バガスとは?環境にやさしいアップサイクル素材の特徴と容器としてのメリット・デメリット

2025/02/05

バガスとは?環境にやさしいアップサイクル素材の特徴と容器としてのメリット・デメリット

SDGsが推進される現代では、サステナビリティや脱プラの波を受け、環境に配慮した素材から作られる食品容器へのニーズが高まっています。食品容器に使われる素材にはさまざまなものがありますが、今注目の素材といえば「バガス紙」。耳慣れない名前かもしれませんが、環境にやさしいだけではなく、使い勝手も抜群によい次世代素材です。

今回は、バガス紙の特徴と製品への使用例を紹介します。メリット・デメリットや弊社での制作事例についてもまとめました。次世代のアップサイクル素材を使ったグッズ制作に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

1.バガス紙とは

バガス紙とは

まず、バガス紙の成分と誕生の背景から、どのような素材なのかをみていきましょう。

バガス紙の成分

「バガス紙」とは、サトウキビを繊維化した紙素材です。別名「バガスパルプ」とも呼ばれます。一般的な紙とは異なり、樹木を原料としない非木材紙の一種です。

そもそも「バガス」とは、砂糖やエタノールを製造する際に出る、サトウキビの搾りかすのこと。つまりバガス紙は、産業廃棄物として処分されていたごみをアップサイクルした次世代素材です。

バガス紙が生まれた背景

バガス紙は、環境保全やごみの排出量削減、リサイクル推進の観点から生み出されました。従来の一般的な紙の原料は樹木です。そのため、消費量が増えるほど過剰に伐採されるという悪循環でした。しかし、木材由来ではないバガス紙が普及すれば、森林やその周辺の生態系を守ることにつながります。

またサトウキビは、ブラジルをはじめとする世界各国で大量に生産され、日本でも、沖縄・鹿児島を中心に多く栽培される植物です。そのぶんサトウキビの搾りかすも膨大な量であり、世界で1億トンにも上るといわれています。

バガス紙は、そうした産業廃棄物の画期的な活用法としても注目される素材。木材パルプなどの代替素材として主に食品容器・紙コップなどに加工され、活用が拡大しつつあります。

2.バガス紙のサステナブルなポイント

バガス紙の6つのサステナブルなポイント

次に、バガス紙がサステナブルな素材だと評価されるゆえんを6つの視点から解説します。

製造工程で環境に与える負荷が少ない

バガス紙の活用が広まれば、森林の伐採量の減少に直結します。砂糖やエタノールを製造する流れで作れるため、原料および製品を生産する際のCO2排出量も最小限です。

資源の節約になる

一般的な木材由来の紙を生産するには、原料の調達・運搬などに大量のエネルギーが必要です。一方、砂糖やエタノールと同一もしくは近隣の工場で作れるバガス紙は、エネルギーの使用量が抑えられます。またバガスを発電の助燃剤として用いれば、エネルギーの節約にもつながるでしょう。

海洋や河川の汚染が防げる

バガス紙は、一般的な紙とは異なり、漂白の工程で塩素を使用しません。排水に有害物質が含まれないので、海洋や河川の汚染が防げます。

脱プラが図れる

2022年4月に「プラスチック資源循環法」が施行されて以来、各業界で脱プラスチックが急務となりました。これまでのプラスチック容器からバガス容器に切り替えることで、法制度へスムーズに対応できます。

プラスチック資源循環法の詳細が知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

リサイクルの循環が生まれる

バガス紙は植物由来で燃やしても有害物質が発生しないため、環境にやさしい素材です。また土に還る「生分解性」の素材なので、よりエコな廃棄方法が実現します。

新たな産業が展開される

これまで廃棄していたサトウキビの搾りかすをバガス紙にすることで、新たな産業の展開が期待できます。外国工場への技術提供や設備の拡充、教育などが提供されることで、労働環境の改善や、貧困の解消につながるでしょう。

3.バガス製品の一例

バガス製品の一例

バガス紙は現在、主に次のような製品の原材料として使用されています。

【製品例】

  • プレート
  • トレー
  • フードパック
  • ボウル
  • コップ
  • ランチボックス
  • ペーパータオル
  • 用紙

使い捨ての食器を従来の紙からバガス紙容器にシフトするだけで、エコなサービスの提供が可能になります。仕切り付きや凹凸など、さまざまなデザインに成形できるため、幅広い食品用のプレートやトレーに最適です。また、フタをつければフードパックにもなります。

さらに、紙にもかかわらず電子レンジが使用できることから、ランチボックスとしてもおすすめ。水分や油も染みにくいので、ドリンクのほか、ピザやカレーなどの食品を入れてもOKです。

そのほか、ほどよい厚みと強度を活かし、非木材由来のペーパータオルとしても活用できます。バガスを厚いペーパー状に成形すれば、強度の高い紙になるため、封筒や便箋、名刺などの用紙として活用できるでしょう。

4.バガス容器の4つのメリット

バガス容器の4つのメリット

前述のとおり、バガス紙の代表的な用途といえば食品容器やトレー。バガス容器は、次のようなメリットがあることから採用する企業が徐々に増えてきています。

丈夫で壊れにくい

バガスは繊維がギュッと詰まった構造になっているため、紙素材なのに非常に丈夫です。一般的な紙より水分・油分にも強く、型崩れもしにくい傾向にあります。内側にコーティングを施せば、より強度を高めることも可能です。

