美容・化粧品業界が取り組むSDGs。期待されるゴールとその理由、社会課題の現状と数字を徹底解説
2022/04/11 (更新日:2024/09/30)
サステナブルやエシカル消費への意識が広がり、SDGsに対して積極的に取り組むことは、ビジネスの世界において、企業の持続可能性を高めるために重要な鍵を握る要素となっています。
美容・化粧品業界においても、企業ごとに趣向を凝らした以下のような取り組みが広がっています。
<美容・化粧品業界のSDGsポイントまとめ>
- プラスチックボトルの削減、代替となる素材を使用するなど容器についての工夫
- サステナブルな原料を用い、動物実験の代替など製品開発工程の見直し
- 女性活躍で、ジェンダーギャップ指数が高い日本を牽引
- 商品のジェンダーレス化・ジェンダーフリー化で多様性を広げる
上記詳細と合わせ、持続可能な未来を目指す潮流に乗り遅れることがないように、知っておくべき社会の現状や概念についてふれながら、美容・化粧品業界におけるSDGsへの取り組みについて解説します。
1.美容・化粧品業界のSDGsの現状と未来を理解する
SDGsの広がりにより、使い心地や体に負担が少ないといった体にやさしいコスメを作る・選ぶという意識のみならず、自然環境を守ること、人や動物誰もが持続可能な地球で生きられることなどを考えたコスメが注目を集めています。
美容・化粧品業界が取り組むSDGsの現状と、これから取り組むべきこと、目指すべき未来について考えます。
「化粧品産業ビジョン」から美容・化粧品業界を読み解く
2021年4月、経済産業省と日本化粧品工業連合会は、日本の化粧品産業のさらなる競争力強化と継続的な発展を目指すことを掲げ、産学官による初の「化粧品産業ビジョン」を策定しました。将来に向けて掲げられたこのビジョンから、化粧品業界が今後目指すべき方向性や、具体的に取り組むべきことなどを読み解きます。
「化粧品産業ビジョン」の中では、化粧品産業を取り巻く環境変化の1つとして「SDGs意識等の高まり」を挙げています。
商品選択のみならず企業選択においてもSDGsの取り組みが重視されるようになり、SDGsの推進は化粧品産業においても非常に重要な要素に。その象徴的な取り組みとして、国内の化粧品企業でも下記のような取り組みが進んでいます。
SDGsに関連した国内化粧品企業の取り組み
- 環境に配慮した容器やパッケージの開発
- 詰め替え、付け替えを前提とした容器の開発・推進
- 薄いフィルムに空気を入れて膨らませることでボトルのように使える新型容器の開発
- スマートホルダーの開発・導入
- 使用済みプラスチック容器の回収・リサイクル
- 植物由来の素材を使った容器と原料の開発
- 女性活躍支援やジェンダー平等に着目した取り組み
「化粧品産業ビジョン」の中では、10年後、30年後の世界の変化に合わせ、化粧品産業が成長し続けるための方向性や取り組むべきことなど、将来のビジョンもまとめています。
「化粧品産業ビジョン」が挙げる世界の変化(予測)一例
10年後
- 環境に配慮した製品の普及
- エシカル消費の拡大
- 動物実験代替法の確立
- 消費者ニーズの多様化(Z 世代・デジタルネイティブの台頭、男性でもメイクをすることが一般化など)
30年後
- 脱炭素を実現する循環型社会の到来
- 科学によるエビデンスの重要度の拡大
- ジェンダーレス化・ジェンダーフリー化
こうした変化を捉え、化粧品業界として「持続可能な社会の実現をリードする産業となる」という方向性を提言。多様な人材の活用やSDGsへの積極的な貢献など具体的な取り組みを促しています。
世の中全体の環境課題などに対する意識の変化を理解し、業界全体の動向を踏まえた上で、SDGsの考え方としっかり向き合い、自社としてできる取り組みに落とし込んでいくことが今、求められているのです。
>>外部リンク「化粧品産業ビジョン(経済産業省・日本化粧品工業連合会)」
2.美容・化粧品業界と関連性の高いSDGsゴールは?
