各業界のSDGs

アパレル業界が取り組むSDGs。期待されるゴールとその理由、社会課題の現状と数字を徹底解説

2022/09/28 (更新日:2022/12/12)

大量生産・大量消費、廃棄物による環境汚染や労働環境問題など、解決すべき多くの課題を抱えているアパレル業界。国際機関(国連貿易開発会議)から「世界第2位の環境汚染産業」との指摘もあるほどです。

特に、ファストファッションの流行による過剰生産や大量廃棄には、危機意識を抱く消費者も少なくありません。多くのファッションブランドが「サステナブル」を意識した取り組みに舵を切るなかで、ニーズを見誤り、対策を怠ったことが倒産の発端となった企業も存在します。問題解決はもちろん、消費者に寄り添った取り組みが急務となっているのです。

<アパレル業界のSDGsポイントまとめ>

  1. 「適量生産・適量購入・循環利用」の促進で、廃棄を減らして循環型へ
  2. 海外農家や工場における労働環境を整備し、労働者の人権や健康を守る
  3. 古着や端材、資源を有効活用し、サステナブル素材の積極的な採用を
  4. 限りある天然資源を守るため、環境に配慮した原材料の栽培・調達を行う

アパレル業界の取り組みには、環境負荷の少ない素材を使うことや、動物実験をしないことなどが挙げられます。これらは、人と地球に配慮した「エシカル(倫理的な)ファッション」とも呼ばれています。

今回は事例とともに、アパレル業界においてどのようなSDGsへの取り組みが行われているのかを解説していきます。

1.アパレル業界のSDGsの現状と未来を理解する

製造時におけるエネルギー使用量や大量の廃棄物など、多大な環境負荷が国際的な課題となっているアパレル業界。生産から着用、廃棄に至るまで環境への負荷を考慮した「サステナブル」なファッションへの取り組みが急速に拡大しています。

アパレル業界が取り組むSDGsの現状とこれから取り組むべきことを理解し、関連性の高いSDGsゴールを踏まえた上で、目指すべき未来について考えていきます。

環境省「SUSTAINABLEFASHION」からアパレル業界を読み解く

2021年に環境省が発表したレポート「SUSTAINABLEFASHION」では、『ファッションと環境の現状』『サステナブルファッションへの関心』『ファッションと環境へのアクション』といった内容で構成されています。

アパレル業界、そして消費者にも向けた「SUSTAINABLEFASHION」から、アパレル業界の現状が環境に与える影響と、その解決策を紐解いていきます。

「SUSTAINABLEFASHION」によると、原材料の調達から製造、輸送、廃棄に至るまで、全ての工程においてCO2が排出されています。

さらに、原材料の栽培や染色には膨大な量の水を使うことも明らかに。生地の端切れなど、製造工程で生まれる廃棄物も多く存在します。こうして工程を見ると、1枚の服を作るためにいかに大きな環境負荷がかかっているかがわかります。

服1着にかかる環境負荷

CO2排出量…約25.5kg(500mlペットボトル 約255本製造分)

水消費量…約2300ℓ(浴槽 約11杯分)

※年間で約45000tにものぼる端材は、服の着数に換算すると約1.8億着分

国内での衣服の供給数は増加する一方で、ファストファッションなど低価格を売りにするブランドが台頭。その影響で単価はどんどん安くなり、市場規模は縮小傾向にあります。

「より安く」「より多く」の流れから、ファッションの短サイクル化が進み、より早く消費されてしまうのです。衣類を手放すには、大きく3つの手段があります。

消費者が衣服を手放す3つの手段

  • 古着として、リサイクルショップやフリマアプリ等で譲渡や売却
  • 資源として、地域や店舗で回収してもらう
  • 可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄

手放される衣服のほとんどが、まだまだ着られるもの。資源を無駄にしないためにも、できるだけ再流通や回収へとまわすように促す取り組みが必要です。

しかし、衣服のリユース・リサイクルによる再活用はおよそ34%。「ごみ」として出される割合が高いのが現状です。「ごみ」から再資源化される割合は、わずか5%ほど。ほとんどが焼却・埋め立て処分されてしまいます。

環境省が消費者に行ったアンケートによると、衣服を「ごみ」として捨てる理由のほとんどは「手間や労力がかからないから」。手間をかけずに消費者のリサイクルやリユースを促すためには、アパレル業界全体が「適量生産・適量購入・循環利用」を促進し、廃棄される衣類を減らす仕組みづくり「循環型モデル」を実現することが必要なのです。

