【ホテル・旅館向け】業務改善ガイド!生産性向上のための部門別の対処法を紹介

2025/09/04

【ホテル・旅館向け】業務改善ガイド!生産性向上のための部門別の対処法を紹介

インバウンド需要の急回復や旅行スタイルの多様化により、ホテル・旅館業界が活気を取り戻す一方、深刻な人手不足やスタッフの負担増といった厳しい現実に直面している施設は少なくありません。

そんな中、日々のオペレーションに追われ、本来注力すべき「おもてなし」にリソースを割けない状況に、課題を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ホテル・旅館の業務改善を成功に導くための具体的な施策を、4つのステップを交えてご紹介します。

1.なぜ今、ホテル業界で業務改善が急務なのか

ホテル・旅館業界で業務改善が急務とされる背景には、主に3つの要因があります。

まず、インバウンド需要の急回復に伴う「深刻な人手不足」。急増するお客様に対応する人材が不足し、現場の負担が増大しています。第二に、国内外の旅行者が求める「おもてなしの質の高度化」です。特に海外からの旅行者は「日本ならではの特別な体験」を強く期待しており、従来以上のきめ細やかなサービスが求められています。そして最後に、これらの課題に追い打ちをかける「コスト高騰」が挙げられます。

このような状況下で、スタッフと顧客の満足度を両立させながら質の高いサービスを提供し続けるために、業務改善は避けて通れない経営課題となっています。

2.ホテル業務改善を成功に導く4つのステップ

ホテル業務改善を成功に導く4つのステップ

業務改善で着実に成果を出すためには、基本的なステップに沿って進めることが成功への近道です。まずは、基本的な4つのステップを解説します。

業務の「見える化」と課題の洗い出し

はじめに、ホテル内の全部門における業務内容をリストアップし、「誰が」「いつ」「何を」「どのように」行っているのかを客観的に把握します。スタッフへのヒアリングやアンケート、実際の業務の観察などを通じて、重複している業務など、ボトルネックとなっている工程を徹底的に洗い出しましょう。この「見える化」が、的確な改善策を立てるための土台になります。

優先順位をつけ、具体的な目標(KPI)を立てる

洗い出した課題の中から、「効果の大きさ」と「着手のしやすさ」という2軸で優先順位を決めます。まずは、比較的小さな労力で大きな改善が見込める方法を模索するのがポイントです。その上で、「フロントのチェックイン時間を平均15%短縮する」「客室清掃後の最終チェックまでの時間を20分以内にする」といった、具体的で測定可能な目標を設定します。

改善策の実行と効果測定

次に、設定した目標を達成するための具体的な改善策を実行します。新しいシステムの導入、業務フローの変更、備品の見直しなど、施策は様々です。ここで重要なのは、施策を実行するだけでなく、必ずその効果を測定すること。KPIを定期的に計測し、改善策が期待通りの効果を上げているか、あるいは予期せぬ問題は起きていないかを客観的に評価します。

評価と次なる改善へ繋げる

効果測定の結果をもとに、実行した改善策を評価します。成功した点は「なぜ上手くいったのか」を分析し、そのノウハウを他の部門にも展開できないか検討しましょう。一方で、目標が達成できなかった場合はその原因を掘り下げ、改善策そのものを見直す必要があります。この「実行→測定→評価→改善」というサイクルを回し続けることが、持続的な業務改善と組織の成長に繋がります。

4つのステップを洗い出せるワークシートをご用意しました。以下よりダウンロードの上ご活用ください。

3.【部門別】ホテルの生産性を飛躍させる業務改善の具体的施策6選

【部門別】ホテルの生産性を飛躍させる業務改善の具体的施策7選

業務改善の基本的な進め方を整理したところで、ここからはより具体的に、各部門でどのような改善策が考えられるのか、6つの施策例をご紹介します。

【フロント業務】システム導入で予約・会計業務を効率化

スマートチェックイン・アウトシステムは、フロント業務における効率化が図れるでしょう。お客様自身で手続きができるため、ピーク時の混雑を緩和し、スタッフはより丁寧な周辺案内や個別のリクエスト対応に時間を使えるようになります。また、ホテル管理システムとの連携で、予約情報から顧客管理、会計処理までを一元化し、手作業によるミスや時間のロスを大幅に削減できます。

【フロント業務】システム導入で予約・会計業務を効率化

【客室清掃】管理システムとロボットの併用で、清掃業務をスムーズに

客室清掃の進捗状況をリアルタイムで共有できる清掃管理システムは、フロントと清掃スタッフ間の連携を円滑にします。清掃完了報告や備品の補充依頼などがタブレット端末一つで完結するため、指示待ちの時間がなくなり、効率的な人員配置が可能です。

さらに、業務用小型清掃ロボットを活用し、床の清掃などの定型作業を自動化する方法もあります。ロボットが清掃を行っている間に、スタッフは水回りなどの丁寧な手作業が求められる箇所に集中できます。これらの機械導入により、一人あたりの作業負担を軽減しつつ、清掃全体のスピードと質を向上させることが可能になるでしょう。

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【客室清掃】管理システムとロボットの併用で、清掃業務をスムーズに

