ホテル・旅館のスリッパを“エコ”に見直すべき理由とは?素材・選び方・導入のヒントを紹介
2025/06/13

客室に必ず用意され、チェックインからチェックアウトまで滞在中ずっと使われる“スリッパ”。
実はこの日常的な備品のひとつが、ホテルのエコ姿勢を象徴する存在として見直されています。
昨今、SDGsの取り組みが宿選びの一因となる中、消耗品の中でもスリッパは「替えやすく・伝えやすいエコ施策」として注目されているのです。
本記事では、ホテル・旅館のスリッパ事情と課題、そして環境配慮と快適性を両立するスリッパ選びのポイントを解説します。
1.ホテル・旅館のスリッパ事情|消耗の多さとエコへの課題

一見すると些細な備品ですが、その運用方法によっては、環境負荷や運営コストに大きな差が生まれるスリッパ。まずは、スリッパをめぐる現状と、それがエコ課題としてどのように浮上してきているのかを紐解きます。
年間数万足が廃棄対象に
一般的なホテル・旅館では、宿泊者一人ひとりに清潔なスリッパを提供する運用が定着しています。特に「使い捨て=清潔」という価値観が強い日本の宿泊業界では、毎日大量のスリッパが消費・廃棄されるのが当たり前になっているケースも少なくありません。
たとえば1日100名のゲストを迎える施設であれば、年間3万6,500足を超えるスリッパが使い捨てられることになります。この膨大な量のスリッパが、廃棄ごみとして環境に負担をかけるだけでなく、保管スペースや物流、交換対応といった目に見えにくいコストにもつながっているのです。
使い捨てスリッパの多くは石油由来プラスチック製
現在市場に出回っている使い捨てスリッパの多くは、石油系プラスチックで作られています。安価で大量に仕入れられる反面、製造・焼却の過程でCO₂を多く排出する上に自然分解されにくく、環境への負荷が大きいという課題を抱えています。
スリッパは“見直しやすいSDGs施策”の一つ
食品ロス削減やタオル・リネンの再利用など、さまざまなエコ施策がありますが、スリッパは「切り替えるだけ」で実施でき、オペレーションにも大きな影響を与えないのが魅力。
また、客室や館内でゲストの目に触れやすく、「この施設は環境配慮している」と直感的に伝わるため、“伝わるエコ”としてブランディング面でも高い効果を発揮します。
2.“エコスリッパ”とは?環境にやさしいスリッパに求められる条件

