サステナブル生地

オーガニックコットンとは?無農薬栽培と化学薬品を使わない製造工程で、作る人もつかう人も安心できる天然エコ素材

2021/10/15 (更新日:2021/11/29)

「肌にやさしい」というイメージから、衣類やインテリア、さらにはティッシュペーパーなどの日用品にも使われている「オーガニックコットン」。一方で、実は栽培された綿花の品質については、一般的なコットンと大きな違いはないとされています。

もっとも異なる点は、綿花の栽培方法。一般的なコットンでは、綿花栽培に多くの化学農薬や化学肥料が使われ、土壌や水質の汚染をはじめとする環境負荷が懸念されてきました。また、栽培にかかわる生産者の健康にも、悪影響を及ぼす危険性があるのです。

こうした環境問題に配慮し、生まれたのがオーガニックコットンです。地球にも生産者にもやさしいオーガニックコットンを使うことで、SDGsの活動に貢献しながらものづくりを行うことができます。

今回は、そんなオーガニックコットンの特徴やサステナブルな製造方法について詳しく紹介します。

1.地球と人にやさしいサステナブル素材。オーガニックコットンの特徴

「オーガニックコットン」と称するには、厳しい条件があります。どのような条件をクリアしたコットンを指すのか。そして、どのような使用感なのか。まずは、オーガニックコットンの特徴を見ていきましょう。

厳しい世界基準をクリアした農地・農法で育つサステナブルな綿花

オーガニックコットンとは、化学肥料を使わず、自然の力を生かして栽培された綿花のこと。環境にやさしく、生産者の健康にも配慮した栽培方法で作られています。

オーガニックコットンの農地として認証機関に認められるためには、3年以上にわたって、禁止された農薬や化学肥料を使わずに農産物を生産し続ける必要があります。そのほかに、「遺伝子組換え種子でないこと」「フェアトレードであること」「児童労働が行われていないこと」といった基準をクリアした綿花だけが、「オーガニックコットン」として表示できるのです。

化学処理を行わず、肌にやさしい天然由来の肌触りに

一般的なコットンでも、綿花の収穫時には農薬がほとんど残留しないと言われています。そのためオーガニックコットンと一般的なコットンには、品質に大きな差はないとされています。科学的な検査を実施したとしても、その違いは区別できないほどです。

ところが多くのコットン製品の場合は、綿花を糸から生地に加工する過程で、染色や漂白といった化学的な処理が行われます。一方のオーガニックコットンは、自然由来のふんわりとした触り心地を生かして加工を施すことがほとんど。製品となったときに肌への刺激が比較的少なく、肌が敏感な人や子どもも安心して使うことができるでしょう。

2.オーガニックコットンの生産工程とサステナブルなポイント

オーガニックコットンの生産工程 作成:アイグッズ

オーガニックコットンは、農地での栽培から製品化されるまで、あらゆる工程でSDGsに貢献することができます。ここでは、オーガニックコットンのサステナブルなポイントを紹介します。

自然の力を生かす有機栽培でSDGsに貢献

一般的なコットンは、栽培時に大量の化学肥料を使います。殺虫剤、除草剤、枯草剤といった化学農薬の使用も多く、農地で働く生産者の健康に害を及ぼすことが危惧されています。

オーガニックコットンの栽培では、化学肥料ではなく、牛糞や堆肥などの有機肥料を使います。害虫対策には殺虫剤ではなく、てんとう虫などの益虫を活用。除草剤は使いません。収穫の効率を上げるための枯草剤も使わず、霜が降って葉が自然に枯れるのを待って収穫します。

さらに、「オーガニックコットン」と表示するには、「フェアトレード」「児童労働の禁止」も条件に含まれています。こうして地球環境や栽培に携わる人の安全性、社会的規範を守ることにつなげられることが、オーガニックコットンのサステナブルなポイントです。

製造工程でも環境に配慮。生成りの風合いが楽しめるグッズに

オーガニックコットンの認証は、綿花の栽培におけるオーガニック・ファーミング認証だけではありません。紡績から製品化までの製造工程において、「GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)」というテキスタイル認証を受ける必要があります。