SDGsの取り組みを始める、もしくは強化するにあたり、目指すべきゴールや関連性の高いゴールは各企業によって異なります。
自社の現状や経営規模、事業内容、従業員数などさまざまな要素と照らし合わせ、経営戦略や将来のビジョンに落とし込んだ上で、できることから始めてみることが大切です。
美容・化粧品業界と関連性の高い3つのSDGsゴール
ここでは、美容・化粧品業界で多くの企業がすでに取り組んでいる、あるいは関連性が高いと考えられる象徴的な3つのゴールを例として検証していきます。
「化粧品産業ビジョン」では、化粧品産業におけるSDGs意識の高まりに関する典型的な例として、国内化粧品企業における環境に配慮した容器やパッケージの開発を挙げています。これは、プラスチック循環型社会構築を目指す「4R(リデュース、リプレイス、リユース、リサイクル)」につながる取り組みであり、各社が工夫を凝らした容器を続々と開発、採用しています。
また、「化粧品産業ビジョン」で掲げる具体的な取り組みの1つ「SDGs への積極的な貢献」の中では、返品や廃棄(コスメロス)、加えて販促物の廃棄など事業に関わるあらゆる領域において早急に対策を講じるべきと言及しています。
CO2 排出量の削減やプラスチック資源循環など環境に配慮した容器を選択することはもちろん、多角的な取り組みこそが、ゴール12「つくる責任 つかう責任」、ゴール14「海の豊かさを守ろう」といったSDGsの目標達成につながるのです。
さらに、女性が主要なユーザーであるという化粧品業界の特性を踏まえ、SDGsのゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」という点もクローズアップ。多様な人材の活用、女性の活躍の支援といった働く環境に関する側面のみならず、男性用化粧品やジェンダーレス・ジェンダーフリーな化粧品といった商品を通じたジェンダー平等の訴求についても、率先して取り組む余地が大きいと唱えています。
美容・化粧品業界で企業が取り組むべきSDGsゴール
- ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」
- ゴール12「つくる責任 つかう責任」
- ゴール14「海の豊かさを守ろう」
今回の記事ではこの3つのゴールに焦点を当てて、各ゴールの現状や、美容・化粧品業界として取り組むべきことを解説していきます。
>>外部リンク「化粧品産業ビジョン(経済産業省・日本化粧品工業連合会)」
3.美容・化粧品業界におけるゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」を考える
美容・化粧品業界では、SDGsのゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するために、どのような働きかけができるのでしょうか。現状を正しく把握し、効果的なアプローチの方法や方向性を考えましょう。
ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」の事実と数字
国連が発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(全文)」では、2001年から2019年の間に収集された90の国と地域のデータから、平均して女性は男性の約2.5倍の時間を無給の家事労働と介護労働に費やしていること、さらに育児を提供するために男性よりも多くの女性が労働力を離れていることを伝えています。
また、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が公表した「The Global Gender Gap Report 2021」によると、男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)において、2021年の日本の総合スコアは0.656、順位は156か国中120位(前回は153か国中121位)。先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果でした。このゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」は、17項目あるSDGsのゴールの中でも、日本がより注力して取り組むべき課題といえるでしょう。
加えて、「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(全文)」から、新型コロナウイルス感染症がもたらしたコロナ禍における社会がジェンダー平等に対して少なからず負の影響をもたらしたことも明らかです。
「2019年には、女性は世界の労働力の39%近くを占めていましたが、管理職の28.2%しか占めておらず、2000年よりもわずか3%高くなっています。パンデミックが労働力の女性、特に女性起業家に与える不均衡な影響、管理職における世界的なジェンダー格差の縮小においてなされたわずかな進歩を後退させると脅迫している」と記し、社会の意思決定における女性の平等な参加という目標達成への道のりが、依然として遠いことを懸念しています。