すでに一部の企業で実施されている主な取り組みは、以下の通りです。

「循環型モデル」の実現に向けた企業の取り組み例

  • 生産過程で廃棄される繊維を減らす
  • 色落ちしにくい染色技術や、ほつれにくい縫製技術などの開発
  • 再利用しやすい素材選びや、分解しやすいデザイン
  • モノマテリアル(単一素材)での商品開発
  • 古着を回収しやすい仕組みづくりの開発
  • アップサイクルへの取り組み
  • リペア(修繕)サービスの拡充                など

従来の生産工程を見直し、自社の現状を鑑みながら、衣類を廃棄させないこと、循環(回収・再利用)を促す仕組みづくりを確立させることが求められています。

>>外部リンク「SUSTAINABLEFASHION これからのファッションを持続可能に(環境省)」

2.アパレル業界と関連性の高いSDGsゴールは?

SDGsへの取り組みを始める、もしくは強化していくにあたり、目指すべきゴールや関連性の高いゴールは、企業によってそれぞれ異なります。

自社の現状をはじめ、事業内容や経営規模などのさまざまな要素と照らし合わせ、さらに経営戦略や今後の展望を踏まえたうえで、できることから始めていきましょう。

アパレル業界と関連性の高い3つのSDGsゴール​​

環境省「SUSTAINABLEFASHION」をもとに、アパレル業界の多くの企業・ファッションブランドが取り組んでいる3つのゴールを紹介していきます。

「SUSTAINABLEFASHION」で挙げられる具体的な取り組みとしては、長く着ることを前提とした「丁寧な服づくり」があります。長期間の着用に耐えられる丈夫さや丁寧さ、リペア対応などが挙げられます。

消費者が実践するサステナブルファッションの取り組みとして、「所有する衣服を長い期間利用する」という意識が根づいてきています。消費者一人ひとりが今よりも1年長く着ることで、日本全体で4万トン以上の廃棄削減につながるともいわれています。

企業と消費者がこうした“アクション”を起こすことで、過剰生産・衣服ロス削減につながり、ゴール12「つくる責任つかう責任」の目標が達成されます。

また、国内の小売市場で販売される98%が海外からの輸入品であり、世界では原材料調達や製造過程において、低賃金労働・児童労働も大きな問題とされています。

アパレル事業者を対象としたアンケート(「環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」)における人権問題への取り組み状況をみてみると、原料調達段階において、安全性・衛生環境を把握しているとの回答が42%、児童労働の状況を把握しているとの回答が33%と、いずれも高くない数値です。

労働者の人権問題への取り組みは、ゴール10「人や国の不平等をなくそう」につながることであり、今後より積極的に取り組むべき課題の一つといえるでしょう。

さらに、衣類に使用する素材や原材料にも着目。ペットボトルや端材などを再利用して作られたサステナブルな再生素材や、オーガニック素材の使用は、環境に配慮した取り組みの一つであり、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」に関連します。

アパレル業界で多くの企業が取り組んでいるSDGsゴール

  • ゴール10「人や国の不平等をなくそう」
  • ゴール12「つくる責任つかう責任」
  • ゴール13「気候変動に具体的な対策を」

今回の記事ではこの3つの目標に焦点を当てて、「各ゴールの現状」「アパレル業界として取り組むべきこと」を解説していきます。

>>外部リンク SUSTAINABLEFASHION これからのファッションを持続可能に(環境省)
>>外部リンク「環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」(株式会社日本総合研究所)

3.アパレル業界におけるゴール10「人や国の不平等をなくそう」を考える

アパレル業界では、SDGsのゴール10「人や国の不平等を無くそう」を達成するため、どのようなアプローチができるのでしょうか。まずは現状を正しく把握し、効果的な働きかけの方法や、方向性を考えましょう。

ゴール10「人や国の不平等をなくそう」の事実と数字

国際連合広報センターの発表によると、後発開発途上国から世界市場への輸出のうち、64.4%に対する関税がゼロとなっています。この割合は改善されることなく、2010年以来、さらに20%増大しています。

開発途上国の大部分で、妊産婦の死亡率は全体として低下しているものの、農村部の女性は依然として、都市部の女性に比べ、出産中に死亡する確率が3倍も高くなっています。また子どもの死亡率についても、最貧層世帯の子どもは最富裕層の子どもと比べると、5歳を迎えずに死亡する確率が3倍も高いのです。

