サステナブル生地

「再生コットン」とは?端切れを再利用して自然な風合いをそのまま楽しむ、サステナブルなものづくり

2021/09/07 (更新日:2021/11/29)

「コットン」といえば、誰もが当たり前に親しんできた天然由来の生地。心地よい肌触りや、快適な温度を保つ性質から、Tシャツや下着などの衣類はもちろん、丈夫さを生かしてトートバッグやシューズなどにも活用されてきました。

ところが、こうしたコットン生地の製造では、原料となる綿花の栽培や、染色などの製造工程において、環境に大きな負担を与えています。中でも、大量の水が必要になる綿花の栽培。水資源が乏しい地域で栽培が行われる場合、川や湖の水位が下がり、野生生物や地域の人々の暮らしが危険に侵される可能性もあるのです。そこで、サステナブルな素材として開発されたのが、「再生コットン」です。

柔らかな手触りと心地よさが特徴の再生コットンは、洋服や雑貨などの製造工程で余ったコットン生地の端切れが原料。すでに染色された生地を再加工するため、ありのままの自然な色や風合いを楽しむことができます。

今回は、そんな再生コットンの特徴や素材として製品に使用するうえでのメリット、デメリットをお伝えしていきます。

1.作る人にも使う人にもやさしい天然由来。再生コットンの特徴

通常のコットン生地の原料となる綿花は、栽培する際に大量の水を必要とします。また農薬の使用により、土壌汚染はもちろんのこと、栽培にかかわる人々への健康被害も決して軽視できません。

こうして、環境問題だけではなく、綿花の農家や同じ地域で暮らす人々の健康にも配慮した持続可能な取り組みとして進められているのが、再生コットンを活用した製品づくり。それでは、まずは再生コットンにはどのような特徴があるのか見ていきましょう。

本来持つ自然な質感を生かした素朴な生地

再生コットンは手触りがよく、ナチュラルで涼しげな風合いが特徴です。端切れをそのまま再利用することで、素材本来の質感を残した「生成り」の生地に加工。シンプルでありながら、繊維のかたまりによるネップ糸の模様など、一つひとつ個性のあるアイテムに仕上がります。

代表的な例は、『無印良品』の取り組み。シーツの製造によって余った端切れを綿状にし、複数の色を混ぜることで再生コットンの生地が作られています。端切れの色をまんべんなく組み合わせ、やさしいグレーのような色味に。再生コットンならではの肌触りの良さを生かし、ふとんカバーや枕カバーなどの製品に使用されています。

Tシャツからデニムまで。繊維の混合でファッションにも活用

近年では、アウトドアメーカーの『パタゴニア』や、ファストファッションブランドの『ZARA』も再生コットンを使用した製品づくりに取り組み、アパレル業界でも盛り上がりを見せています

コットン生地の端切れや、古着を回収して細かく砕いた生地を原料に、他の繊維を混合。スウェットやTシャツ、デニムといった衣類に生まれ変わらせ、廃棄物を出さないアップサイクルの取り組みにつながっています。

2.再生コットンの生産工程とサステナブルなポイント

再生コットンの生産工程 作成:アイグッズ

では、再生コットンのサステナブルな要素はどのようなところにあるのでしょうか。

生産時に廃棄される生地の端切れを再加工

縫製品などの製造によって生まれる裁断くず、残糸などの「繊維廃棄物」は年々増加し、その廃棄時に発生する二酸化炭素は大きな環境問題になっています。

環境省が2021年4月に発表した「ファッションと環境に関する調査」によると、2020年の1年間で、国内の家庭や企業から手放された衣類は78.7万トン。そのうち、51.2万トンが廃棄されたのだそうです。さらに製造の過程で生まれる裁断くずや糸なども含め、衣類の製造から廃棄までに排出される二酸化炭素は、なんと9500万トン。こうした社会問題は、ファストファッションが流行するアパレル業界で深刻な課題とされてきました。

