サステナブル生地

「サスティナブル梱包」を取り入れるには?SDGs時代の梱包・包装材「ポリ乳酸(PLA)」「ストーンペーパー」「グリーンナノ」を解説

2021/10/18 (更新日:2021/11/29)

製品を包み込むことで衝撃から守り、消費者が持ち運ぶためにも用いられる「梱包」「包装」。製品と同等、ときにはそれ以上に企業イメージを左右するため、大手企業を中心に簡素化と、サステナブルな仕組みを取り入れる動きが活発化しています。

たとえばSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」では、“廃棄物の発生を、予防、削減、再生利用や再利用により大幅に減らす”ターゲット(12.5)があります。袋や箱の封を開けると同時に廃棄物に変わってしまう梱包・包装の見直しは、SDGs推進において欠かすことはできないでしょう。

ここでは包装・梱包に多く使われる素材であるポリプロピレン(PP)と紙の代替素材として、アイグッズで提供可能なサスティナブル梱包素材である「ポリ乳酸(PLA)」「ストーンペーパー」「グリーンナノ」の特徴を解説します。

目次

1.プラスチックや紙の梱包・包装はどんな問題がある?梱包・包装をサステナブルに見直すために知っておきたいこと

現在、多用されているプラスチック梱包材や紙袋。SDGsの観点でみると、どんな問題があるのでしょうか。まず、ここから考えてみましょう。

SDGsの観点で考えよう。プラスチック梱包・包装はどう見直す?

2019年に環境省が策定したプラスチック資源循環戦略」で、プラスチックのリデュース・リユース・リサイクルに関する目標値が掲げられました。石油由来のプラスチックは、無駄・非効率的・必要以上な消費・生産を抑制あるいは行わないリデュース項目に含まれます。

梱包・包装材に石油由来のものを採用している場合、使用をやめる見直し方もありますが、もう1つ有効なのが、植物由来プラスチックへの置き換えです。これにより、石油資源の使用量を少なくできます。

近年では、プラスチック製品を廃棄する時に発生するCO2の量を減らす技術も開発されています。これについては、のちほど詳しく紹介しましょう。

SDGsの観点で考えよう。紙袋なら、エコ包装なので安心?

紙はリサイクル可能なため、環境にやさしいイメージがあるかもしれません。しかし、実際には生産工程での森林伐採や水質汚染、リサイクル過程での化石燃料の使用やCO2排出などの環境問題を抱えています

簡素化により紙袋の使用をやめる方法もありますが、抑制が難しいケースもあるでしょう。そこで、紙袋をサステナブルな代替素材に置き換える取り組みも始まっています。

このように、梱包・包装はサステナブルな素材への置き換えが、SDGs達成に向けた1つの鍵となっています。では、具体的にどんな代替素材があるのでしょうか。アイグッズが提供できるサステナブル梱包素材「ポリ乳酸(PLA)」「ストーンペーパー」「グリーンナノ」を続けて紹介していきましょう。

2.植物由来のプラスチック「ポリ乳酸(PLA)」。生産工程や特徴、メリット・デメリットとは

「ポリ乳酸(PLA)」は植物由来のデンプンや糖を原料とするプラスチックです。その特徴やサステナブルなポイントを見ていきましょう。

ポリ乳酸(PLA)はPP素材からの置き換えに最適

ポリ乳酸(PLA)はプラスチック、なかでもポリプロピレン(PP)素材への置き換えに適しています。例えば、食品トレイなど食べ物に接する包装材。ガス透過性や透湿性が高いことから、野菜や果物の包装などにも活躍します。

そのほか、フィルムの形状にしたり、強化して家電や自動車のパーツなどにしたりする使用方法があります。

ポリ乳酸(PLA)のメリット・デメリットとは?

透明性、保香性、耐水性、耐油性、引張強度に優れているのがポリ乳酸(PLA)のメリットです。剛性もあり、曲げたりねじったりしても変形しにくい素材です。

耐熱性や耐久性はやや劣りますが、高温で結晶化させて耐熱性を持たせる技術などが開発されており、工夫次第でカバーが可能です。

一方で、置き換えにおすすめしたポリプロピレン(PP)と比べると、ポリ乳酸(PLA)の価格は高いため、コスト面のデメリットは拭えません。ポリ乳酸(PLA)とは別の素材でリサイクルポリエチレン(PE)袋は比較的安価に仕入れることが可能ですので、予算に応じて選択肢に加えると良いでしょう。

ポリ乳酸(PLA)のメリット

  • 透明性、保香性、耐水性、耐油性、引張強度に優れている
  • 剛性もあり、曲げたりねじったりしても変形しにくい

ポリ乳酸(PLA)の生産工程とサステナブルなポイント

ポリ乳酸(PLA)はトウモロコシ、ジャガイモなどからデンプンを抽出し、発酵させて乳酸を作ることで製造されます。植物由来であるため、石油由来のプラスチックをポリ乳酸(PLA)に置き換えることで環境負荷を減らせます。

さらに、ポリ乳酸(PLA)は堆肥内に埋めることで生分解が可能。焼却した場合でも、燃焼時のCO2排出量は石油由来プラスチックの半分以下程度です。原料の植物は畑で成長中に大気中のCO2を吸収する面でも、SDGsに貢献できる素材と言えます。

3.森林伐採や水質汚染を防ぐ「ストーンペーパー」。生産工程や特徴、メリット・デメリットとは

「ストーンペーパー」は名の通り、石を原料とする紙素材。1990年代に台湾で開発がスタートしました。特徴やポイントを見ていきましょう。

ストーンペーパーは紙袋からの置き換えに最適

ストーンペーパーは一般的な紙と同様に使用できます。たとえば、紙袋をストーンペーパー袋に置き換えるのもおすすめ。撥水性があり、破れにくい点でも紙袋の置き換えに向いています。

そのほか、商品配送時の梱包に使う段ボール箱やクッション材の素材としても最適です。ただし、やわらかくコシがないので、コスメなど小物を入れるパッケージ素材とするには難しい場合があります。

ストーンペーパーのメリット・デメリットとは?

