ホテルのブランド力を高める戦略とは?ブランディングのポイントと2つの成功事例

2024/11/01

ホテルのブランド力を高める戦略とは?ブランディングのポイントと2つの成功事例

有名ホテル・旅館が多くのユーザーに選ばれるのは、自社独自のブランド戦略を打ち出し、効果的にアピールしているからこそ。しかしブランド戦略といっても、具体的にどのような対策を立てればよいか分からずお困りではないでしょうか。

今回は、数あるブランド戦略のうち、ホテル全体のイメージや集客に関する施策をクローズアップし、その必要性を解説します。ブランド戦略を立案する手順や関連のあるキーワード、成功事例もまとめました。集客力を確実に上げるホテルマーケティングや、ブランド力を向上させる具体的な対策方法を模索中の方は、ぜひ参考にしてください。

1.ホテル業界のブランド戦略

ホテル業界のブランド戦略

まず、ビジネスにおけるブランド戦略の意味と、ホテル業界で重要性が高いとされる理由を確認していきましょう。

ブランド戦略の意味とは

そもそもブランド戦略とは、ホテルや旅館で顧客が好感を抱く独自のイメージの定着と、他社との差別化を図るためのマーケティング手法の一種です。具体的には、いわゆる「ブランディング」と呼ばれる「〇〇といえばこのホテル」というイメージ確立のための施策のほか、集客を目的とするさまざまな戦略を指します。

「ブランド」といえば、ホテル名やロゴ、理念などアイデンティティにかかわるものだけだと思われがちですが、戦略には以下のようにさまざまな方向性があります。

  • サービス内容
  • 宿泊プラン
  • 内装・外装のデザイン
  • アメニティ
  • 情報発信

上記の戦略の方向性は、単独ではなく、うまく組み合わせることで相乗効果を発揮します。

なぜホテルのブランド力を高める戦略が必要なのか

ホテルにブランド力が必要とされる理由は、競合が飽和している現状を背景としています。さまざまな形態の宿泊施設がしのぎを削る状況であり、ありきたりなサービスだけでは、お客さまから選んでもらえません。

競合との差別化を図るためには、独自のブランド力が必要です。ブランド力が高ければ、宿泊自体を目的とするユーザーが取り込めます。

つまり、自社ブランドを効率的かつ効果的にアピールできる戦略を立てられるかどうかに、今後の自社の命運がかかっているといっても過言ではありません。自社ホテルに最適な戦略を見極め、ブランド力を高めましょう。

関連記事>>ホテルに必要なマーケティング戦略とは?現代における重要性や成功事例もご紹介

2.ホテルのブランド戦略の立て方

ホテルのブランド戦略の立て方

ホテルのブランド戦略を立てるプロセスは、以下のとおりです。

ここでは、ホテルのブランド戦略を立てるプロセスについて説明します。
ブランディングの手順に似ていますが、集客を目的とするブランド戦略では、イメージの確立から分析までが一連の流れとなっています。そのうえで、PDCA(業務改善のためのサイクル)を回すことが重要です。

上記はブランディングの手順に似ていますが、集客を目的とするブランド戦略では、イメージの確立から分析までが一連の流れとなっています。そのうえで、PDCA(業務改善のためのサイクル)を回すことが重要です。

1.ターゲット層を設定する

はじめに、どのユーザー層をメインターゲットにするかを考えます。ターゲティングが不明確だと、方向性がブレやすくなり、誰にも響かないサービスになってしまいかねません。自社ブランドや今後の方向性に共感するユーザー層を見極め、ターゲットに設定しましょう。

2.コンセプトをデザインする

次に、ブランド戦略の軸となるコンセプトを決めます。なお、コンセプトは、自社の強みや訴求ポイントともいい換えることも可能です。

前のステップで決めたターゲットをペルソナに設定し、競合他社も参考にしつつ、どのようなテーマならユーザーの心に響くのかを検討してください。

3.具体的な内容を決める

これまでのステップで明確化したターゲットやコンセプトを、具体的な内容にして戦略に落とし込みます。サービス・プランの内容や備品・アメニティ、SNS運用などさまざまな要素を組み合わせ、他社にはない自社独自の戦略を形にしていくことが大切です。

