ホテル業界が取り組むSDGs。期待されるゴールとその理由、社会課題の現状と数字を徹底解説
2022/02/10 (更新日:2024/09/30)
2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラスチック資源循環法」)が施行されることを受け、プラスチック製品の削減に向け、各業界で取り組みが加速しています。中でも大きな課題に直面している業界の1つが、ホテル業界です。
プラスチック削減を目指す時流に乗り遅れないことはもちろん、SDGsの活動に積極的に取り組むことは、ホテル業界にとって急務です。
ホテル業界がSDGsに取り組むにあたり、どのような視点で、何を優先的に取り組むと良いのでしょうか。知っておくべき社会の現状や概念についてまとめ、ホテル業界におけるSDGsへの取り組みについて解説します。
1.ホテル業界のSDGsの現状と未来を理解する
ホテル業界においては、衛生面とコスト面のバランスから、これまで多くの使い捨て(ワンウェイ)プラスチック製品をアメニティとして使用してきました。また建築に使用する膨大な量の資材、空調、清掃や洗濯など、あらゆるシーンで地球資源を活用しています。
ホテル業界が知っておくべき現状と、SDGsを通して目指すべき未来について、意識するようにしましょう。
日本政府観光局の「SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」からホテル業界を読み解く
ホテル業界のSDGsにまつわる現状について検証するにあたり、まずは観光業界全体の取り組みを把握しておく必要があるでしょう。
日本政府観光局(JNTO)では「SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」を策定し、2021年6月に発表しました。
サステナビリティに対する世界的な意識の高まりも踏まえ、JNTOでは、サステナブル・ツーリズムに関する情報発信の強化をはじめ、先進事例の情報提供、ユニバーサル・ツーリズムに資する情報の発信などの取り組みを推進しています。
JNTOが推進する取り組み
- サステナブル・ツーリズムの推進に取り組む日本の地域や観光コンテンツ(アクティビティや観光・飲食・宿泊施設等)の海外向け情報発信
- 国内関係者への国内外の先進事例の情報提供
- 海外の旅行者に対する「責任ある旅行者(レスポンシブル・トラベラー)」としての行動の奨励
- 人種や国籍、民族や宗教、ジェンダーや年齢、障害の有無等に関係なく全ての旅行者が日本において快適で安全・安心な旅行ができるようなユニバーサル・ツーリズムに資する情報発信
ここで、JNTOが考える持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)として挙げられているのが、地域の「環境」を守る・育む、地域の「文化」を守る・育む、地域の「経済」を守る・育むという視点です。
また、世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」の日本法人 ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社の意識調査でも、サステナブルな旅行に対する需要の高まりが明らかに。今後、「サステナブルな旅行を優先したい」という考えに至った日本の旅行者は、82%にものぼるという結果が示されました。
さらに、2021年12月にアイグッズが行った「ホテル旅館に対する 旅行者意識調査」においても、環境に配慮しているホテル・旅館に対し、全体の71%が「印象が良い」と回答。また、年に6~10回以上旅行をするリピーター層では、エシカル消費(環境に配慮した消費行動)を普段意識すると答えた人が約74.7%にのぼるなど、リピーター層の環境への意識の高さがうかがえました。
こうしたSDGsへの機運の高まりは、観光産業に含まれる宿泊業(ホテル・旅館)にも大きく関連します。今後はますます、SDGsの現状と人々の意識を理解した上で、SDGsへの取り組みを考えることが重要になるでしょう。
>>外部リンク「SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針(JNTO)」
>>外部リンク「サステナブルな旅行への需要の高まりに関する調査結果(ブッキング・ドットコム)」
2022年4月に迫る!ホテル業界が見過ごすことのできない「プラスチック資源循環法」とは?
