ホテルのインバウンド対策完全ガイド 訪日客に選ばれる秘訣
2025/09/03

円安や旅行需要の回復を背景に、日本の観光市場は再び世界中から注目を集めています。街で海外からの旅行者を見かける機会も増え、ホテル業界にとっては大きなビジネスチャンスとなっています。多様なニーズを持つゲストに満足度の高い滞在を提供するためには、戦略的なインバウンド対策が欠かせません。
本記事では、最新の市場動向から具体的なおもてなしの手法、さらに競合との差別化につながるサステナビリティまで、これからのホテル経営に求められるポイントを解説。訪日客から選ばれるホテルになるための実践的なヒントをご紹介します。
1.活況が続く日本のインバウンド市場とその重要性

日本政府観光局(JNTO)によると、2025年4月の訪日外国人客数は約390.9万人に達し、単月として過去最高を記録しました。さらに、2025年1〜6月の累計では2,151万人と、前年を大きく上回る勢いを見せています。
この好調の背景には、継続的な円安を皮切りに、国際便の本格的な再開と運航便数の増加があります。実際、2025年4月にはアジア・欧米豪の主要市場で増便が顕著に見られ、訪日需要を一層押し上げました。
こうした追い風を受けて外国人旅行者は確実に増加しており、このビジネスチャンスを最大限活かすことが、ホテル業界にとって持続的な成長のカギとなります。インバウンド対応の質を高めることは、売上拡大に直結するだけでなく、従業員が異文化対応力や柔軟なホスピタリティを身につける機会にもなり、サービス全体の質を高める好循環を生み出します。
2.訪日客はホテルに何を求める?必ず押さえておきたい7つの対策

海外からのゲストに快適な滞在を提供し、「また来たい」と思ってもらうためには、設備面の整備とサービス面での工夫の両方が欠かせません。ここでは、ホテルが実践すべき7つの重要なポイントを具体的に解説します。
多言語対応で安心感を提供
予約時点からストレスなく利用できるよう、公式サイトや予約ページは英語を基本に、多い利用客層に合わせて中国語や韓国語などの言語にも対応しておくことが望まれます。館内でも、客室内の案内や非常時の誘導表示、レストランのメニューなどは多言語で表記することで、滞在の安心感が高まります。
スタッフの語学力向上は理想ですが、翻訳アプリや指差し会話シートなどを併用することで、現場の負担を軽減できます。
無料Wi-Fiと充実した電源環境
安定したインターネット環境は、海外旅行者にとって必須です。全館で利用できる無料Wi-Fiを提供するとともに、客室にはスマートフォンやカメラなどを充電できるコンセントやUSBポートを十分に設置しましょう。さらに、変換プラグの貸し出しがあると一層便利です。
キャッシュレス決済への対応
世界的にキャッシュレス化が進む中、慣れない現金決済しかできないと宿泊客にとって不便さにつながります。以下のような決済手段に対応しておくと安心です:
- クレジットカード(Visa、Mastercard、Amexなど)
北米・欧州を中心に世界的に利用される標準的な決済手段 - 銀聯(UnionPay)
中国本土で圧倒的シェアを持つカードブランド。中国人旅行者の必須手段 - Alipay(アリペイ)
中国最大級のモバイル決済。都市部や若年層旅行者に広く普及 - WeChat Pay(ウィーチャットペイ)
中国国内の日常決済の定番。アジア圏での利用拡大も進む - Kakao Pay / Naver Pay
韓国で普及する決済アプリ。韓国からの訪日旅行者対応に有効 - GrabPay / GCash / TrueMoney
東南アジア(シンガポール・フィリピン・タイなど)で利用されるモバイル決済
フロントだけでなく、レストランや売店など館内全体で利用できるよう整備すると、販売機会のロスを防ぐことができます。
日本文化を感じる体験や地域情報の発信
旅行者は「宿泊」だけでなく「そこでしかできない体験」を求めています。着付けや茶道といった文化体験の提供、近隣観光スポットや地元の名店の紹介は滞在価値を大きく高めます。
さらにコンシェルジュデスクを設置すれば、観光プランの提案や予約手配などきめ細やかなサポートが可能となり、安心感と満足度が向上します。
オンライン旅行会社と口コミの活用
海外の旅行者がホテルを選ぶ際、多くはオンライン旅行会社(Booking.comやAgodaなど)や口コミサイト(TripAdvisorなど)を参考にします。これらに正確かつ魅力的な情報を掲載し、常に最新化することが集客の基本です。口コミへの丁寧な返信は信頼を積み上げる重要な要素となります。
食文化・習慣への配慮
旅の楽しみのひとつである「食」には多様なニーズがあります。ベジタリアン、ヴィーガン、ハラルへの対応や、アレルギー表記の工夫は幅広い層を受け入れるうえで有効です。全てに対応するのが難しくても、事前相談できる体制があるだけで安心感につながります。
サステナビリティを経営に取り入れる
環境や地域社会への配慮は、今や旅行者にとって当たり前の基準です。使い捨てプラスチックを減らしたアメニティ、地産地消の食材、リネン交換を選択制にする仕組みなど、ホテルができる工夫は数多くあります。積極的に発信することで、特に欧米の旅行者から強い支持を得られます。
3.インバウンド対策の課題と、効果的な解決のヒント
こうした受け入れ体制の整備には、コストや人材負担が伴います。多言語対応やキャッシュレス設備を自社で全て整えるのは容易ではありません。
その解決策のひとつが、補助金の活用や外部サービスとの連携です。国や自治体の補助金制度を上手に利用すれば、基盤整備の負担を軽減できます。そのうえで、自社独自の強みを磨く領域にリソースを注ぐことが可能になります。
次では、競合と差をつけ、選ばれるホテルになるための3つの戦略をご紹介します。
4.競合と差をつける!インバウンド集客を成功させる3つのコツ