では、「エコなスリッパ」とは一体どのようなものなのでしょうか?単にエコ素材を使っているだけでなく、ホテルや旅館の世界観やブランドイメージ、宿泊者の満足度にも寄与する“総合的な価値”が求められます。ここでは、エコスリッパに求められる5つのポイントを整理してご紹介します。
再生素材や自然由来素材が使われている
ペットボトル由来の再生PETや、麦わら、麻、コルクなどの自然素材を用いたスリッパは、環境資源の循環に貢献します。こうした素材は、限りある資源の保護だけでなく、使用時にもナチュラルな風合いや温かみを感じさせてくれるのが特徴です。
さらに、「素材にこだわっている宿」というイメージは、エコ意識の高い宿泊者にとって好印象にもつながります。生分解性素材や天然繊維などは、燃やせるゴミとして廃棄できるため、廃棄時に手間がかかりません。
繰り返し使える・耐久性のある仕様
洗えるメッシュ素材や合皮タイプのスリッパは、複数回の使用を想定して設計されており、使い捨てと比較して環境負荷も大幅に軽減されます。館内履きなどで共有される場面にも適しており、業務用としても運用しやすいのが魅力です。また、耐久性の高い仕様は、結果的にコストパフォーマンスにも優れ、長期的にみて施設運営の効率化にもつながります。
宿泊者が“お持ち帰り”して再利用できるデザイン性
見た目がおしゃれで、かさばらず軽量なスリッパは、宿泊後に“旅の記念”として持ち帰ってもらいやすくなります。その結果、施設での廃棄量も自然と減少し、エコにつながるという好循環が生まれるでしょう。さらに、ブランドロゴや施設名がさりげなく入っていれば、SNSでの拡散や口コミ強化にもつながり、「無料の広告ツール」としての役割も果たします。
認証素材など、背景がクリアなもの
製造背景が明確な商品は、施設側のエシカルな取り組みとして宿泊者にも信頼感を提供できます。例えば、エコマークやFSC認証マークなど、第三者機関の認証がある素材を選べば、公式サイトや客室案内での紹介にも説得力が増します。「環境への配慮を、きちんと伝える」ことが、今の宿泊選びにおいては非常に大きな価値となるのです。
3.ホテルが選ぶべき!注目のエコ素材5選
特に、見た目の変化がわかりやすく宿泊客にエコと伝えやすい「素材の変更」は、手軽に取り入れやすい施策の一つ。ここでは、注目のスリッパ素材をご紹介します。
素材 | 特徴 | おすすめ用途 |
---|---|---|
再生PET | 軽量で乾きやすい。速乾性・通気性に優れ、肌当たりも◎ | 客室アメニティ向けの簡易スリッパ |
麻(リネン)・コットン | 自然素材で通気性抜群。ナチュラルな見た目で高級感あり | 和・自然派コンセプトの宿泊施設 |
コルク再利用 | 防臭性・断熱性に優れ、ユニークな質感 | 館内ばき・浴場移動用スリッパの底面 |
麦わら再利用 | 通気性・吸湿性に優れている。素材感が伝わる見た目がおしゃれ | 館内ばきスリッパの底面 |
メッシュ(洗えるポリエステル等) | 吸湿性・通気性・速乾性に優れ、洗濯可能 | ウォッシャブルスリッパ・連泊対応施設向け |
再生PET

ペットボトルやプラスチック容器を再資源化して作られた再生繊維。エコアメニティとしてペットボトル由来を前面に出せる製品はまだ少なく、SDGsの取り組みとしても差別化が可能です。見た目や肌触りは一般的なポリエステルと変わらず、違和感なく使用できます。
軽量・通気性・速乾性に優れており、客室アメニティ用や“お持ち帰りOK”な仕様との相性が良いです。
麻(リネン)・コットン

フラックスという植物の茎から作られる自然素材「麻」は、通気性が良くさらりとした肌触りが特長で、夏季や湿気の多い環境に最適です。また、アオイ科ワタ属の「ワタ」という植物の綿花・花から作られるコットンは、柔らかく吸水性が高い素材のひとつ。
どちらも自然な風合いとナチュラルな色味で、客室の雰囲気になじみやすいです。さらに、両者とも蒸れにくく快適な履き心地で、特に夏などの高温多湿な季節にはゲストに心地よさを提供できます。和風旅館、自然派ホテル、グランピング施設などにおすすめです。
コルク再利用

ワインボトルの栓などに使われたコルクを粉砕・再加工して使用される素材。コルクならではのナチュラルな質感はデザイン性にも優れ、スリッパの底面素材として多くの宿泊施設で採用されています。弾力性に優れ、踏み心地が柔らかく、軽量で持ち運びやすいのが特徴です。防臭性・抗菌性があり、館内履きや浴場などの水回りに最適です。
綿・麻などの他素材とのコンビも映え、差別化を図りたい施設や環境意識の高い旅館・デザイン性重視のホテルにおすすめです。
麦わら再利用

稲・小麦などイネ科植物の主に茎を乾燥させた素材。天然素材を使っているだけでなく、使用済み麦わらを再利用しているため環境にやさしいです。繊維にはうっすらとベージュ色のドットが見られます。素材感がしっかりと感じられる見た目は、ナチュラル志向の宿泊施設にとって魅力的なポイントです。
こちらもコルク素材同様、底面に使われ、タオルのような柔らかい質感のパルプ素材との相性が良いです。
洗えるメッシュ素材

