ヴィーガンレザーとは?サステナブルなおしゃれが実現できる新素材を徹底解説
2024/12/19

サステナビリティや動物愛護の観点から注目されているヴィーガンレザー。本革に似せた見た目・質感を持ち、ファッションやインテリアなどを中心に幅広い業界で注目されています。
今回は、ヴィーガンレザーの種類やメリット・デメリットをご紹介。多くのサステナブル素材を取り扱う「SUSPRO(サスプロ)」の企画・営業担当者からヒアリングした、ヴィーガンレザーにしかない魅力もお伝えします。ものづくりにエコを取り入れたいと考えている方は、ぜひご一読ください。
1.ヴィーガンレザーとは

まず、ヴィーガンレザーとはどのような素材なのか、その特徴や似た素材との違いも踏まえて確認していきましょう。
ヴィーガンレザーの特徴
「ヴィーガンレザー」とは、本革に似せて作られた植物由来のフェイクレザー(再生合皮)です。なお「ヴィーガン」とは、食や身の回りのものに動物由来の素材を用いない思想・ライフスタイルを指します。
したがって、ヴィーガンレザーは天然皮革のような質感ながら、動物性の原料が使用されていません。その代わりに植物性の原料を用いて作られており、世界中のヴィーガンや動物愛護主義者を中心に市場を広げてきました。
また、従来では廃棄されていた食品や材料もヴィーガンレザーの原料の一つ。ゆえに、フードロス問題やごみ問題解消への貢献が期待されており、積極的に取り入れる企業やブランドが増えてきています。
ヴィーガンレザーと合皮の違い
ヴィーガンレザーと合皮(合成皮革)はいずれもフェイクレザーの一種です。フェイクレザーのうち、植物由来のものをヴィーガンレザー、石油由来だと合皮と呼ばれます。
石油由来のフェイクレザーである合皮は、ポリウレタンや塩化ビニルをはじめとする化学プラスチックが原料です。また合皮は、基材(ベースとなる素材)に特殊不織布以外のものが用いられる点で、人工皮革と区別されています。
合皮と人工皮革の基材の違い
- 合皮の基材:特殊不織布以外
- 人工皮革の基材:特殊不織布
従来、よりサステナブルなのは植物由来のヴィーガンレザーだとされてきました。しかし近年は、再生プラスチックや土に還る生分解性プラスチックなどから作られたヴィーガンレザーも生産されており、エシカルな選択肢の幅が広がってきています。
ヴィーガンレザーとリサイクルレザー(エコレザー)との違い
リサイクルレザー(エコレザー)とは、一般的に本革の端材をリサイクルして作られた素材全般を指します。ヴィーガンレザーとは異なり動物性素材を含むものの、廃棄素材の有効活用になるほか、生産・加工時の環境への負荷も最小限です。
いずれの素材も天然皮革と見た目はよく似ていますが、一部本革が使われているリサイクルレザーはより本物に近い触感で、破れ・よれに対する強度も優れています。ただし耐水性は、ヴィーガンレザーなどのフェイクレザーのほうが高いというのが一般的な認識です。
機能性の違いのほか、動物愛護の観点からはヴィーガンレザーが好まれる点も踏まえて、用途に応じた使い分けが肝心だといえます。

なおリサイクルレザー(エコレザー)の詳細を知りたい場合は、こちらの記事をご参照ください。
【注意】ヴィーガンレザーの表記について
2024年3月以降、JIS規格により製品名で「レザー」や「革」と表記できるのは動物由来のものに限定されるようになりました。同じく「スウェード」「ベロア」「ヌバック」といった皮革の加工品の名称も、動物由来以外の素材には使用できません。
したがって今後は、非動物性素材で製造したグッズに「◯◯レザー」と名付けることは禁止されます。ヴィーガンレザーのほか、リサイクルレザーや再生革などの名称も不可です。また現時点で「◯◯レザー」などと名付けられている石油由来および植物由来のレザー類似商品は「レザレットシート」などといった名称への変更を余儀なくされています。くわえて、エコレザーという表記も日本エコレザー基準に合致していないと付けられないため注意しなければなりません。
つまり、これまでリサイクルレザーと表記していた素材は皮革繊維再生複合材であることが分かる名称に変える必要があります。例えば「ボンデットレザーファイバー」や「レザーファイバボート」のほか、オリジナルの名称をつけているメーカー・ブランドもあるようです。
なお本記事では分かりやすさを重視し、非動物性のヴィーガンレザーでも従来どおり「◯◯レザー」という表記に統一していますのでご了承ください。
2.ヴィーガンレザーの種類の一例

ヴィーガンレザーにはさまざまな種類がありますが、以下では注目度の高い3種類の素材を紹介します。
- パイナップルレザー
- キノコレザー
- 再生ポリウレタン
パイナップルレザー
「パイナップルレザー」とは、パイナップルの繊維から作られたヴィーガンレザーです。現在は「ピニャテックス」という素材名で流通しています。
パイナップルレザーは、高い柔軟性と軽さが特徴です。また、さまざまな形に裁断できるため製品化の幅が広く、バッグや帽子、ポーチなどのファッショングッズによく活用されています。
パイナップルレザーの詳細は、こちらの記事でご確認ください。
キノコレザー
「キノコレザー」とは、キノコが地中に培養した菌糸体「マイセリウム」から作られるヴィーガンレザーであり「マッシュルームレザー」とも呼ばれる素材です。原料が低コストで、スピーディーかつ安定的に培養できるため、製造コストが低く抑えられます。
キノコレザーの最大の特徴は、一般的なヴィーガンレザーとは異なり、多少の経年変化が楽しめること。もともと質感一つひとつに個性があることにくわえ、使い込むごとに艶や味、深みが増していきます。こうした質感を活かし、バッグや財布などの小物ファッション雑貨によく用いられているようです。
キノコレザーの詳細は、こちらの記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
再生ポリウレタン
「再生ポリウレタン」とは、廃棄食材・廃材を素材に練り込んだリサイクル生地です。原料はとうもろこし、りんご、コーヒー粉、竹、海藻、廃ガラスなど多岐に渡ります。
再生ポリウレタンは、柔軟性、弾力性に優れた素材です。そのため、肌触りや伸縮性が求められるジャケットなどの衣類・アパレルグッズに適しています。
再生ポリウレタンについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご一読ください。
3.ヴィーガンレザーの3つのメリット

