草木染めとSDGsの関係性|ものづくりに取り入れるメリット・デメリットと使用例

2024/12/11

草木染めとSDGsの関係性|ものづくりに取り入れるメリット・デメリットと使用例

日本古来の伝統工芸である草木染め。SDGsの達成へ向けた活動が推進されている今、草木染めの魅力が改めて見直されています。

今回は、草木染めの基礎知識やSDGsの観点からみる環境にやさしい理由、製品化におけるメリット・デメリットなど気になる情報をご紹介。初心者でも簡単に分かる内容になっていますので、エコなものづくりに興味がある方はぜひご一読ください。

1.草木染めとは

草木染めとは

草木染めとはどのような染色方法かご存知ですか。まずは特徴や手順、副次効果となる薬効を把握し、草木染めに対する理解を深めていきましょう。

草木染めの特徴

「草木染め」とは、草花や樹木、果物などの植物由来の天然染料を利用したエコな染色方法です。縄文時代にはすでに用いられていたともいわれる日本古来の伝統的な染色技術であり、自然由来の穏やかな発色を特徴としています。

草木染めのやり方

草木染めのやり方

草木染めでは、以下の手順で染色作業を進めます。

  1. 植物や果物を抽出する
  2. 草木を煮出して染色液を作る
  3. 染色液に糸や生地を浸して染める
  4. 色止めする
  5. 天日干しする

染色後の色止めには、鉄やミョウバンなどを含む媒染液が使われます。なお金属物質はろ過することで無害化できるため、環境へ大きな負荷を与えません。

草木染めに使われる植物の種類と効果一覧

草木染めでは、さまざまな植物が染料に用いられます。また、原料となる植物によって異なる薬効が生まれる点も草木染めの特徴の一つ。一例として、以下のような植物が挙げられます。

植物の種類薬効
藍染め抗菌、虫除け
マリーゴールド染め排毒、血行促進、消化促進
茜染め血行促進、保温、リラックス効果
ログウッド染め血行促進、保温、リラックス効果

上記の植物は、草木染めの中でも比較的ポピュラーな種類です。弊社の「フルオーダー制作」でも取り扱っていますので、ぜひチェックしてみてください。

2.SDGsの観点からみる草木染めが環境にやさしい理由

SDGsの観点からみる草木染めが環境にやさしい理由

植物で染める草木染めは自然由来のナチュラルな雰囲気が特色ですが、魅力はそれだけではありません。ここでは、草木染めがなぜ環境にやさしいのかを、SDGsの目標と照らし合わせながら解説します。

なおSDGsとは何かを詳しく知りたいときは、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事>>【ビジネス向け解説】SDGsとは?意味や企業の取り組み方を徹底解説!17項目のゴールと日本の現状まとめ

水質汚濁を防ぐ

草木染めの染料は100%自然由来であり、化学物質を含みません。化学物質の海洋放出は水質汚濁の原因の一つであり、合成染料の使用継続は環境破壊を加速させる恐れがあります。

一方、草木染めなら染色過程の排水を放出しても水を汚染しません。それゆえ、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」やゴール14「海の豊かさを守ろう」の達成につながる染色方法として注目されています。

健康に悪影響がない

草木染めには、食べても問題ないほど無害な植物性原料が使用されているため、健康に悪影響を及ぼしません。

これまでの産業で使われてきた合成染料は無害なものが大半だといわれていますが、一部有害なものも存在します。その代表格がアゾ染料。繊維産業でよく用いられるベンゼン、トルエン、ナフタレン、フェノール、アニリンなどに含まれるインクです。その鮮やかな発色と高い耐久性から、カーテン・カーテンをはじめとするインテリアグッズや衣類、皮革製品、プラスチックなどの染色として世界中で用いられてきました。

なお日本では平成28年4月1日以降、特に危険性の高い一部のアゾ染料の使用が制限されるようになっています。しかし、多くの化学染料が現在も使われており、将来にわたって絶対に安全であるとは言い切れません。

こうした人体に悪影響を及ぼす合成染料に長期的に暴露され続けた場合、重篤な症状が出る恐れがあります。食やモノの安全性が重視されるようになった現代において、健康に悪影響のない草木染めを取り入れることには大きな意味があるでしょう。

SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」ゴール12「つくる責任、使う責任」も踏まえ、草木染めのような人にも環境にもやさしい染料が見直されています。

上記のSDGsのゴール12の詳細は、こちらの記事をご参照ください。

関連記事>>SDGsゴール12「つくる責任 つかう責任」。日本の問題や取り組みを整理して、ものづくりの未来を解く

3.草木染めをものづくりに取り入れる2つのメリット

草木染めをものづくりに取り入れる2つのメリット

草木染めによるものづくりは、人や環境にやさしいのはもちろん、次のようなメリットが得られます。

  • オリジナリティのあるカラーになる
  • 経年変化が楽しめる

オリジナリティのあるカラーになる

一つひとつ手作業で染める草木染めは、二つとして同じ柄にはなりません。染め方はもちろん、草木の抽出時期によっても色合いが変わります。

合成染料では決して出せない深みのある独特の風合いが出せるほか、異なる種類の植物・果物などを組み合わせて重ね染めも可能です。

経年変化が楽しめる

時間の経過によって色に深みが増すのは、草木染め特有の魅力です。使用年数や使い方によって違いが生まれるため、自分だけの経年変化が楽しめます。

一部草木染めは、自宅でも手軽にチャレンジできます。色褪せてきたと感じたときは染め直しもできるため、長く愛用してもらえるグッズが作れるでしょう。

4.草木染めのデメリット

健康上や環境、製品化においてたくさんのメリットがある草木染め。しかし、本格的な草木染めには手間と時間、コストがかかります。そのため流通量が十分とはいえない状況であり、現代の主流は伝統工芸を含め、ほぼすべて合成染料です。また、草木染めは耐光性の低さが弱点。光に当たるうち、徐々に色が褪せてきてしまう場合があります。