洗濯対応を前提に設計された通気性・速乾性に優れた合成繊維。メッシュ構造により熱がこもらず、湿気の多い地域や連泊客にも快適です。複数回使えるため、廃棄量削減に貢献し、業務用コストとしても合理的でしょう。豊富なカラーバリエーションも魅力で、施設のインテリアやブランドカラーと調和させやすい点も高評価です。連泊や滞在時間の長い高稼働型ホテル、エコ志向施設にマッチします。
4.滞在者の満足感にもつながる!エコスリッパ選びの3つのポイント

滞在中何度も目にし、触れるスリッパだからこそ、「履き心地」や「デザイン」、「ブランドとの一体感」など、細部にまでこだわることで、施設全体の印象が大きく変わります。
ここでは、エコスリッパを選ぶ際に意識すべき3つの視点を整理してご紹介します。
1.素材の見た目や履き心地
お客様の第一印象に直結するのが、見た目の質感や履いたときの感覚です。「エコだからチープ」ではなく、見た目や触感からも上質さを感じられるスリッパを選ぶことで、ゲストの第一印象に残るおもてなしにつながります。
2.施設の世界観に合うか?
旅館なら和風、グランピングならナチュラル、ラグジュアリーホテルならシックなど、施設の内装やブランディングとスリッパのテイストを統一することで、世界観が一層引き立ちます。たとえば、自然素材を使ったスリッパは、木の温もりを活かした客室とも相性がよく、空間全体の統一感が演出できます。
3.ブランディングができるか?
名入れやタグ付けなどを施すことで、記憶に残るアメニティに昇華させることができます。「おしゃれで再利用したくなる」デザインは、旅の思い出として自宅でも使われる可能性が高く、SNSでの共有や口コミにつながりやすい点も魅力です。
5.SUSPROなら、おしゃれもエコも叶うスリッパをご提案!
ここまでエコスリッパを紹介してきましたが、実際に何を選べばよいのか、迷われる施設担当者の方も多いのではないでしょうか?SUSPROでは、「環境への配慮」と「宿としての美意識」の両立をテーマに、ホテル・旅館に最適なスリッパを多数ご提案しています。実際に人気の高い4製品をご紹介します。
コルク屑再利用 コットンスリッパ
靴底には赤ワインボトル栓用のコルク屑を、その他生地はすべてコットンを使用しているエコな製品です。繰り返しお使いいただけるため、廃棄物削減にもつながります。
ペットボトル再利用クッションスリッパ
ペットボトルの再生素材を使用したエコなスリッパ。黒×グレーのツートーンカラーが洗練された印象を与え、「エコ=スタイリッシュ」という価値観を体現します。長さも29.5㎝と男性、女性ともに着用いただけます。
ウォッシャブルスリッパ
通気性のあるメッシュ素材を使用した前開きのスリッパ。厚みのあるソールは洗えるため、汚れても繰り返しで使えます。白と茶色の2色展開で、お好みのカラーをお選びいただけます。
スリッパ用巾着
お持ち帰りに最適な、スリッパがすっぽり入る巾着も展開中。コットンとペットボトル再利用の2素材があり、天然のコットンは醸し出す優しい風合いが特徴でブランディングに貢献します。ペットボトル再利用素材は、中身が見える程の薄さに対し、引っ張ってもヨレない頑丈さが特徴です。目に見える繊維感と白のカラー、サラサラな肌触りが上品さを演出します。
巾着とスリッパをセットで提供することで、高級感を演出でき、お客様にもお持ち帰りいただきやすくなります。特に長期滞在や記念日利用など、滞在の余韻を自宅に持ち帰る“思い出のアメニティ”としても人気です。
スリッパはそれぞれ、無料サンプル対応・名入れカスタムも可能です。
6.まとめ|まずは“足元から”サステナブルに
スリッパは、宿泊体験に欠かせないアイテムでありながら、最も見直しやすいエコアクションの1つ。素材の選定や運用方法を変えるだけで、環境配慮・ブランド訴求・滞在価値向上がすべてつながります。
未来の宿選びに寄り添う一足を選んでみてはいかがでしょうか?
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