軽い

バガスは、紙特有の軽さが大きな特徴の一つ。容器に加工しても軽量なため、持ち運びにも便利です。

独特の風合いがある

サトウキビ由来のバガス紙には、素材自体に独特のナチュラルな風合いがあります。容器に加工した場合の特徴は、素材感のある見た目ザラっとした手触り。無機質なイメージのプラスチックとは、一線を画すおしゃれさを誇ります。レストランやカフェ、ホテルのアメニティなど、容器にもファッション性を求める産業にぴったりで、競合との差別化も図れるでしょう。

エコなイメージのブランディングに活用できる

環境配慮型素材であるバガス紙を原料とする食品容器を導入すれば、エコなイメージが視覚的にアピールできます。「サステナブル」や「エシカル」は、今やどの業界にも欠かせないキーワードです。エコなブランディングが確立すれば、集客や新たな顧客層の開拓につながり、売り上げアップが見込めます。

5.バガス容器の2つのデメリット

バガス容器の2つのデメリット

エコなだけではなく機能的でたくさんのメリットがあるバガス容器。しかしその反面、次のような点に注意してください。

リユースできない

バガス紙から作られた容器は、汚れが付着すると落とすことが困難です。丸洗いできないため、そのまま再利用するのは難しいでしょう。

長期保存用にするのは難しい

バガスは一般的な紙より耐水性に優れるものの、長期的に使用していると水分が染み込んで漏れ出してきやすくなります。コーティング加工すれば長持ちするものの、時間の経過に伴い汁漏れしやすくなるので注意が必要です。

【番外編】SUSPRO調査隊が営業担当に聞いてみた!バガス素材を利用したグッズ制作事例についてインタビュー!

ここからは、バガスを活用した製品制作の経験がある営業担当F.Mに、バガス紙やその素材を使ったグッズについて徹底インタビュー!F.Mはフルオーダー制作営業に勤めて5年の経歴を持ち、素材や形状・デザインの知識が豊富なスタッフです。以下では、バガス素材を採用した経緯や、制作時に大変だったことを深掘りしていきます。

よろしくお願いします。
はじめに、バガス素材を活用して何を制作したのか教えてください。

私が手掛けたのは、バガス紙を使ったギフトラッピングです。具体的には、紙袋のタグをバガス素材にして、エコ素材を活用していることをアピールできるようにしました。

紙袋のタグをバガス素材にして、エコ素材を活用していることをアピール

たくさんのエコ素材がある中で、なぜバガス素材のギフトラッピングの制作に至ったのですか。

バガス素材をギフトラッピング制作に活用した理由は「ギフトにも環境配慮を取り入れていきたい」というお客様たってのご要望があったからです。

そのお客様の商品は、環境に配慮し、ナチュラルなイメージのものが多い印象でした。バガス素材は、エコでありながらも、通常の紙と遜色ないクオリティで制作できる点が大きな魅力です。商品のイメージにぴったりだと考え提案したところ、お客様もバガス素材を気に入ったとのことで制作に至りました。

企業のブランドイメージから着想を得たのですね。
次に、バガス素材を用いたグッズ制作で大変なことはありましたか。

バガス素材に限定した話ではないのですが、今回でいうとピンホール(針でついたような小さな白い点)が発生しないよう、納品まで管理することが大変でした。こういった小さな穴を見逃さないよう、一つひとつのギフトラッピング製品を確認する検品体制を整えることで、お客様に届けられるクオリティの製品を実現しました。

品質のサポート体制がしっかりしていると安心ですね。
最後に、バガス素材を使ったグッズ制作に興味がある方へ一言メッセージをお願いいたします。

バガス素材グッズを取り入れることで、エコでナチュラルなイメージを効果的にアピールできます。エシカル企業としての認知を拡大したい場合や、おしゃれなブランドイメージを保ちつつSDGsに貢献したいと考える方にぜひ取り入れていただきたいです。

今回紹介したバガス素材グッズに興味のある方は、下記ページをぜひチェックしてみてください。

6.バガスの活用で循環型社会の構築に貢献しよう

エコやSDGs活動の推進が推奨され、食品のテイクアウトも増える現代において、バガス紙の価値は今後ますます高まっていくことが予想されます。サステナブルかつ機能的で、オリジナリティ溢れる次世代素材を使ったグッズをいち早く取り入れ、他製品と差をつけましょう。

バガス紙をはじめとするアップサイクル素材を活用したグッズ制作および副資材の制作は「SUSPRO」へおまかせを!素材の提案から制作、納品までワンストップでサポートします。ご依頼のほか、些細な疑問・質問も喜んで承りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

SUSPRO編集部

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

多様な企業様の販売品・ノベルティを制作しているグッズの企画・営業担当。企画から納品まで一気通貫で担う中で、特にエコ素材に関する知識や取り扱い方法・トレンドなどに精通しています。

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

コメントを残す

※コメントは管理者の承認後に掲載されます。