サステナブル生地

「再生ポリウレタン」とは?廃棄物をポリウレタン素材に練り込んだリサイクル生地

2021/09/09 (更新日:2023/08/04)

レザー素材のように高級感がありながら、安価で手軽に扱える「再生ポリウレタン」。上質な見た目や、肌なじみの良さに加え、機能性にも優れていることから、日常使いの雑貨アイテムにも最適です。

再生ポリウレタンとは、とうもろこし繊維、パイナップル繊維、りんごの皮、コーヒー粉、海藻などの食べ物や、竹・廃ガラスといった廃棄物をポリウレタン素材に練り込んだリサイクル生地のこと。製造工程において動物由来の天然皮革を使う必要がないため、自然に暮らす動物の生態や環境を守り、SDGsの目標にも貢献できる素材です。

今回は、再生ポリウレタンを使うことで地球環境にもたらす好影響や、素材を活用した製品が生まれるまでの流れを紹介していきます。

1.上品な質感で使いやすい。再生ポリウレタンの特徴

上品さと柔軟性を兼ね備え、身近なアイテムに活用

柔軟性、弾力性があるため、ポーチや財布など、伸縮性が求められる身の回りの小物の製品化に適しています。また天然皮革に近い質感なので仕上がりに高級感があり、ジャケットやバッグなど、上品さを演出したいファッションアイテムにも重宝します。

撥水性バツグン!雨も汚れも気にせず使えるグッズに

再生ポリウレタンは、定期的にクリームを塗るなど、こまめな手入れが必要な天然皮革とは異なり、メンテナンスの手間がかからないのも利点のひとつ。

また、天然皮革は水濡れによってシミができやすいため、雨天時の使用には気を遣うこともあるでしょう。再生ポリウレタンは撥水性に優れているため、通勤・通学時などを想定したトートバッグやリュックなどの製品化にも最適。水濡れを気にすることなく使える、利便性の高さもポイントです。さらに、多少の汚れであれば、絞った濡れタオルなどで水ぶきするだけで簡単に手入れが可能。ユーザーの使い心地も考えた製品づくりができるでしょう。

2.そもそも、ポリウレタンとポリエステルの違いって?

化学繊維の中でも比較的メジャーな素材の「ポリウレタン」。衣類に使われることの多い「ポリエステル」と同様に、日常生活でもよく耳にする素材ですが、そもそもポリウレタンとポリエステルの違いは、どのような部分にあるのでしょうか。

伸縮性や柔軟性の高いポリウレタンと、丈夫で耐久性に優れたポリエステル

ポリウレタンは、ウレタン素材が配合された化合物であり、伸縮性、柔軟性に優れているという点が特徴。タグなどで「PU」と表記されます。肌着やストレッチ素材のボトムなど、肌触りを重視した衣類などに使われます。また、前述の再生ポリウレタンの特徴からもわかるように、質感の良さから、合成皮革に使われる素材としても知られています。

一方のポリエステルは、石油を原料とした合成繊維で、「PE」と表記されます。ポリウレタンに比べて丈夫で、耐久性が高いという特徴があります。またシワになりにくく、型崩れが少ないため、手入れがしやすいという点もポイント。ワイシャツやスポーツ用のユニフォームなどの衣料品などに多く活用されています。

衣料品に用いられることが多いポリエステルとは異なり、ポリウレタンはその性質を活かしたスポンジや断熱材、防音材などにも多く活用されています。

ポリウレタンとポリエステル、マスクの効果の違いは?

マスクの感染症予防の効果については諸説ありますが、ポリエステルの場合、自身が吐き出す飛沫の広がりを防ぐことはある程度できるものの、吸い込む飛沫を防ぐという面では不織布マスクより劣るというのが一般的な見解です。

一方のポリウレタンは着け心地がよく、呼吸がしやすいものの、こちらも不織布などの素材に比べてウイルスの除去性能では劣るという説も。

日常的に用いるマスクにおいては、どのような素材のマスクであっても完全にウイルスを除去できるわけではありません。さまざまな感染症予防策の一環として、しっかりとマスクを着用したいものです。

3.再生ポリウレタンの生産工程とサステナブルなポイント

野菜・果物の繊維や皮、コーヒー粉や海藻などの食べ物や、竹・ガラスなどの廃棄物を有効に活用しようと開発されたのが、再生ポリウレタンです。環境に配慮したサステナブルな生地を使うことで、具体的には環境へどのような影響をもたらすのか、見ていきましょう。

廃棄を出さずにリサイクル。自然に優しいエコ素材

再生ポリウレタンを作るにあたって、さまざまな廃棄物を集めます。その後、加熱や溶融などの再生プロセスを経て原料に戻し生地を再生産。動物性のレザーを使った製品は使わず、合成皮革のみを原料として活用しているので、動物愛護や生態系の保護、環境保全への配慮などにもつながる、自然思いの生地と言えるというわけです。

GRSマークにより環境への配慮を証明。SDGsの「つかう責任」にも貢献

アイグッズでは、GSR(グローバル・リサイクルド・スタンダード)認証された生地を使って、グッズを作ることも可能です。GSRとは、製品のリサイクル含有物を検証し、環境配慮、適切な化学物質管理の実施など、社会的責任を果たした上で生産されているかを証明する国際的な基準です。

グッズを製作する際に、GRSマークがある生地を選択することは、SDGsの目標12「つくる責任」はもちろん、製品を使う人の「つかう責任」にも貢献できるサステナブルな取り組みといえるでしょう。

4.再生ポリウレタンのメリット・デメリットとは?