社会保障については、全世界において大幅に拡充しているものの、障がい者が極めて高額な医療費を払わなければならない可能性は、平均5倍にものぼります。

所得の不平等のうち、30%は世帯内の不平等に起因しています。また、女性は男性と比べ、平均所得の50%未満で暮らす可能性が高くなっています。

アパレル業界においては、先進国のアパレル企業が、賃金の安い発展途上国の多くの労働力に支えられ、成り立っています。サステナブルな業界を目指していくためには、ゴール10を意識し、労働者の人権と健康を守っていくことが欠かせないでしょう。

>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」

ゴール10「人や国の不平等をなくそう」に対してアパレル業界が取り組むべきこと

ゴール10の事実と数字から見えてきた現状に対し、アパレル業界では、どのような取り組みが進められているのでしょうか。

衣服の製造には、綿花や麻など原材料の調達に関わる農家、製造工場など、多くの現場で労働力を必要とします。国内で販売される衣服の98%は海外からの輸入であり、日本をはじめ先進国のアパレル企業の多くは、海外の農家や製造工場で働く人々に支えられています

ところがファストファッション業界では、商品の低価格・短サイクルを実現するため、有害物質を生む素材を使用することも。工場の排水が、健康被害を引き起こしてしまったケースもあります。

2013年にバングラデシュで起こったのが「ラナプラザの悲劇」と呼ばれる、ビルの倒壊事故です。銀行や商店のほか、縫製工場が入っており、そこでは世界有数のアパレルメーカーの縫製を受注。ビルに危険な亀裂が見つかり、使用中止の警告が出されていたにも関わらず、縫製工場のオーナーはそれを無視して仕事を続けさせていたところ、ビルが崩壊。1100人を超える犠牲者を出す大事故となりました。

ビルの倒壊は、大型発電機と数千台にも及ぶミシンの振動が誘因だったとされています。劣悪な労働条件で働かされていた多くの若い女性たちが犠牲となったこの事故は、世界中が注目。アパレル業界が抱える問題点が明るみになり、業界全体が方向転換をするきっかけとなったのです。

現在では、日本をはじめ世界各国のアパレル企業が発展途上国の工場と取引を行う際、賃金や労働時間の取り決めを行い、労働者の人権や健康を守るための労働環境の改善にも注力しています。

例えば『パタゴニア』では、従業員への福利厚生を完備するほか、労働環境に問題があった場合など、労働者が自由に声をあげることができる苦情システムを開発しています。

>>外部リンク『パタゴニア』

また『アーバンリサーチ』では、サステナブルなマテリアルとプロダクトの開発・生産を目指し、アップサイクル製品の生産過程において、障がい者や就労困難者、地域住民との協働に取り組んでいます。

>>外部リンク『アーバンリサーチ』

4.アパレル業界におけるゴール12「つくる責任 つかう責任」を考える

アパレル業界をはじめ、製造業が最も考慮しなければならないSDGsの取り組みが、ゴール12「つくる責任 つかう責任」です。

このゴールと照らし合わせながら、向き合うべき現状とこれからの取り組みについてまとめました。

>>関連記事:SDGsゴール12「つくる責任 つかう責任」。日本の「現状」と「課題」を整理してものづくりの未来を解く」

ゴール12「つくる責任 つかう責任」の事実と数字

国際連合広報センターが発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(全文)」では、世界人口と1 人あたりの資源の消費量が増加していることから、「天然資源の消費率は持続不可能」と言及。

報告によれば、全世界のマテリアルフットプリントは2000年から 2017年にかけて70%増加。世界中で毎分 100 万本のペットボトルが購入され、毎年 5 兆個の使い捨てビニール袋が捨てられているともいわれています。

経済の成長に伴って環境悪化が加速する現状を打開するためにも、持続可能なライフスタイルの実現が求められていることを示唆しています。

こうした働きかけは、アパレル業界においても「循環型ファッション」という形で促進させることが可能です。

不要な服を過剰に生み出すことをやめる、長く着られる服を生産する、不要になった服を再利用するという取り組みにつなげることができ、ゴール12「つくる責任 つかう責任」はアパレル業界と大きなかかわりがあることがわかります。