とはいえ、近年は草木染めの時間短縮や機能性の向上を実現する新技術が開発中です。実用性の高い草木染め技術が普及すれば生産コストも下がり、地域の伝統工芸や経済の活性化と組み合わせて今後の市場拡大が見込まれるでしょう。

5.草木染めを取り入れたSDGsグッズ

草木染めを取り入れたSDGsグッズ

ここからは、草木染めはどのようなグッズの制作に用いられているのかをご紹介!草木染めのようなサステナブルな手法で作られた製品は「SDGsグッズ」と呼ばれ、さまざまな企業がものづくりに取り入れています。

SDGsグッズの企業事例はこちらの記事で解説していますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。

バッグ

草木染めは、普段使いやエコバッグ、収納にとさまざまな用途のバッグの生地に使えます。一つひとつ違った風合いになるため、思わず手に取りたくなるグッズになるはず。物販やノベルティのほか、ホテル館内での荷物持ち歩き用の簡易バッグとしてもおすすめです。

ポーチ・巾着

オリジナルグッズやノベルティの定番であるポーチや巾着。デザインやフォルムだけだと差別化しづらいアイテムですが、草木染めなら一気に個性的なデザインに早変わり!中にアメニティなどを入れて商品化するのも一つのアイデアです。

ハンカチ

手で直に触るエチケット用品であるハンカチには、安心して使えるものを取り入れたいところ。草木染めなら安全性も高く、薬効によるリラックス効果も期待できます

マスク

感染予防や喉の保湿に欠かせないマスク。自然のやさしい風合いと各種の薬効で、着用するのが楽しくなりそうですね。

【番外編】SUSPRO調査隊が営業担当に聞いてみた!草木染めに関するインタビュー

ここでは草木染めを制作経験のある営業担当者O.K に、草木染めについて徹底インタビュー!O.Kはフルオーダー制作営業に勤めて5年の経歴を持ち、素材や形状・デザインの知識が豊富なスタッフです。以下では、草木染めを採用した経緯や大変だったことを深掘りしていきます。

よろしくお願いします。早速ですが、たくさんのエコ素材がある中で、草木染め制作に至った経緯を教えていただけますか。

草木染めをご提案した理由は、お客様が「自社製品の製造過程で発生する植物系残渣(濾過したあとに残ったかす)を用いたものづくり」を求めていたからです。商品イメージに合わせた良い素材を扱っていると一目見てわかる雰囲気をエコ素材で演出するのは難しかったのですが、オリジナリティなカラーに仕上がる草木染めは本物志向とマッチすると考え、お客様のご協力の上、制作に至りました。

草木染めをご提案した理由

高級志向の企業ブランドに合わせたご提案ということですね。草木染めは工数がかかると伺いましたが、グッズ制作の上で大変なことはあったのでしょうか。

染色のばらつきを調整することが難しかったです。草木染めは手作業で染め上げるため、製品のできあがりにばらつきがあります。販売、もしくはノベルティとして配布するグッズであったことから、大きな色のちがいは避けたかったため、一つひとつ品質をチェックするなどの体制を整えました。

品質面でしっかりとサポートいただけるんですね。
ちなみに草木染めはバッグ以外に、どのような製品と相性が良いのでしょうか。

草木染めはコットン素材と相性が良いですが、強いていうならハンカチやエプロンでしょうか。植物性の染色のため、肌に直接ふれる布製品などと相性が良いと思います。また、コットンで自然な色合いに色付けしたい場合もおすすめです。

肌に直接ふれる布製品などと相性が良いと思います

植物性のため、安心感が問われる製品と相性が良いということですね。
最後に草木染めに興味のある方に、一言お願いいたします。

草木染めは一つひとつに個性が出る製法のため、他社と被りたくない個性派ブランドや、製品にこだわりをもった本物志向の企業様に取り入れていただきやすいと思います。個々のアイテムごとにオリジナリティが感じられるため、宿泊施設を訪れたお客様の満足度もきっと高められるはずです。ご興味がある方は下記サイトにお問い合わせください!

関連記事>>SUSPROお問い合わせ

6.草木染めグッズの制作で手軽にSDGs!

これまで、私たちの暮らしに関わるモノの大半は効率重視の生産方法でした。しかしSDGsが新たな指標となるこれからは、安さや目先の利益ではなく、持続可能性や個を大切にする価値観へとシフトしつつあります。エシカルな一つの選択肢として、草木染めへの転換を検討してみませんか。

草木染めグッズ制作は、サステナブルなものづくりのプロ「SUSPRO」へおまかせください。SDGsカードファシリテーターの有資格者など豊富な知識・ノウハウを有するスタッフが、目的やニーズに応じたものづくりの最善策をご提案いたします。ちょっとした疑問・質問でも喜んで承りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

SUSPRO編集部

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

多様な企業様の販売品・ノベルティを制作しているグッズの企画・営業担当。企画から納品まで一気通貫で担う中で、特にエコ素材に関する知識や取り扱い方法・トレンドなどに精通しています。

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

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