのキャンペーンなどにもぴったり。涼しげな見た目と機能を活かした雑貨や小物の制作を検討してみてはいかがでしょうか。

さらに、混紡で強度がぐっと増すのもバナナファイバーのポイント。バナナファイバー・コットン混の高強度のバッグは、アパレルだけではなく、さまざまな業界で持ち運び用として活躍するでしょう。

5.バナナファイバーの活用でごみを循環させる社会を作ろう!

企業がサステナブルを意識した商品・サービスを展開するなら、バナナファイバーをはじめとするアップサイクル素材の活用がおすすめです。既存製品の記事をバナナファイバーに置き換えるだけで、ごみの資源循環に貢献できるほか、人にも環境にもやさしいグッズが作れます。

ただし、バナナファイバーの取り扱いにはコツが必要です。製品化・グッズ展開に関するご相談は、サステナブルなものづくりの知識・経験が豊富な「SUSPRO」へおまかせを!ご注文やご質問はお問い合わせフォームから、ぜひお気軽にご連絡ください。

SUSPRO編集部

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

多様な企業様の販売品・ノベルティを制作しているグッズの企画・営業担当。企画から納品まで一気通貫で担う中で、特にエコ素材に関する知識や取り扱い方法・トレンドなどに精通しています。

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

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