閣議決定された「プラスチック資源循環法」の施行令では、定められた下記の「特定プラスチック使用製品」に該当する物を年間5トン以上提供する事業者に対し、削減に向けた目標設定と、提供方法の見直しを求めています。
見直し方法については、各事業者に委ねる方向です。該当製品の有償化や、繰り返し使用の促進、受け取りを辞退した消費者へのポイント還元など「提供方法の工夫」の中から、業種や業態の実態に応じて有効な取り組みを選択するよう働きかけています。
また、対象事業者には、「特定プラスチック使用製品」の提供量や使用の合理化のために実施した取り組み、その効果などをウェブサイトなどで公表するよう促しています。
「特定プラスチック使用製品」の対象となるのは、以下の12品目です。
対象となる特定プラスチック使用製品
- フォーク
- スプーン
- テーブルナイフ
- マドラー
- 飲料用ストロー
- ヘアブラシ
- くし
- かみそり
- シャワーキャップ
- 歯ブラシ
- 衣類用ハンガー
- 衣類用のカバー
この中で、ホテル・旅館などの宿泊施設では、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシなど多くの製品が該当することから、プラスチック製アメニティ使用の削減や、代替素材への転換が迫られるなど、ホテル業界にとって大きな課題となっているのです。
ホテル業界がSDGsに取り組むメリット
「プラスチック資源循環法」が施行されると決まった今、これに基づき、プラスチック削減に向けた取り組みが不十分な場合、社名が公表され、命令に従わない場合には罰金を科せられることもあります。しかしそれ以上に、SDGsへの取り組みが不十分であるというレッテルを貼られることは、お客さま一人ひとりをはじめ、ステークホルダーや社会全体に悪影響を及ぼすことも考えられます。
一方で、ホテル業界が積極的にSDGsを推進することは、脱プラスチック製品の牽引者として社会へ発信できるなど、事業成長の機会につながる可能性も大いに秘めています。ひいては、人や地球にやさしいホテルとしてのブランド力向上にもつながり、従業員の働く意欲向上、意識の高い新たな人材確保など波及効果も期待できるでしょう。
ホテル業界がSDGsを推進することで得られるメリット
- ブランド力の向上
- ステークホルダーへ与える好イメージ
- 従業員の就業意欲向上
- 意識の高い優秀な人材の確保
2.ホテル業界と関連性の高いSDGsゴールは?
SDGsに取り組む際、目指すべきゴールや関連性の高いゴールは業界、業種、企業によって異なります。
ホテルのコンセプト、施設の規模、立地、従業員数など、各社の事情と照らし合わせながら、関連性の高いSDGsゴールについて検討することが重要でしょう。
ホテル業界と関連性の高い3つのSDGsゴール
各社が率先して取り組むべきSDGsのゴールは、個々の事情などにより異なりますが、ここでは、国連世界観光機関(UNWTO)が重点を置く3つのテーマを例に、ホテル業界との関連性、ホテル業界が取り組むべき方向性を検証していきます。
UNWTOが重点を置くゴールは、観光が主要テーマとなる目標8「働きがいも経済成長も」、目標12「つくる責任つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」です。
株式会社JTB総合研究所が行った調査によると、全業種の結果と比較して観光産業(旅行業+宿泊業)が意識しているゴールとして、目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」など、自然環境問題に偏っている傾向が見られました。
これは、観光資源と関係のある自然環境に対するゴールの方が比較的イメージしやすく、ビジネス上のメリットが活動のベースになりがちであるという分析もされています。他方で、観光産業の魅力向上など中長期的な視点を踏まえると、目標8「働きがいも経済成長も」への意識を高め、働きがいや生産性の向上を図っていくことも求められるのではないでしょうか。
なお、この株式会社JTB総合研究所の調査・考察によると、観光産業におけるSDGsへの取り組みは、他業種と比べて遅れ気味であるという現状も示されています。これは中小規模の旅行事業者にとって、SDGs達成に向けた活動に時間や人材を充てられず、SDGsの取り組みに着手できないという現状があるようです。
こうした背景からも、社会奉仕的なことに留まらず、ビジネスとしてSDGsに取り組むための道筋づくりが求められていると説いています。
ホテル業界で企業が取り組むべきSDGsゴール
- 目標8「働きがいも経済成長も」
- 目標12「つくる責任つかう責任」
- 目標14「海の豊かさを守ろう」