そこで、本来は廃棄されるはずの生地を集めて粉砕し、綿くずを撚って生地を生産。新たに再生コットンとして生まれ変わることで、サステナブルな製品づくりを実現させています。

再染色をしないことで、水問題を解決

従来のコットン生地を使用した製品づくりにおいては、大量の水を消費することも問題視されています。特に「染色」の作業では、原材料の調達から製造まで、服1着を製造するために必要な水の量は約2300リットル。浴槽約11杯分とされています。

その一方で、再生コットンは生成り生地が原料。本来の色を生かして生地を加工するため染色する必要がなく、環境への負荷を低減することができるのです。

3.再生コットンのメリット・デメリットとは?

それでは、実際に再生コットンを製品の素材として使用する上で、メリット・デメリットを解説します。

季節を問わず活躍する機能性と、高い耐久性がメリット

さらりと心地よい肌触りで、吸水性や通気性にも優れている再生コットン。気温が高く汗ばむ夏場のシーンにも重宝する、Tシャツや下着などの衣類に活用できます。

また水に強く、耐熱性も兼ね備えた丈夫な生地だからこそ、気軽に洗濯やアイロンがけができる点もポイント。日々の買い物に欠かせないエコバッグや、化粧品や文房具など汚れやすい物をしまうポーチなど、繰り返し洗って使える身近なアイテムの生地としても最適です。

再生コットンのメリット

・さらりと心地よい肌触りで、吸水性や通気性にも優れる

・水に強く、耐熱性も兼ね備えた丈夫な生地なので、気軽に洗濯やアイロンがけができる

・繰り返し洗って使える身近なアイテムの生地としても最適

製品の扱い方やメンテナンスによる劣化がデメリットに

コットンは、再生コットンに生まれ変わっても、手触りなどは特に変わりません。しかし再生コットンの場合は、通常のコットンと比べて、繊維のかたまりや黒点、異色糸の混入が多いのが特徴。染色すると色ムラが出やすいことから、基本的に「生成り」の状態で生産されているというわけです。

また再生コットンは耐久性が高い一方で、洗濯によって縮んだり、乾いたときにシワになりやすいという弱点があります。そのうえ乾きにくく、摩擦によって毛羽立ちやすいという特徴も。こうしたデメリットを理解し、使用シーンやメンテナンスの必要性などを考慮しながら、生産する製品のラインアップを検討する必要があります。

4.再生コットンにぴったりなおすすめグッズ

見た目にも素朴で使い勝手の良い再生コットン。メリットやデメリットを踏まえて、グッズ製作に活用したいものです。

耐久性に優れた再生コットンは、重たい荷物を入れたり、毎日の買い物で頻繁に使うエコバッグに向いているでしょう。また、枕カバーやふとんカバーに使用すれば、汗を吸収し、さらりとした寝心地を実現させます。汚れても気軽に洗濯できるため、テーブルクロスやタオルなどの製作にも活用してみてはいかがでしょうか。

5.自然な風合いが魅力の再生コットン。「余らせない」循環型のものづくりでSDGsを目指す

廃棄物を新しい製品に生まれ変わらせるアップサイクルによって、無理なく環境保護に貢献することができる再生コットン。柔らかな感触や、天然ならではの色味も楽しめるサステナブルな生地です。

最近では、人間や環境にやさしく持続的な社会をつくるためのライフスタイルを表す、「エシカル消費」という言葉を耳にする場面も多くなりました。それに応えるように、若者にも身近なファッションブランドや、生活用品、インテリアなどの世界中のメーカーがサステナブルな生地を積極的に取り入れ、製品を生み出しています。

アイグッズでは、こうした生地の加工から製品化までを行い、環境への負荷に配慮したエコグッズの制作に取り組んでいます。エネルギーの消費や環境汚染を防ぎ、身近なアイテムにも活用できる再生コットンを通して、SDGsへの積極的な取り組みの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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