石の硬いイメージと異なり、ストーンペーパーはやわらかい質感です。表面は光沢感のないマット調で、落ち着いた雰囲気に仕上がります。繰り返し折り曲げても破れにくい耐久性があるのをはじめ、耐水性、筆記性、防虫性、防湿性の高さもメリットとなっています。

デメリットは高温に弱いこと。このため、レーザープリンターが使えないなど印刷方式が限られ、印刷加工などに専門の技術が求められるでしょう。厚みや色合いにバラツキが出やすいのも注意点ですが、これは風合いとして魅力になる場合もあります。

ストーンペーパーのメリット

  • やわらかい質感
  • 表面は光沢感のないマット調で、落ち着いた雰囲気に仕上がる
  • 繰り返し折り曲げても破れにくい
  • 耐水性、筆記性、防虫性、防湿性が高い

ストーンペーパーの生産工程とサステナブルなポイント

ストーンペーパーは主原料である石灰石から無機鉱物粉末などを抽出し、紙の素を作ります。その素を成型することでストーンペーパーが製造されます。

実は、一般的な紙は、原料のパルプを得るための森林伐採や、生産工程で漂白剤を使うことで起こる水質汚染などの環境問題を抱えています。一方で、ストーンペーパーは原料が石なので森林の伐採はせず、生産工程で水や漂白剤を使用しないので、水質を汚すこともありません。

CO2量の排出量についても燃焼時は、一般的な紙の半分程度。製造時、焼却時ともにストーンペーパーのほうが一般的な紙よりもCO2排出量が少なくなっています。

なお、類似素材としてLIMEX(ライメックス)が例に出されることも。⽯灰⽯を使⽤している点では共通していますが、LIMEXという言葉自体は『株式会社TBM』が開発した紙・プラスチックの代替となる素材の総称。製造方法や特性に異なる点がありますので、混同しないように注意しましょう。

4.CO2削減効果のあるナノカプセルを配合した「グリーンナノ」。生産工程や特徴、メリット・デメリットとは

「グリーンナノ」とは、プラスチックを製造する際に微量のレジンペレット(直径数mmのプラスチック粒)を原料に加えるだけで、焼却時のCO2発生量を大幅に抑制できる技術のこと。その特徴などを紹介しましょう。

グリーンナノは石油由来のプラスチックからの置き換えに最適

梱包・包装材を作る時に、主原料である石油由来のプラスチックにグリーンナノを加える使用方法などが推奨されています。透明度・強度に劣る植物由来プラスチックとは異なり、通常のプラスチック製品の性能がほぼ維持され、リサイクルにも対応可能。

またグリーンナノは素材や生産ライン、デザインの変更をせずに導入できるので、SDGsを意識し活動をなるべく低コストで始められると注目されています。

グリーンナノのメリット・デメリットとは?

主な原材料に対し、3%のグリーンナノを加えるだけで効果が期待できます。添加量がごくわずかなので、プラスチックの品質を維持できるのがメリットです。透明性や強度など、プラスチックならではの便利な機能や質感は、ほぼそのまま保たれます。

グリーンナノのメリット

  • プラスチックの品質を維持したまま、焼却時のCO2発生量を大幅に抑制できる
  • 既存の素材や生産ライン、デザインの変更をせずに導入できる

グリーンナノのサステナブルなポイント

通常、石油由来プラスチックの焼却時には、炭素と空気中の酸素が結合することでCO2が発生します。グリーンナノは粒状で、リン脂質の膜でできたナノカプセルの中に「炭化促進剤」「CO2化学吸着剤」を含有。この2つの働きにより、焼却時のCO2排出量を60%以上減らします。

炭化促進剤はCO2が発生する前に炭素を残渣(灰)に閉じ込めることで、CO2の発生量を抑制。CO2が発生しても化学反応で他の物質に変え、残渣(灰)に再び留めます。

「炭化反応」「化学吸着」という2つの点でグリーンナノはCO2排出量を削減し、SDGsに貢献できるのです。

5.「サスティナブル梱包」でSDGsに貢献。まずはポリ乳酸(PLA)、ストーンペーパー、グリーンナノによる置き換えから

梱包・包装をSDGsの観点で見直す際には、「簡素化」「サステナブル素材への置き換え」という2つの方法が挙がるのではないでしょうか。

アイグッズでも「サスティナブル梱包」素材として、ポリ乳酸(PLA)とストーンペーパー、グリーンナノを取り扱い、企画や導入などについてさまざまな提案・サポートを行っています。

近年では、SDGsの達成に取り組む企業の多くが、紙やプラスチックに替わるサステナブルな梱包・包装素材を採用する動きが活発になってきました。この機会に、サステナブルな梱包の導入を一度検討してみるのはいかがでしょうか。

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