4.効果分析・改善する

売上の変化やお客さまの声を参考に、実施したブランド戦略の効果を定期的に分析したうえで、より良いブランド戦略に改善していきます。ただし、ブランド戦略の効果は短期的に出るものではないため、長期的な視点が欠かせません。長いスパンで分析・改善を繰り返すことを前提に、ブランド力の向上を目指しましょう。

ホテルのブランド戦略を立てるプロセス

  1. ターゲット層を設定する
  2. コンセプトをデザインする
  3. 具体的な内容を決める
  4. 効果分析・改善する

3.ブランド力アップによるホテル集客戦略で意識したい3つのキーワード

ブランド力アップによるホテル集客戦略で意識したい3つのキーワード

現代のホテル業界でブランド力を高めるためには、次の3つのキーワードを絡めた集客戦略が必要です。

マンパワー

「マンパワー」とは、企業が抱える人的資源要するにホテルの従業員のことです。ブランド戦略の成功の鍵は、最終的に現場でそれを体現するスタッフが握っています。そのため、ブランド戦略のポイントは、経営陣だけではなく、現場のスタッフにも周知徹底しなければなりません。ブランド戦略に懸ける熱い想いに従業員からの共感が得られれば、結果として顧客にもそれが伝わるはずです。

パーソナライゼーション

「パーソナライゼーション」とは、個々のニーズに応じ、提供する商品やサービスを最適化させることを指します。これからのホテル業界に必要なのは、顧客一人ひとりに合わせた柔軟なホスピタリティです。ただ価格が安い、サービスが一律によいということだけでは、はじめは好評だったとしても、リピートにはつながりません。

また、一人ひとりのニーズに合わせた特別感のあるおもてなしは、満足度が高いのはもちろん、他社との差別化が図れるコンセプトにもなります。

サステナビリティ

「サステナビリティ」とは、地球や社会、人にもやさしい持続可能な経済活動を維持しようという考え方です。事業やものづくりにサステナビリティの概念を取り入れるのは、企業の社会的な責任(CSR)だといえます。世界を挙げたSDGs活動の推進にともない、消費者のエシカル消費に対する意識が高まっている今、サステナビリティへの貢献度が消費者の新しい購買基準となりました。

実際に、名だたる高級ホテルを筆頭に、SDGs活動を意識したサステナブルな取り組みが行われており、それが新たなブランディングにもつながっています。サービス内容やプラン、備品・アメニティなどへ積極的にサステナブルな試みを取り入れることで、エコなホテルとしてアピールできるでしょう。

ブランド力を上げる3つのキーワードまとめ

  • マンパワー
  • パーソナライゼーション
  • サステナビリティ

サステナブルの意味や具体的な取り組み事例が気になる方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事>>【ビジネス向け解説】サステナブルとは?意味や企業の取り組み事例を紹介

4.ホテルブランド戦略の有名な2つの成功事例

ここからは、ホテル業界で大成功を収めている2つのブランド戦略を解説します。

星野リゾートのコンセプト分化の事例

国内外のホテル運営で成功を収めている「星野リゾート」のブランディング戦略のポイントは、コンセプトの分化です。「ラグジュアリー」「温泉旅館」「リゾート」「シティ」「カジュアル」の5つのサブブランドを打ち立て、それぞれ異なるブランド戦略を実施しました。

星野リゾートのサブコンセプトの詳細
星野リゾートのサブコンセプトの詳細

ターゲットを分散させることで、コンセプトがブレず、的確に訴求できたことが成功の秘訣です。ブランドを増やして顧客の選択肢を充実させることで、自分で選ぶ喜びを感じ、愛着を抱くようになる効果も生まれます。

さらに星野リゾートグループでは「勝手にSDGs」という経済価値と社会価値を両立するCSV経営を目標に掲げていることもブランド戦略の一環です。日本の伝統に基づくさまざまな環境・文化保護活動を実施することで、サステナブルな姿勢を効果的にアピールしています。