今回の記事では、ホテル業界と関連性の高いこの3つの目標に焦点を当て、各ゴールの現状や、ホテル業界として取り組むべきことなどを中心に解説していきます。
>>外部リンク「観光産業におけるSDGsの取り組み推進に向けた組織・企業団体の状況調査(JTB総合研究所)」
3.ホテル業界におけるゴール8「働きがいも経済成長も」を考える
ホテル業界では、目標8「働きがいも経済成長も」の実現に向けて、どのようなアプローチで取り組みを進めていくべきなのでしょうか。現状を振り返りながら、取り組みに向けての道標を探ります。
ゴール8「働きがいも経済成長も」の事実と数字
目標8では、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク )を促進する」ということをテーマにしています。
国際連合広報センターが2018年に発表した「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字」によると、全世界の失業率は2017年に5.6%と、2000年の6.4%から低下。2016年の時点で、全世界の労働者の61%がインフォーマル・セクター、つまり非公式な部門において雇用されていると示しています。
また、データが入手できる45カ国中40カ国で、男性の賃金は女性を12.5%上回り、全世界的な男女の賃金格差は23%。男性の就労率94%に対し、女性の就労率は63%に止まっているという数値も明らかに。女性の社会進出は進んでいるものの、女性による無償の育児・家事労働は依然として男性の2.6倍にあたります。
さらに、国際連合広報センターが発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021」において、COVID-19パンデミックの影響を最も受けたセクターとして、国際観光、観光業に関する内容を特記。外国人観光客数は、2019年の15億人から2020年には3億8,100万人に減少。国際観光が2019年の水準に戻るには、最長4年かかるという見込みを示しています。
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
ゴール8「働きがいも経済成長も」に対してホテル業界が取り組むべきこと
観光は世界の経済成長の原動力の1つであり、ターゲット8.9に「2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する」と定められています。
また中長期的な視点に立てば、新型コロナウイルス感染症の影響が収束を迎えた後に関する国内旅行への意欲は高く、急激な旅行需要の高まりも考えられます。
しかし一方で、総務省統計局が発表する「労働力調査」の産業別就業者数 を見ると「宿泊業・飲食サービス業」の従事者は2020年から2021年にかけて減少しており、将来的な人手不足が懸念されます。
これは、感染症による需要の落ち込みもさることながら、長時間労働や不規則な勤務形態といった、従来からの働き方に対するマイナスのイメージも影響しているかもしれません。
今後、人材の確保が課題となってくるであろうホテル業界にとって、目標8が掲げる働きがい、経済成長は、積極的に取り組むべきゴールであり、働きがいのある雇用の創出や経済成長への貢献は、見逃すことのできないテーマなのです。
例えば、「パークホテル東京」では、障がい者アーティストの活動の場の創出と自立支援、スタッフ同士で印象に残った良い業務の事例をGood Jobとして推薦する取り組みなどを通じ、目標8に貢献しています。
4.ホテル業界におけるゴール12「つくる責任 つかう責任」を考える
目標12「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な消費と生産パターンを確保することをテーマに掲げています。ホテル業界では、この目標達成に向けて、どのようなアプローチで取り組みを進めていくべきなのでしょうか。
現状を示すデータや数値などを踏まえて、検証しましょう。
>>関連記事:「SUSPRO・SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」。日本の「現状」と「課題」を整理してものづくりの未来を解く」
ゴール12「つくる責任 つかう責任」の事実と数字
持続可能な消費と生産パターンを確保することをテーマに掲げる目標12「つくる責任 つかう責任」。この目標に関しては、消費全般に関わる内容の他、象徴的な分野として水、エネルギー、食料が挙げられます。
国際連合広報センターが発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021」によると、全世界の「マテリアル・フットプリント」つまり、消費された天然資源の指標は、2000年から2017年までの間に70%増加。毎分100万本のペットボトル飲料が購入され、毎年5兆枚の使い捨てプラスチック製レジ袋が捨てられているという数値を明らかにしています。