>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021の全文(国連)」

ゴール12「つくる責任 つかう責任」に対するアパレル業界の取り組み

アパレル業界において、ゴール12「つくる責任 つかう責任」の目標達成を目指すためには、サステナブルな生産と消費を目標とするとともに、衣服の“3R”を推進していく必要があります

まずリデュース(Reduce)の取り組みとしては、廃棄物の量を減らすことや、不要な服の生産そのものを減らすこと、そして服を長く着られるように生産することなどが挙げられます。

また「衣類ロス」を防ぐためには、古着の回収や難民への衣料支援など、リユース(Reuse)の取り組みも効果的です。

そして不要になった服を店頭などで回収し、資源として再利用して服を作り変えるといったリサイクル(Recycle)の取り組みも、各ファッションブランドが積極的に実施しています。

『H&M』では、サステナブルな循環型ファッションの実現に積極的に取り組んでいます。古着の回収によるリサイクル・リユースの促進に加え、2030年までに使用する素材をリサイクル、もしくはサステナブルに調達されたものへと切り替える目標を掲げています。

また、素材の有効活用をするという観点から、オンラインショップの配送ボックスや有料ショッピングバッグの内側に、ボードゲーム「H&M サステナすごろく」を印刷。配送ボックスやショッピングバッグを切って開くと、ゲームとして再利用できる仕掛けです(一部サイズのみ展開)。

印刷には再生油からできた植物油インクを使用し、環境への負荷を最小限に抑える徹底ぶり。サステナブルなファッションの未来に向けたアクションが学べる内容になっています。

>>外部リンク『H&M』

『ユニクロ』では「服が、服に生まれ変わる時代」への挑戦と題して、全商品をリユース・リサイクルする取り組み「RE.UNIQLO」を進めています。

その第一歩が、「ダウンリサイクル」。世界中で不要になったユニクロのダウンを回収し、資源として新たなアイテムへとリサイクルすることで、生産過程のCO2排出量をおよそ20%削減可能にします。

>>外部リンク『ユニクロ』

『アダストリア』では、衣料品回収リサイクル「Play Cycle!」を実施。自社ブランドに限らず、あらゆるブランドの衣類を回収することで、リサイクルが当たり前の社会の実現を目指しています。

アップサイクルブランド「FROMSTOCK」も展開。売れ残ってしまった倉庫の服”をシンプルな黒染めで蘇らせ、新たな価値を創出しています。環境に配慮した設備を使い、素材の種類ごとに異なる特性にあわせて染色することで、唯一無二のアイテムが生まれる点が魅力です。

>>外部リンク『アダストリア』
>>関連記事:「【ビジネス向け解説】アップサイクルとは?意味や企業の取り組み事例を紹介」

長く着られる服づくりの例として『THE NORTH FACE』のキッズウェアでは、子どもの成長に合わせて、袖丈・裾丈を調整できるシステム「EXP GROW system」を開発。子どもの成長スピードは早く、あっという間にサイズが合わなくなっていくもの。通常より1年も長い着用を可能にしました。

マタニティウェアでは、体型変化に合わせてシルエットの変更可能なオーバーオールや、産後も子どもと一緒に着用できるダウンコードなどを開発。マタニティ期だけでなく、子どもの成長期まで長期にわたって着用可能な製品設計を行っています。

>>外部リンク『THE NORTH FACE』EXP GROW system
>>外部リンク『THE NORTH FACE』MATERNITY 2022SS

5.アパレル業界におけるゴール13「気候変動に具体的な対策を」を考える

「気候変動」とは、地球全体の気温や降水量の変化のこと。CO2排出による地球温暖化により、集中豪雨による水害や干ばつのよる飢饉、海面の上昇など、私たちの暮らしに影響が現れ始めています。

原材料の調達から廃棄まで、あらゆる工程でCO2を排出するアパレル業界。ゴール13「気候変動の具体的な対策を」の現状と照らし合わせ、どのようなアプローチができるのか考えます。

ゴール13「気候変動に具体的な対策を」の事実と数字

国際連合広報センターの発表によると、1880年から2012年、30年ほどの間に、地球の平均温度は0.85℃上昇。気温の上昇に伴い、海水温も上昇しています。さらに雪氷が溶けることで、海水面も平均19cm上昇しているのです。

現状におけるCO2濃度と排出を継続した場合、21世紀末までに気温が1.5℃上昇するとみられており、さらなる海面の上昇は避けられません。海面の上昇を避けるには、増加の一途をたどるCO2の排出量を抑える必要があります