【客室準備】アメニティの見直しで「準備」と「在庫管理」を効率化

一見、効率を改善できない業務に思える客室のアメニティですが、実は「客室への設置準備」と「バックヤードでの在庫管理」の両面で、改善の余地が大きい項目です。例えば、歯ブラシやヘアブラシといった複数のアイテムをあらかじめセット品としておけば、客室準備の際に一つひとつ並べる手間が省け、作業時間を短縮できます。また、アイテムごとに在庫を確認し、発注する煩雑な作業が簡略化され、管理コストの削減が期待できるでしょう。

【客室準備】アメニティの見直しで「準備」と「在庫管理」を効率化

【料飲部門】セルフオーダーシステムでおもてなしを最大限に

レストランやルームサービスで、お客様自身のスマートフォンや客室タブレットから注文できるセルフオーダーシステムを導入すれば、ホールスタッフの業務負担を軽減できます。さらに配膳ロボットを活用し、食事の提供も自動化することでスタッフは注文受けや配膳といった定型業務に時間を割く必要がなくなります。注文の聞き間違いといったミスが減ることで、料理の提供やお客様への気配りといった、より付加価値の高い業務に集中できるでしょう。

【予約・マーケティング】予約の一元管理と顧客情報の活用でマーケティングを簡単に

複数のOTA(オンライントラベルエージェント)からの予約情報を一元管理できるサイトコントローラーは、ダブルブッキングを防ぎ、在庫管理の手間を削減するために不可欠なツールです。さらに、CRM(顧客関係管理)システムで顧客の宿泊履歴や好みをデータとして蓄積・分析すれば、お客様一人ひとりに合わせたメールマガジンの配信や特別プランの提案など、効果的で効率的なマーケティング活動が可能になります。

【予約・マーケティング】予約の一元管理と顧客情報の活用でマーケティングを簡単に

【バックオフィス】勤怠管理や経費精算をデジタル化

総務や経理といったバックオフィス部門の業務改善も、ホテル全体の生産性向上に欠かせません。タイムカードでの打刻や紙ベースでのシフト申請・経費精算は、集計や管理に多くの時間がかかります。クラウド型の勤怠管理システムや経費精算システムを導入することで、これらの業務をデジタル化し、ペーパーレスと同時に大幅な時間短縮が実現できます。

【バックオフィス】勤怠管理や経費精算をデジタル化

4.【SUSPRO製品紹介】アメニティの工夫で、業務効率はさらに向上できる

さまざまな業務改善施策の中でも、比較的低コストで始められて効果の出やすいものは、アメニティの改善です。お客様の手に直接触れるものだからこそ、ホテルの「おもてなし」の心を伝えやすいという特徴があります。ここでは、日々の業務負担を軽減するアメニティのアイデアを2つご紹介します。

「アメニティセット」の導入で、準備時間を短縮し、品質を均一に

歯ブラシやコームといった複数のアイテムを、あらかじめ巾着袋などでセットとして導入する方法です。 完成されたセットをそのまま設置するだけでよいため、スタッフが客室で一つひとつアイテムを並べる手間が省け、準備時間を大幅に短縮できます。さらに、スタッフによる置き方の違いもなくなるため、新人でも常に同じクオリティでアメニティを提供できる点もメリットです。

オリジナルパッケージで「識別性」を高め、手間とロスを削減

アメニティを包むパッケージの「識別性」を高める工夫も、おすすめです。例えば、中身が見える半透明のパッケージは、スタッフが内容物を一目で確認できるため、設置時のミス防止に有効な手段です。

さらに、パッケージのデザインそのもので中身を識別できるようにするというアプローチもあります。アイテム名をホテルのロゴと共に記載したり、種類ごとに色分けするオリジナルデザインを採用すれば、スタッフはより直感的かつスピーディに作業を進めることが可能です。また、統一感のあるオリジナルパッケージは、客室全体のブランドイメージ向上にも貢献するでしょう。もちろん、水に強い素材を選ぶことで、交換の手間や廃棄ロスを削減できるという点も重要です。

5.戦略的な業務改善で、スタッフとお客様に選ばれるホテルへ

業務改善がもたらす最大のメリットは、スタッフの働く環境が整い、それによっておもてなしの質が向上する点にあります。

業務の無駄をなくすことで、スタッフ一人ひとりの労働負担が軽減され、働きがいのある環境が整います。そして、心身に余裕が生まれたスタッフは、本来最も注力すべきお客様一人ひとりへの「おもてなし」に集中できるようになり、サービスの質が向上。スタッフの満足がお客様の満足を創り出すこの好循環は、時間外労働の削減や採用コストの抑制などのコストを削減し、ホテル経営全体を強化するでしょう。

SUS amenityでは、エコで上質なアメニティを幅広く取り扱い中です。業務改善の第一歩としてアメニティの見直しをご検討される方は、ぜひ一度ご相談ください。

SUSPRO編集部

【サステナブルグッズ制作チーム】 T.M

エコ素材アメニティや客室備品の企画・販売担当。実際にいただくホテルマーケティング担当者様の声を基に、サステナブルなアメニティや客室備品を開発。最新のエコ素材を取り入れたものづくりやホテルブランディングに日々取り組んでいます。

【サステナブルグッズ制作チーム】 T.M

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