リサイクルレザーの魅力とは?メリット・デメリットと世界中で注目される理由
2024/09/30 (更新日:2024/10/01)
最近、各業界で大注目の「リサイクルレザー」をご存知ですか?動物愛護の観点だけではなく、環境保護につながるサステナブルなトレンド素材として人気が高まっています。
さまざまなリサイクルレザーがありますが、今回クローズアップするのは、本革の端材を使った再生素材。メリット・デメリットや歴史、注目の背景も含め、天然皮革を無駄なく使えるリサイクルレザーの魅力に迫りました。自社製品・ノベルティにどのような素材を使うか検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
1.リサイクルレザーとは?
まず、リサイクルレザーとはどのような素材なのか、その特徴や製造工程、種類による違いを確認していきましょう。
リサイクルレザーの特徴
リサイクルレザーとは、天然皮革の質感を人工的に再現した類似素材の総称です。別名「エコレザー」や「ボンテッドレザー」とも呼ばれます。リサイクルレザーは、資源の有効活用およびサステナブルという観点から生み出された環境にやさしいエコ素材です。さまざまな素材から人工的に作られた生地ながら、まるで天然皮革のような質感が再現されており、一目見ただけではほとんど見分けがつきません。
リサイクルレザーの種類
リサイクルレザーと一口にいっても、原料に天然皮革が使用されたものや植物由来、再生PET製品など、その種類は多種多様です。そのため、一般的には本革の端材をつなぎ合わせた素材をリサイクルレザー、天然皮革を一切含まない人工物は再生合皮(フェイクレザー)と分類されています。
リサイクルレザーの製造工程
リサイクルレザーは、次のプロセスで製造されます。
- 皮革の端材を粉砕して繊維状にし、樹脂などの調整材料と混ぜ合わせる
- 専用の型に素材を流し込み、厚みを調整する
- 脱水してからドライヤーで乾かす
- 表面の質感や厚みを整える
- カットもしくはロール仕上げにする
製造工程におけるエコなポイントは、本革を余すことなく使えることです。本革はファンが多く高い需要がある素材ですが、製造の段階でなめしや防腐加工など水の消費および環境汚染につながる工程があります。だからこそ、製品としての質感はそのままに、加工の際に出る端材まで有効活用して、リサイクルの循環を生み出すことが大切です。
2.リサイクルレザーの5つのメリット
リサイクルレザーを製品の生地として取り入れるメリットは、主に次の5つです。
ゼロ・ウェイストに貢献できる
「ゼロ・ウェイスト」とは、資源の無駄や浪費をなくし、ごみを出さないようにする取り組みを指します。リサイクルレザーは、貴重な資源の有効活用と産業廃棄物の減少に貢献できる、非常にサステナブルなエコ素材です。
本革の端材を廃棄する場合、燃やした際に発生するCO2やごみの可処分量の限界など、さまざまな問題が発生します。素材のすべてを活用すれば、ごみとして捨てる資源が減るため、環境に与える負荷が最小限です。
さらに、リサイクルレザーは原料に本革が含まれる分、フェイクレザーより寿命が長い傾向にあります。ゆえに、リサイクルレザー商品を製造して販売・配布すればお客様から長く使ってもらえるので、ごみの廃棄量がより減少するでしょう。
リサイクルレザー以外にも、アップサイクルされた多彩なエコ素材があります。興味がある方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
関連記事>>廃棄食材から生まれるエコ素材一覧。コーヒー粉、野菜・果物などのリサイクルで新たな資源に
デザイン性が高い
リサイクルレザーは、本革と遜色ない高級感が出せるうえ、混ぜる原料の種類や量、加工によって、質感を自由に調節できます。また、天然皮革ではできないビビットカラーなどの鮮やかな色に染められるため、デザインの幅が大きく広がるでしょう。
くわえて、リサイクルレザーは天然皮革と同じく表面への型押しや漉き(すき)加工もできます。色・質感の調整だけではなく、異素材との組み合わせも可能なので、他社製品とは違った個性をアピールできるでしょう。
扱いやすい
リサイクルレザーは厚みや質感が均一で、天然皮革のように個体差がないため、非常に扱いやすい素材だといえます。生地自体が柔らかく弾力があり軽量で、加工はもちろん、製品としての使い勝手も抜群です。
また加工で撥水効果を高めれば、天然皮革より高い耐水性が期待できるので、アウトドア用品にも使用できます。
手入れに手間がかからない
リサイクルレザーは、天然皮革より取り扱いが簡単です。比較的汚れに強く、汚れても乾拭きもしくは固く絞った布で軽く拭き取るだけできれいな状態を保てます。
手入れやケアが容易にできるアイテムは人気が高いため、お客様に喜ばれるオリジナルグッズが作れるでしょう。
製造コストが抑えられる
リサイクルレザーは、天然の本革と比べ非常にリーズナブルです。本来は廃棄されるはずだった端材が利用されているため、素材自体の値段が抑えられています。
また、リサイクルレザーは生地が使いやすいスクエア型に仕上げられているのもポイントです。加工時に無駄なく使えて歩留まり(原料の投入量に対する生産数の割合)がよいため、コストパフォーマンスが高いといえます。
安く製造できれば、販売価格も下げられるので、お客様が手に取りやすい革製品を作りたいときに重宝するはずです。
メリットまとめ
- ゼロ・ウェイストに貢献できる
- デザイン性が高い
- 扱いやすい
- 手入れに手間がかからない
- 製造コストが抑えられる
3.リサイクルレザーのデメリット
たくさんのメリットがあるリサイクルレザーですが、特有のデメリットがあることも把握しておかなければなりません。以下で、リサイクルレザーのデメリットを確認しておきましょう。
耐久性が低い