ターゲット国・地域を明確に絞り込む
ホテルの立地や特性を踏まえ、自社と親和性の高い国や地域にフォーカスしましょう。例えば、自然豊かなリゾート地は欧米の長期滞在客、都市型ホテルはアジア圏の若年層やビジネストラベラーとの相性が良いといえます。ターゲットを絞ることで、サービスやプロモーションの精度が大幅に高まります。
SNSや動画を活用して「泊まる価値」を伝える
InstagramやTikTok、YouTubeはホテルの世界観を直感的に伝える有効な手段です。客室や料理だけでなく、スタッフのホスピタリティや地域の隠れた魅力を映像で紹介すれば、旅行者の「ここに泊まりたい」という気持ちを高められます。海外インフルエンサーとの連携も効果的です。
サステナビリティをブランド価値として示す
環境配慮や地域貢献は、旅行者が宿泊先を選ぶ際の基本的な評価軸です。プラスチック削減アメニティや地産地消の食材活用は、環境負荷を抑えるだけでなく「ゲストの価値観を尊重したホテル」として評価されます。特に欧米の旅行者はこの視点を重視しており、ホテルのブランド価値を高める重要な戦略となります。
5.サステナビリティで選ばれるホテルへ 導入事例のご紹介
これまで解説してきた施策に加え、改めて強調したいのは「環境配慮や地域貢献」が宿泊先を選ぶ際の基本的な評価軸のひとつになっていることです。しかも、アメニティや備品の工夫などは大規模投資を伴わず導入しやすく、すぐに始められる点も魅力です。
【事例1】エコと高級感を両立したアメニティ(ほてる小柳津様)
竹製の歯ブラシやバンブー素材のカミソリを採用。高級感と環境配慮を兼ね備えたデザインが宿泊客から好評で、準備効率の向上にもつながっています。
【事例2】地域の自然と調和する備品(徳之島リゾートホテル&オフィス様)
トウモロコシ由来の歯ブラシやヘアブラシを「ホテルからのギフト」として提供。ゲストが帰国後も島の自然を思い出すきっかけとなり、思い出づくりに貢献しています。
【事例3】「自然共生」をテーマにしたアメニティ(BLANC FUJI様)
竹素材の歯ブラシを採用し、さらにフロントでゲスト自身がアメニティを選べる仕組みを導入。ホテルコンセプトを体験として感じてもらう工夫を行っています。
6.まとめ:戦略的なインバウンド対策で、世界中の旅行者から選ばれるホテルへ
拡大を続けるインバウンド市場は、日本のホテルにとって大きな成長機会です。このチャンスを活かすためには、基本的な受け入れ体制を整えるだけでなく、自社ならではの強みを打ち出すことが重要です。
特に環境配慮や地域貢献といったサステナブルな姿勢は、今や旅行者に共通する評価軸であり、ブランド価値を高める有効な戦略です。その第一歩として、アメニティや備品から取り組む方法は負担が少なく効果的です。
SUSPROでは、上質なエコアメニティや備品を豊富に取り揃えています。さらに、ホテルや旅館のコンセプトに合わせたオリジナルグッズ制作もサポート。環境配慮と高級感を両立したアイテムづくりにご関心があれば、ぜひご相談ください。
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