「オーガニックコットン製品」と称するための基準は、環境に配慮して栽培された原料を正しく使用し、その含有率を一定以上に保つこと。表示された含有率が正しい数値か、トレーサビリティを確認し、製造工程においても環境への負荷を抑えることが求められるのです。

そのため、基本的に、オーガニックコットンの製品は「生成り」生地。染色のために化学染料を使わず、ナチュラルで個性的な色味を表現できることが魅力です。

一方で、オーガニックコットンの含有率は一定量を満たしていれば、製造方法は問わないという考え方もあります。必要に応じて染色や加工などを行い、製品としての見た目や表現に幅を広げることも可能です。

3.オーガニックコットンのメリット・デメリットとは?

それでは、オーガニックコットンを製品の素材として使用するメリット・デメリットをまとめてみましょう。

コットンならではのさらりとした肌触りがメリット。マスクやパジャマにも人気

天然繊維であるコットン。製造工程において、染色や漂白、さまざまな薬剤による化学処理を行わず「生成り」生地に仕上げることで、自然本来の心地よい使用感が実現できます。

通気性はもちろん、保湿性や吸湿性にも優れ、Tシャツやワイシャツ、パジャマなど衣類におすすめ。さらりとした着心地の生地に仕上がります。ほかにも、ポーチやバッグ、マスクなど幅広いアイテムに利用しやすい素材です。

アイグッズでは「オーガニックコットンマーク」を付けることも可能。SDGsの取り組みに貢献していることを証明できるのもポイントです。

オーガニックコットンのメリット

  • 化学処理を行わない「生成り」生地は、特に肌への刺激が少ない
  • 通気性がよく、肌触りがやわらかいため着心地がよい
  • 適度な保温性があり、吸湿性が高い
  • マークを付けてSDGsへの取り組みを証明することも可能

コストの高さがデメリットに。手入れに注意が必要なことも

デメリットは、価格が一般的なコットンよりやや高めであること。栽培から製品化にいたるまで膨大な手間がかかり、生産効率の低さがコスト上昇の原因となっています。オーガニックコットン製品が普及するにしたがって、生産量が上がり、将来的に価格はおのずと下がっていくことでしょう。

また生成り以外のバリエーションが少ない点もデメリットになり得ますが、農地や品種、収穫の時期によって異なる自然の色味を楽しむのもおすすめですよ。

なお、素材はデリケートで乾きにくいという特徴も。手入れやメンテナンスが頻繫に必要なアイテムを作るときには、向かない場合もあります。使用シーンや用途との相性も、注意したいポイントです。

4.オーガニックコットンにぴったりなおすすめグッズ

「オーガニックコットンパジャマ」「オーガニックコットンパフ」など、アパレル業界や化粧品業界でオーガニックコットンが採用される傾向があります。製品化する際に化学的な薬品が使われていないため、肌への刺激が少ないことが導入理由のひとつと言えそうです。

また、「オーガニック」という言葉は、健康や環境に関心の高い人には耳なじみがある言葉です。そうした方へ向けたグッズなどには、オーガニックコットンの利用を検討するのもいいかもしれません。

5.環境に配慮した栽培による希少なオーガニックコットン。天然素材のグッズ製作でサステナブルな活動を

健康や環境に配慮して栽培されるオーガニックコットン。その反面、栽培に手間がかかることから、希少な素材となっているのが現状です。

米国拠点のNPO組織「テキスタイル・エクスチェンジ」の「オーガニックコットン市場レポート(OCMR)」によると、2019年8月~2020年7月の世界の全綿花生産量のうち、オーガニックコットンが占める割合はわずか1%。ただし、増加傾向にあり、今後もサステナブルな意識の高まりで、生産量のさらなる拡大が見込まれています。

さまざまな企業でサステナブルな活動が始められている昨今。アイグッズでのグッズ製作を通して、オーガニックコットンをいち早く取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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