衣類の製造に必要な綿やウールといった原材料の栽培・調達において、大量の水や電気などのエネルギー使用は欠かせません。国際連合広報センターによれば、ジーンズを1本つくるために必要な水の量は約7,500ℓ。平均的に1人が7年間かけて飲む水の量に相当します。

CO2排出を抑え、限りある資源を無駄なく使うためには、過剰な生産を行わないことが重要なのです。

>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」

ゴール13「気候変動に具体的な対策を」に対するアパレル業界の取り組み

ゴール13の事実と数字から見えてきた現状に対し、アパレル業界ではどのような取り組みが進められているのでしょうか。

取り組みの軸は、大きく2つの軸に分けられます。まず1つは、資源を有効活用すること。そしてもう1つは、オーガニック栽培の原材料を使用することです。

『ユニクロ』では、「ドライEXポロシャツ」「ファーリーフリース」の2商品において、回収したペットボトルから作る再生ポリエステルを素材の一部として使用しています。

そのほかにも、仕上げ加工に必要な水の使用量を削減し、少量の水で仕上げる技術を開発。さらに責任ある原材料調達のために、綿農家に向けて水や農薬の使用についての教育を行うNGO「ベター・コットン・イニシアティブ」へ加盟するなどの取り組みも行なっています。

>>外部リンク『ユニクロ』

『無印良品』では、「地球・動植物・生産者に余計な負担をなるべくかけない方法で採取、栽培されたものを選択」して原材料の調達を行っています。

主要な原材料については生産地を訪問し、栽培・採取状況に加え、生産者の暮らしも確認しながら“人”や“自然”と向き合い続けています。また綿や麻については、化学薬品も農薬も使わないオーガニック栽培のものを採用しています。

生産量が限られるため、高価になりやすいオーガニックコットン。継続的な生産を実現するために綿花農場の人々とつながりを深め、徐々に生産量を増やしているのだといいます。

さらに素材や資源を無駄にしないための試みとしては、生産過程で出た端切れを仕分け、粉砕して再度紡績。ブランド誕生当時から持ち続けている「資源をムダにしない」という考え方を大切に、再生コットンの製品として販売しています。

>>外部リンク『無印良品』

繊維専門会社の『豊島株式会社』では、2005年からオーガニックコットンの普及プロジェクト「ORGABITS」を実施。「オーガニックコットンを通して、みんなで“ちょっと (BITS)”ずつ地球環境に貢献しよう」という想いから始まった社会貢献とビジネスを両立するプロジェクトです。

100%オーガニックコットンにこだわらず、10%のオーガニックコットンを使用したファッションを100人に届けることで、オーガニックコットンを普及することにつなげています。

>>外部リンク『ORGABITS』

6.アパレル業界が抱える課題や環境への負荷を理解し、ものづくりを続ける企業としての責任を考える

SDGsが普及する以前から、環境への負荷や労働問題などについて、問題視されてきたアパレル業界。だからこそ、原材料の調達から製造工程、大量生産・大量消費の見直しなど、多くの企業が趣向を凝らしつつ、SDGsへの取り組みに積極的に向き合っています。

また「つくる側」だけでなく、「つかう側」の責任として、消費者も「長く大切に着る」「不要になった服はリサイクルへ」「エシカルファッションの購入」など、無理なくできることから取り組もうという認識が広まりつつある昨今。

こうした状況の中で、企業として積極的に取り組むべきことは、製品・資源の無駄をなくすことです。環境負荷や生産者に配慮した素材選び、労働環境の改善などにも注力していく必要があるでしょう。課題に向き合い、取り組みを広く認知させていくことは、企業価値の向上にもつながります。

また、SDGsに積極的に取り組む企業であることをアピールするには、ノベルティや販促品のほか、アパレルならではのショッピングバッグにもエコ素材を取り入れてみるのがおすすめです。再生素材やオーガニックなど、用途に合わせて素材にこだわってみるのもいいでしょう。エコ素材、アップサイクルによるグッズ制作にはアイグッズをご活用いただき、SDGs活動の幅を広げていただければと思います。

コメント一覧
  • すごくわかりやすくて、いい文章だと思います。もっとファッションとSDGsの文章を見ることがでいたら嬉しいです!

    2023.11.12

    KIRIN 様

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