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021の全文(国連)」
>>外部リンク「世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2021」を公表(内閣府男女共同参画局総務課)」
ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」に対する美容・化粧品業界の取り組み
ゴール5の事実と数字から見えてきた現状に対し、美容・化粧品業界では今、どのような取り組みが進んでいるのでしょうか。ここでは女性の働く環境や地位向上と、商品を通じてジェンダーレスを訴求するという大きく2つの観点に分けて、ジェンダー平等への取り組みをまとめます。
美容・化粧品業界におけるゴール5への取り組み
- 女性活躍の推進
- ジェンダーレス、ジェンダーフリー製品の開発・販売
女性が多く働く美容・化粧品業界において、女性活躍の推進は大きな課題の1つです。
『コーセー』では、ジェンダーにとらわれず、誰もが活躍するための取り組みを推進。1999年の「男女共同参画社会基本法」の施行に先駆け、1985年にはコーセーグループで初めて女性の取締役が就任するなど、多様な価値観を企業の力へ反映する文化が、かねてより根付いています。現在は、従業員全体の約8割を女性が占める中、「両立支援」、「活躍支援」、「登用支援」という3つのステップをベースに、それぞれのライフイベントに合わせた柔軟な働き方ができる環境を整備しています。
『YSL(イヴ・サンローラン)』では、厳しい自然環境で知られるモロッコアトラス山脈の麓に、ウリカコミュニティガーデンを作庭。32人の地元女性の協同組合と協力し、恵み豊かな土壌や水から育てられた植物を収穫することで商品作りに生かしています。このプログラムを通じて、ウリカ地域の村に暮らす女性たちのスキルの向上、経済的な自立を支援。多くの自然の恵みを育てるとともに女性支援の活動にもつながっています。
また、近年は多様性を認める潮流の中で、性別にとらわれず、男女問わず愛用できるジェンダーレス、ジェンダーフリー製品の開発・販売が、世界的に広がっています。
例えば、「ジェンダーニュートラル」をうたうコスメブランド『iLLO(アイロ)』は、社会的な枠や性別にとらわれずメイクアップを楽しんでほしいという発想から、2020年に誕生。男女関係なく使えるアイテムをラインナップしています。
また、メンズコスメブランド『BOTCHAN』は、“「男らしく」を脱け出そう。”をコンセプトに掲げ、既存の概念から脱却したアイテムを展開。天然植物由来成分、パラベンフリー、ノンアルコール、無着色などにこだわり、従来のメンズコスメよりもはるかに繊細な仕上がりで、男性だけでなく多くの女性にも受け入れられています。
4.美容・化粧品業界におけるゴール12「つくる責任 つかう責任」を考える
SDGsの推進が重視される昨今、美容・化粧品業界において取り組みが進んでいる分野が、ゴール12「つくる責任 つかう責任」です。このゴールと照らし合わせて、美容・化粧品業界が向き合うべき現状と、取り組みのヒントをまとめます。
>>関連記事:「SUSPRO・SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」。日本の「現状」と「課題」を整理してものづくりの未来を解く」
ゴール12「つくる責任 つかう責任」の事実と数字
ゴール12「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な消費と生産パターンを確保することをテーマに掲げています。
国際連合広報センターが発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(全文)」では、世界人口の増加と持続不可能な天然資源の使用が相まって、地球に壊滅的な影響を及ぼしていると言及。全世界の「マテリアル・フットプリント」つまり、消費された天然資源の指標は、2000年から2017年までの間に70%増加しました。
報告の中で「持続可能な消費と生産への道は、廃棄物と汚染を削減または排除し、製品と材料を使用し続けるように設計されたサーキュラーエコノミーアプローチを必要とします」と訴えています。
さらに、化粧品の内容物や容器の製造工程にも関わりの深いエネルギー問題については、「世界的に、新しい再生可能エネルギー容量の設置は過去10年間で目覚ましい発展を遂げ、2012年以降、2015年以降一貫して非再生可能電力容量の設置を上回っています」と成果を強調。一方で、2019年、先進国の再生可能エネルギー容量が一人当たり880ワットだったのに対し、開発途上国の再生可能エネルギー容量は1人あたり219ワット」と再生可能エネルギーの潜在性などを捉え、まだ改善の余地が多いことを示唆しています。