くわえて、SNSを積極的に活用していることもポイント。ブランドイメージに基づく投稿で、多くのフォロワーを獲得し、効率的な集客につなげています。

西武プリンスホテルズ&リゾーツのコンセプト分化の事例

国内外に複数の拠点を持つ「西武プリンスホテルズ&リゾーツ」。サブブランドとして、中心となる「ザ・プリンス アカトキ」「ザ・プリンス」「グランドプリンスホテル」「パークレジス バイ プリンス」のほか、「プリンスホテル」「パークレジス」「パーク プロキシー」「プリンス スマート イン」「レジャーイン」などのブランドを展開しています。

西武プリンスホテルズ&リゾーツのサブコンセプトの詳細
西武プリンスホテルズ&リゾーツのサブコンセプトの詳細
  • 「プリンスホテル」
  • 「パークレジス」
  • 「パーク プロキシー」
  • 「プリンス スマート イン」
  • 「レジャーイン」

異なるコンセプトを持たせたホテルを運営することで、顧客ごとのニーズにフィットするサービスの提供が可能になります。こうしたパーソナライゼーションの徹底により、西武プリンスホテルズ&リゾーツは多くのユーザーから選ばれるホテルになりました。

また、観光業界を牽引する企業として、サステナビリティアクションを自社の責任と捉えていることも特筆すべきポイントです。その代表例が「サクラクオリティ」をはじめとするさまざまなエコ認証の取得。そのほか、サステナブルMICE(会議場)設置やプラスチック削減、水源・緑の保護など、持続可能な社会の実現へ向けた活動に積極的に取り組んでいます。

サステナブルな取り組みが多くのユーザーを掴んでいることから、安心・安全の提供をブランド戦略に組み込むことの重要性を体現している事例です。

ホテルのアメニティや客室備品をオリジナルで制作した事例

ホテルのアメニティや客室備品をオリジナルで制作した事例

ホテル独自の世界観を表現したいなら、使用素材選定から形状デザインまで、すべて自社オリジナルで制作するのもおすすめです。たとえばスリッパでいうと「高級感を感じるクッション性にこだわりたい」「エコを訴求できる素材に変更したい」など、ホテル独自のブランディングにつながります。

ホテルのアメニティや客室備品をオリジナルで制作した事例

ほかにも、刺繍や刻印をスリッパに施すことで、宿泊者の記憶に残る製品になるでしょう。製品に自社のコンセプトを落とし込む方法がわからなくても、想いやこだわり、予算・納期から、弊社の担当が最適なプランをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

今回紹介したブランド戦略と密接な関係にあるホテルのエコ活動についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

関連記事>>ホテルのエコとは?推進の背景とエコフレンドリーな施設運営の手引き

5.トレンドを取り入れた戦略でホテルのブランドイメージを強化しよう!

顧客から選ばれるホテル・旅館になるためには、いかにブランド戦略を確立させ、ブランディングやマーケティング施策に落とし込めるかにかかっているといえます。トレンドやルールの変化で苦境に立たされたときでも、逆にその状況を前向きに捉えることで、チャンスに変えられるブランド戦略が見つかるはずです。

環境保全の重要性が叫ばれる現代において、ホテルマーケティングの成功の鍵を握るのは「サステナビリティ」。大規模なブランド戦略の転換は難しくても、客室備品やアメニティをサステナブルなグッズに変えるだけなら手軽に取り入れられますよね。

サステナブルな客室備品やエコアメニティの制作は「SUSPRO」へおまかせください。まずはアメニティなどの小さなものから、サステナブルなブランドイメージを積極的にアピールしていきませんか?ちょっとしたご質問やご相談だけでもOKですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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SUSPRO編集部

【サステナブルグッズ制作チーム】 T.M

エコ素材アメニティや客室備品の企画・販売担当。実際にいただくホテルマーケティング担当者様の声を基に、サステナブルなアメニティや客室備品を開発。最新のエコ素材を取り入れたものづくりやホテルブランディングに日々取り組んでいます。

【サステナブルグッズ制作チーム】 T.M

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