リサイクルレザーは、粉砕した素材を樹脂で固め直して作られていることから、物理的な強度が天然皮革より弱い傾向です。そのため、グッズの製造工程や使用時に強く引っ張ったり切り込みが入ったりすると、破れやすくなってしまいます。といっても、フェイクレザーよりは耐久性が高く、普通に使用する分には問題ありません。
本革と同じ経年変化は楽しめない
リサイクルレザーは、本革と似たような質感や風合いがうまく再現されているものの、本物特有の経年変化は生じません。時間の経過とともに徐々に劣化が進み、ヒビ割れしやすくなるため注意が必要です。
とはいえ、リサイクルレザーは成分の一部に天然皮革が含まれているため、経年で質感やカラーの味に深みが生まれます。人工原料のみで構成されるフェイクレザーとは異なり、革を育てる楽しみを完全には損ないません。また、ケア剤できちんと手入れすることで劣化が防げるほか、損傷部分をその都度修理すれば長持ちします。
デメリットまとめ
- 耐久性が低い
- 本革と同じ経年変化は楽しめない
4.リサイクルレザーの利用がおすすめなグッズ
リサイクルレザーは、次のようなグッズの生地・資材としてよく用いられています。
- バッグ
- 財布
- ポーチ
- カードケース(名刺入れ)
- キーホルダー・キーケース
- スマートフォンケース
- ブックカバー
革特有の高級感が演出できるため、ラグジュアリーなイメージのグッズを制作したいときにおすすめの素材です。
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5.リサイクルレザーが生まれた背景
リサイクルレザーが生まれたのは、今から90年近く前のヨーロッパで革製品の端材の活用方法が模索されていたときのことです。天然皮革が革製品に加工される際、実際には2割〜3割程度しか利用されず、その大半の端材が廃棄されていました。
皮革はそのままだと形や大きさが不均一で、加工が必要なのは仕方がありません。しかし、ごみ削減や資源の有効活用の観点から、端材の廃棄が問題視されていました。
そこで端材の活用法の研究が進められるなか、1936年にドイツのSALAMANDER社が開発した素材がリサイクルレザーの先駆けです。当初、リサイクルレザーは靴の踵や内底、カバンの芯地などの外からは見えない部分に使用されていました。やがて加工技術の進歩に伴い、さまざまな装飾品や雑貨の材料に用いられ始めます。
さらに1960年代になると、コーティング加工が施されたリサイクルレザーが誕生。そのつややかな質感を活かし、ファッションアイテムやステーショナリーに使用されるようになりました。
現在はドイツ・フランス・イタリア・スペイン・アメリカ・カナダなどの欧米諸国を中心に生産され、より高品質な素材開発が進められています。
6.リサイクルレザーへ関心が高まっている理由
リサイクルレザーは、世界中の産業から注目されるサステナブルな次世代素材です。注目の理由は、SDGsによる世界共通の価値観の変化にあります。
SDGsの環境目標の12番目にあるように、現在の環境破壊やごみの廃棄量の増大が問題になっているのは、つくる側・つかう側の双方に責任があるためです。リサイクルレザーなら、これまでごみとして捨てられていた資源の有効活用に貢献できます。
そして現在、リサイクルレザーは本革の代用品として仕方なく使用されているのではありません。世界の一流アパレルブランドがこぞってリサイクルレザーを自社商品に取り入れたことで、トレンド素材の一つに仲間入りしました。エシカルな選択が「おしゃれ」「かっこいい」という新たな価値観が生まれ、あえてリサイクルレザーを選ぶ消費者が増えています。
また、皮革関連のサステナビリティに関する認証制度「LWG(Leather Working Group)」も発足しており、取得する業者が右肩上がりで増加中です。世界の動向は今後ますますサステナビリティ推進へ向かい、リサイクルレザーをはじめとする廃棄素材の活用の重要性がさらに高まると予想されています。
SDGsの目標12について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
関連記事>>SDGsゴール12「つくる責任 つかう責任」。日本の問題や取り組みを整理して、ものづくりの未来を解く
7.リサイクルレザーグッズの制作は「SUSPRO」にご相談を!
リサイクルレザーは資源をただ再利用したものではなく、命を循環させ、新たな価値を付与したアップサイクル素材です。持続可能な社会形成へ向けた貢献は、企業に求められる責任の一つ。SDGsの重要性が高まる今こそ、事業活動にもリサイクルレザーというエシカルな選択を取り入れましょう。
リサイクルレザーを使ったオリジナルグッズ制作なら「SUSPRO フルオーダー制作」へおまかせください。エシカルなものづくりのプロが、企画から納品まで徹底的にサポートします。高品質・低コスト・スピーディーな訳は、独自のワンストップ体制だからこそ。販売用グッズやノベルティ、備品・資材など幅広い選択肢をご提案しますので、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
[出典]/公益財団法人 日本ユニセフ協会/12.つくる責任、つかう責任/https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/12-responsible/
[出典]/経済産業省/令和元年度 皮革産業振興対策調査等(海外主要国における皮革関連産業のサステナビリティ活動等の動向・対応調査)調査報告書/https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000373.pdf
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