そして、ホテル業界にとって関連性が深い「つかう責任」といえば、天然資源である水の消費です。
「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字」では、「人間は、自然が河川や湖沼で再生、浄化できる以上の速さで、水を汚染しています」と危機感を伝えると同時に、「全世界の水資源のうち(飲用に適した)淡水は3%に満たず、しかも2.5%は南極や北極、氷河で凍り付いています。よって人類は、全体のわずか0.5%の淡水で人間生態系の淡水ニーズを満たさなければなりません」とデータを交えて現状を伝えています。さらに「水の使い過ぎは、世界的な水ストレスを助長します」と呼びかけています。
また、エネルギーの部門では「全世界の人々が電球を省エネ型に変えたとすれば、全世界で年間1,200億米ドルが節約できます」と表明。
ホテル業界にとっては、食料に関する「つくる責任 つかう責任」も軽視できません。「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字」では「毎年、生産される食料全体の3分の1に相当する13億トン、価値にしておよそ1兆ドルの食料が、消費者や小売業者のゴミ箱で腐ったり、劣悪な輸送・収穫実践によって傷んだりしています」、「食料部門は、全世界のエネルギー消費の約30%と、温室効果ガス排出量全体の約22%を占めています」と警笛を鳴らします。
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
ゴール12「つくる責任 つかう責任」に対してホテル業界が取り組むべきこと
目標12「つくる責任 つかう責任」がめざす、責任ある生産と消費。その実現へ向けて、ホテル業界が貢献できることは、多岐にわたります。
ターゲット12.5には「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」と定められています。ホテル業界においても、廃棄物の発生防止や削減といったことから、積極的に取り組みを進めるべきでしょう。
具体的には、JNTOが「SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」の中で環境保全に配慮した取り組み例として掲げている、紙の宣伝印刷物等の削減(デジタルパンフレットやデジタルアンケートへの代替)、再利用可能な備品等の積極的な利用(デジタルサイネージや LED 照明器具の使用、ウーターサーバーの活用)などが有効です。また、環境に配慮したノベルティやオリジナルグッズの作成なども挙げられます。
国内167店舗、海外2店舗を展開する「スーパーホテル」では、エコ・ファースト企業を掲げ、SDGsの実現に積極的に取り組んでいます。
中でも目標12「つくる責任 つかう責任」にまつわる取り組みとして、客室には珪藻土やLED照明を使用。ペットボトルから生まれたリサイクル食器の使用や、「バイオ生ゴミ処理機」により朝食の生ゴミを堆肥化して近隣の農園に提供するなど、一部店舗で実施しているリサイクル活動を、今後は全店舗へと広げていく予定です。
また、客室のボトルアメニティや女性向けのスキンケア・ヘアケア製品はオーガニックのものを厳選。一部店舗では、オーガニックコットンタオルの導入も実施。化学肥料や農薬をできるだけ使わずに育てられた製品の使用により、環境負荷を低減しています。
>>外部リンク「SDGs への貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針(JNTO)」
5.ホテル業界におけるゴール14「海の豊かさを守ろう」を考える
ホテル業界が直面しているプラスチック製品の使用削減に関し、その背景の1つとして挙げられるのが深刻な海洋汚染です。目標14「海の豊かさを守ろう」の達成に向けて、ホテル業界が向き合うべき現状、取り組むべき活動をまとめます。
ゴール14「海の豊かさを守ろう」の事実と数字
30億人以上の人が生計を海に依存し、世界の商品貿易の80%以上が海によって行われるなど、海洋は貧困撲滅、持続的な経済成長、食料安全保障に貢献することが、国際連合広報センターによる「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021」内にて訴えられています。