美容・化粧品業界においても、製造段階から容器の調達や廃棄段階にいたるまで、環境負荷を減らすための「つくる責任 つかう責任」から目を逸らすことはできません。
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021の全文(国連)」
ゴール12「つくる責任 つかう責任」に対する美容・化粧品業界の取り組み
「エシカル」というキーワードは、美しさ、清らかさ、やさしさにつながるブランドイメージと切り離すことのできない美容・化粧品業界ではとくに重要であり、この「エシカル」と関連性の深い目標がゴール12「つくる責任 つかう責任」です。
美容・化粧品業界がSDGsの目標達成を目指すためには、プラスチックの使用量を減らすことはもちろん、製造段階で再生可能エネルギーを選択すること、廃棄時のCO2排出量を減らすこと、廃棄ロスを減らす取り組みなど、さまざまな取り組みが可能です。
ここでは、ゴール12の事実と数字を踏まえて、美容・化粧品業界での取り組み事例をご紹介します。
『資生堂』では、より環境フットプリントの小さな製品を提供するために「リデュース」「リユース」「リサイクル」「リプレース」の4Rに、人、社会、環境を尊重する考えである「リスペクト」を加えた独自のパッケージポリシー「資生堂5Rs」を公開。「リデュース/リユース」が同時にできる詰め替え、付け替え容器や、水や土の中でも分解する素材を使った容器の採用などを実施しています。
『ファンケル』では、化粧品製造拠点である滋賀工場や群馬工場、関西物流センターにて太陽光パネルを設置し、電力切り替えなどにより再生可能エネルギーを活用。2050年度までに「CO2排出量実質ゼロ」の目標を掲げています。
加えて、使用済みプラスチック容器を一部の直営店舗で回収し、花や緑を育てる「植木鉢」にリサイクルする取り組みなど多角的に進めています。
古紙素材を採用したギフトボックスやリユースできるウォッシャブルペーパー素材のラッピングバッグを用意した『ジョンマスターオーガニック』の施策も、取り組みやすい事例の1つ。インテリアやコスメケースとしてリユースもできます。
『N organic』では、化粧品の空き瓶を再利用した大理石(テラゾー)を店舗の床やシンクなどに活用。クーポン進呈などの特典付きで使用済み容器の回収を促進するなど、独自の活動を展開しています。
そのほかにも、動物実験を行わない、フェアトレードの原料を調達する、農薬や化学肥料を使わずに栽培された植物を使う、生産地の環境に配慮するなど、美容・化粧品業界ではさまざまな取り組みが広がっています。また、過剰な包装を廃止してリサイクル可能な容器に替える、アップサイクル原料を採用するなど、ゴール14「海の豊かさを守ろう」にもつながる取り組み事例も増えていますので、以降でご紹介します。
>>関連記事:「【ビジネス向け解説】エシカルとは?意味や企業の取り組み事例を紹介」
>>関連記事:「【ビジネス向け解説】アップサイクルとは?意味や企業の取り組み事例を紹介」
5.美容・化粧品業界におけるゴール14「海の豊かさを守ろう」を考える
環境課題の中でも、深刻な局面を迎えている1つが海洋汚染です。この課題と向き合うためには、プラスチック製容器やパッケージの見直し、リユース、リサイクルなどを考慮する製品や容器の開発・製造が急務です。ゴール14「海の豊かさを守ろう」の達成に向けて、美容・化粧品業界が向き合うべき課題、取り組む際のアプローチについてまとめます。
ゴール14「海の豊かさを守ろう」の事実と数字
国際連合広報センターの「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021」によると、30億人以上の人が生計を海に依存し、世界の商品貿易の80%以上が海によって行われるなど、人類の生命と海洋のつながりは切り離すことができません。
貧困撲滅、持続的な経済成長、食料安全保障に貢献、地球温暖化の影響を緩和することなど、多くの恩恵をもたらしてくれる海洋ですが、昨今、海洋の持続可能性は深刻な脅威にさらされています。
「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021」によると、十分な酸素がないために海洋生物が生息できない海域「デッドゾーン」は、2008年の400カ所から、2019年には700カ所ヘと急増。半数を超える主要な海洋生物多様性領域が保護されていないと警笛を鳴らしています。
中でも、海洋課題に関して美容・化粧品業界の対応が求められる近年のトピックスといえば、パラオやハワイにおける日焼け止め使用に関する規制が挙げられます。サンゴ礁を守るために、紫外線吸収剤が配合されている日焼け止めの販売を禁止する法律が制定・施行されるなど、海の保護に対する動きは世界的に高まっています。
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)―事実と数字(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021(国際連合広報センター)」