改めて、再生ポリウレタンを製品の素材として使用する上でのメリット、デメリットをまとめてみましょう。

天然皮革と比べた手頃な価格と使い心地の良さがメリット

見た目が天然皮革に近く、安価でありながら高級感のある製品が作れる再生ポリウレタン。弾力性と柔軟性に優れ、質感や使い心地の良さが特徴です。

また、再生ポリウレタンは軽量で扱いやすい点もポイント。天然皮革に比べて手入れをこまめに行う必要がないので、バッグやポーチ、手帳カバーなど、ハードユースのアイテムにもおすすめの生地です。弾力性、柔軟性の良さから、形にこだわった雑貨アイテムにも活用できますよ。

再生ポリウレタンのメリット

  • 天然皮革のような見た目
  • 価格がリーズナブル
  • 軽量
  • 弾力性や柔軟性に優れている
  • 手入れが楽

グッズを日常で使う上でのデメリットは、コーティングの経年劣化

日常的な使用に対する耐久性には優れている一方で、天然皮革のように経年によって味わいが増すエイジングを楽しむことはできません。むしろ、経年によってコーティングの劣化などが起きやすく、傷みが生じることもあることは事前にしっかりと理解しておきましょう。

また再生ポリウレタンは生地の在庫が少ないため、グッズの製造にはある程度の発注ロット数が必要となり、通常の合成生地に比べると単価が高くなります

5.再生ポリウレタンにぴったりなおすすめグッズ

軽量で扱いやすさに長けている反面、傷みによる劣化には注意しなければならない再生ポリウレタン。こうしたメリットとデメリットを理解したうえで、グッズの生地として取り入れてみませんか。

柔軟性や耐久性に優れているため、ポーチや財布といった小物類に活用すれば、収納力や使い心地は抜群。また高級感を演出したいバッグにはもちろん、手入れも気軽にできるので、使用頻度が多く汚れやすいペンケースなどにも向いているでしょう。

6.必要以上に環境を破壊しない。再生ポリウレタンで地球にやさしいレザー風グッズづくりを

天然皮革と比べ安価でありながら、見た目や質感では遜色のない再生ポリウレタン。上品さがありながら、軽量で気軽に扱える機能性の良さも魅力です。

アイグッズでは、再生ポリウレタンの特性を熟知したうえで、機能性やデザイン性がともに優れたグッズを生産することを可能にしています。自社の製品を通してモノの循環を生み出すことで、環境を守る製品づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

コメント一覧
  • 再生ポリウレタンを再生させる事は出来ないのかしら。端材を使い回してpuレザーを余さず使えるとしても、再生ポリウレタンを再生させて循環可能かが明記されていないので、実はまだ本革の方を利用する方が環境に優しいかもしれないと思ってしまう。必ず経年劣化してダメになってしまう物を、端材の再利用だけの提案では、手入れをして大事に使うよりも消費を生み出すと考えてしまうから。肉食が食料効率が悪いので減らしていく方が望ましいのであろうが、 モヤモヤする。消費に取りつかれた人間は本革であろうと長く愛用せず消費して終わりなのだから、経年劣化する物を奨めても良いじゃないと言われたらそのとおりなので、再生ポリウレタンも再生できるのであれば、問題ないので、そちらを分かりやすく謳ってくれませんかね。

    2022.08.30

    匿名 様

    • 匿名様
      コメントいただきまして誠にありがとうございます。

      現時点では「再生ポリウレタンを、再度再生ポリウレタンにリサイクルする」といったケースは確認できておりません。
      この記事の目的としましても、「本革が良いか・再生ポリの方がいいかの比較」ではなく、再生ポリの特徴をまとめたものになっております。

      サステナブル生地と一口に申し上げても、ご指摘の通りそこでまた発生する課題や見つめるべき点があるかと存じますので、
      弊社としましても最新の技術・研究を日々取り入れていく所存でございます。

      また、コラム記事につきましても最新情報を入手し、都度更新・発信に努めてまいります。
      今後とも何卒よろしくお願いいたします。

      SUSPRO編集部 根岸

      2022.09.12

      igoods 様

  • 環境負荷を軽減とありますが、化学分解や熱分解の過程で大量の温室効果ガスが発生したりしていないのでしょうか。また、織り生地や不織布などにはポリウレタンではない素材が混ざっているものと思ったのですが、ポリウレタン以外の成分もまとめて再生産されるのか、その場合再生ポリウレタンの品質は落ちないのか、気になりました。とはいえ合成皮革も再利用できるなんて魅力的だなと思います。

    2023.07.24

    匿名 様

    • 匿名様
      コメントいただきありがとうございます。編集部よりご回答させていただきます。
      化学分解も熱分解も温室効果ガスの発生は0ではありません。しかし、燃焼するよりも温室効果ガスの放出を制御できるため、環境への負荷を軽減すると言われています。
      また、ポリウレタン以外の成分もまとめて再生産されることもあります。品質については、耐久性に問題ない程度の廃棄物の混合率にして生産しています。
      引き続き、SUSPROをよろしくお願いいたします。
      SUSPRO編集部 根岸

      2023.08.04

      igoods 様

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