国際連合広報センターが2018年に発表した「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字」によると、海洋は地球の表面積の4分の3を占め、地球の水の97%を蓄え、体積で地球上の生息空間の99%を占めています。また、世界全体で、海洋と沿岸の資源と産業の市場価値は年間3兆ドルと、全世界のGDPの約5%に相当するともいわれています。
また海洋は、人間が作り出した二酸化炭素の約30%を吸収し、地球温暖化の影響を和らげるなど、私たち人間に多くの恩恵をもたらしています。
しかしながら、プラスチックによる海洋汚染、海水温度の上昇、酸性化、脱酸素化、乱獲による魚資源の枯渇などにより、海洋の持続可能性は深刻な脅威にさらされています。
外洋地点の観測によると、産業革命の開始から現在までに、酸性化の水準は26%上昇。沿岸水域は汚染と富栄養化によって劣化。協調的な取り組みを行わなければ、沿岸の富栄養化は2050年までに、大型海洋生態系全体の20%で進むものと見られています。
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
ゴール14「海の豊かさを守ろう」に対してホテル業界が取り組むべきこと
目標14では、海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用することをテーマに掲げています。
海洋と海洋資源の危機がもたらす影響は広範囲に及ぶことからも、業界問わず、全世界で目指すべきゴールです。中でも、プラスチックごみが海洋に与える影響は大きく、ホテルや旅館では、環境にやさしいアメニティを導入するなど、海洋を守る動きを加速することが求められています。
すでに、客室のペットボトルの水を排除してウォーターサーバーへ切り替える、プラスチック製品を代替製品へ切り替える、ワンウェイ製品から繰り返し使えるアメニティへ切り替える、ニーズの少ないアメニティの廃止など、ホテル業界でもさまざまな取り組みが検討、導入されています。
例えば「JR東日本ホテルズ」では、「プラスチック資源循環法」施行を控え、加盟の56ホテル9,078室で使用しているワンウェイプラスチック製品の「ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、マドラー」と、レストランやショップ等でテイクアウト商品などに付与するワンウェイプラスチック製品の「フォーク、スプーン、ナイフ」の計8品目について、2022年3月までに、すべて代替素材に変更または廃止することを発表しています。
アイグッズでは、こうしたホテル業界における脱プラスチックの動きを推進し、SDGsに取り組む企業をサポートするために、サステナブルグッズ「SUS organic」に力を注いでいます。エコ素材として注目を集めている竹を使った歯ブラシ、かみそり、くし、綿棒のほか、とうもろこし由来のバイオマス素材を使ったシャワーキャップなど、多彩なアイテムをラインナップ。ロゴ入れなどにも対応しているので、ホテルのアメニティとしての活用が、今後ますます広がっていくと期待されています 。
6.ホテル業界の現状や事例を知り、SDGsを自社の課題に落とし込む
ここで取り上げた目標8、12、14の3つのゴールには、観光の役割が明記されたターゲットが設定されていますが、国連世界観光機関(UNWTO)は、「すべての目標に対して、観光は直接的、または間接的に貢献する力があり、持続可能な開発目標の達成に向けて、重要な役割を担っている」と宣言しています。
先述の調査結果のように、ホテル業界を含む観光産業では、他業界に比べてSDGsへの取り組みに対する意識が低く、実践的な導入が進んでいないという見解も表されています。
その一方で、消費行動においては“サステナブルな選択”が浸透しつつあり、環境に配慮したホテル・旅館へのイメージ向上は明らかです。社会的な評価やブランド力のアップ、選ばれるホテルであり続けるための施策といった視点からも、SDGsに貢献するための活動は避けて通ることはできません。
SDGsの第一歩として、個々のホテルが手がけられる取り組みはさまざまな事情や要素に左右されますが、「プラスチック資源循環法」施行を間近に控えた今、ワンウェイプラスチック製品のアメニティの代替、削減は、ホテル・旅館にとって目をそらすことのできない責務であり、急ぎの対策が求められます。
アイグッズが提案するサステナブルグッズ「SUS organic」を、すでに導入いただいているホテルからは、「温かみのある見た目が客室の雰囲気に合う」「お客さまに持ち帰って永く使っていただけるところもポイント」「丈夫で使いやすい」など、多くの好評の声をいただいています。
こうした環境にやさしいアメニティ、グッズを取り入れ、SDGs活動への取り組みを始めてみてはいかがでしょう。
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