>>外部リンク「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021の全文(国連)」
ゴール14「海の豊かさを守ろう」に対する美容・化粧品業界の取り組み
世界的に深刻な局面を迎えている海洋問題。その背景には、プラスチックごみによる汚染が大きく影響を与えています。そこで日本でも2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラスチック資源循環促進法)」が施行されるなど、ゴール14「海の豊かさを守ろう」につながるプラスチック製品の削減に向けた取り組みが加速しています。
ゴール14を実現するために、美容・化粧品業界ではどのような取り組みが可能なのでしょうか。先進的な取り組み事例から学びましょう。
『花王』や『コーセー』をはじめ、大手化粧品メーカーの多くは、詰め替えや付け替え容器の積極的な採用、容器のコンパクト化などにより、プラスチック使用量や排気量を削減。また、容器の一部に植物由来の「バイオマスプラスチック」を採用する、包装素材に紙を使用する、容器自体を紙製やダンボール素材に転換するなど、容器やパッケージの開発により、環境負荷軽減に向けて取り組みを強化しています。
>>関連記事:「【2021年実施】SDGsで注目!企業のものづくり事例7選を紹介」
さらに、美容・化粧品の内容物の見直しに着手するメーカーも増えています。『コーセー』では、洗浄料などに使用されていたマイクロプラスチックビーズが環境にもたらす影響に配慮し、環境負荷の低い植物性原料に転換。マイクロプラスチックビーズを含む洗浄料の出荷を停止しました。
近年は、日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤の成分がサンゴ礁の白化現象や遺伝子損傷などの原因の1つになるという調査結果を受け、紫外線吸収剤不使用の日焼け止めに対する注目度が高まっています。かねてより紫外線吸収剤不使用の日焼け止めを販売していた『シャンソン化粧品』では「肌と海を守ろう」プロジェクトを発足。チャリティーリストバンドの製作・販売を通じて、サンゴの植え付けや保全活動に寄付するなど、「肌と海を守る」活動を広げています。
パッケージや内容物の改良以外にも、海の豊かさを守る取り組みは広がりを見せています。『コスメキッチン』では、海洋プラスチックゴミから作る100%リサイクルポリエステルの「サスティナバッグ」を販売。
また『イオンリテール』では、化粧品・日用品メーカーなどとの協働により、使用済み容器の回収リサイクル「グラムビューティーク リサイクル プログラム」を開始。回収する容器はマテリアルリサイクルされ、買い物かごやエコバックとして生まれ変わる予定です。
>>外部リンク「グラムビューティーク リサイクル プログラム」
コンタクトレンズメーカーの株式会社シードでは、『BLUE SEED PROJECT』を展開。使い捨てコンタクトなどが入っている容器「ブリスター」を回収し、物流会社が使用する「物流パレット(段ボールなどを乗せるプラスチックの簀の子のようなもの)」に生まれ変わらせています。 2022年7月時点で、ブリスターの回収量は約3トン、回収ボックス設置施設数は眼科や協賛のコンタクトレンズ販売店、取引先企業などを含む約300施設に上ります。「メーカーとしての責任を全うし、さらに海の保全活動にも寄与したい」という想いから2019年より開始したプロジェクトですが、令和3年度「彩の国埼玉環境大賞」事業者部門で大賞を受賞するなど、サーキュラーエコノミーという観点で今広がりを見せています。
6.美容・化粧品業界の現状や事例を知り、SDGsを自社の課題に落とし込む
美容・化粧品業界においては、容器の改良や化粧品の内容物の見直しなどを通じ、多くの大手企業がすでにSDGsへの取り組みに力を注ぎ、研究を進めています。
今後はその取り組みをより広く認知させ、消費者の「サステナブルな選択」「エシカル消費」に訴えかけるための告知活動や独自性の高い取り組みにより、企業価値を高めることも必要になってきます。
SDGsと親和性の高い企業であることを消費者に対して広くPRするためには、エコ素材を使ったノベルティや販促物、資材を取り入れることも、企業の思いをより効果的に発信する一助になります。エコ素材、アップサイクルによるグッズ制作を中心に、フルオーダー、オリジナルロゴ入りなど多種多様なスタイルの容器・グッズ制作が可能なアイグッズも有効にご活用いただき、SDGsの取り組みを広げていきましょう。
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2023.08.08
匿名 様
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2023.08.08
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