ヴィーガンレザーは、環境にやさしいことにくわえ、製品に加工する過程においてもさまざまなメリットがあります。以下では、そんなヴィーガンレザーのメリットを3つのポイントに分けてまとめました。
環境に与える負荷が抑えられる
ヴィーガンレザーは本革と比べ、生産過程における環境負荷が抑えられます。その理由は、大半のヴィーガンレザーには本革に必要な「なめし」の工程がないためです。
なめしの過程では、大量の水が消費されます。さらに、さまざまな化学薬品を使用するほか、動物の毛や油脂が混ざった排水による海や河川の汚染も見逃せない問題です。
SDGsの目標6および14で掲げられているように、安全な水の十分な供給と豊かな海洋の保全は世界中の課題の一つ。サステナブルな社会の実現には、生産・廃棄による環境汚染のストップが不可欠です。ヴィーガンレザーのようにエコな素材への転換は、地球環境とそこに住む全生物の未来を守ることにつながるでしょう。
選択の幅が広がる
世界には、さまざまな文化や宗教、思想を持つ人々が暮らしています。特定の動物の食や使用を禁じていたり、愛護の観点からその犠牲を回避しようとしたりなど多様な考え方があるため、本革製品だけでは消費者の選択肢を狭めてしまうでしょう。
そこで、ファッションやインテリアなどのブランドがこぞって注目し始めた素材こそ、ヴィーガンレザー。ものづくりに取り入れることで、あらゆる人の選択の幅を広げ、もっと自分らしいおしゃれや暮らしが提案できるはずです。
コストパフォーマンスがよい
ヴィーガンレザーは、本革と遜色ない質感ながらより安い費用で生産できるため、コストパフォーマンスが上々です。ただ値段が安いだけではなく、本革にはない耐水性やカラー、独特の模様などさまざまな魅力も付与されています。
また手入れに手間もかからず、非常に高性能な素材がリーズナブルな値段で手に入れられるのはヴィーガンレザーの大きな魅力です。
4.ヴィーガンレザーの2つのデメリット

ヴィーガンレザーにはたくさんのメリットがある反面、注意しなければならない点も存在します。ここからは、ヴィーガンレザーのデメリットとその対処法について考えていきましょう。
経年変化ではなく劣化する
一般的に、ヴィーガンレザーは使用・保管の年数が経つごとに少しずつ劣化していきます。素材にもよりますが、ヴィーガンレザーの平均的な寿命は5年程度です。ごく一部の素材を除き、本革のような経年変化が楽しめないため、物足りなく感じるユーザーもいるかもしれません。
ヴィーガンレザーグッズを長持ちさせるためには、メンテナンスが肝心です。正しい方法で手入れ・保管することで、寿命がぐっと長持ちさせられます。
手入れに知識・ノウハウを要する
ヴィーガンレザーのお手入れにはコツが必要です。基本的には柔らかい布での乾拭き、ひどい汚れは少量の中性洗剤を解いた水で拭き取ることできれいな状態が保てます。濡れた場合は放置せず、すぐにしっかりと乾かしてから湿気・高温・直射日光を避けて保管することも重要です。
また、ヴィーガンレザーは種類が豊富なうえ、それぞれ細かな質感や適した用途なども異なります。そのため、製品化にはノウハウが必要であり、豊富な専門知識を持つ人的リソースもしくは制作会社の選定が欠かせません。
ヴィーガンレザーを使ったグッズ制作をご検討中なら「SUSPRO」へご相談ください。サステナブルなものづくりのプロとして、企画から納品まで責任を持ってお手伝いします。
【番外編】SUSPROグッズ企画営業担当のおすすめの使い方!

ここからは、サステナブルなオリジナルグッズ制作を提案する「SUSPRO」より、ヴィーガンレザーを活用したグッズ制作のヒントをご紹介。数あるヴィーガンレザーのうち、今回は「パイナップルレザー」をピックアップ!グッズ企画・営業の担当者に、特徴やおすすめの使用方法を聞いてみました。
<企画・営業担当者の声>
ヴィーガンレザーの中でも需要が高い、パイナップルレザー。植物性由来でサステナブルなだけではなく、ところどころに残る繊維感で見た目からもエコが訴求できる点が人気の秘訣です。なお、パイナップルレザーを用いて制作できるグッズの代表格としては、バニティポーチやバッグなどをはじめとする多種多様なファション雑貨が挙げられます。
パイナップルレザーのニーズが特に多いのは化粧品業界。実際に展示会でも、パイナップルレザーの質感や制作できるグッズ、資材などに数多くの化粧品会社様からの関心が寄せられました。


また、パイナップルレザーは、質感に本革とは異なる魅力がある点も特筆すべきポイント。自然由来の硬めの質感で、まるで特殊な紙のような外見です。「植物性合皮とは思わない見た目」「環境配慮がアピールできてブランドイメージが向上する」「ほかの素材にはないおしゃれな風合い」といったお声も多く、その魅力は多くのブランドやユーザーを魅了しています。
グッズ制作では、アイテムの種類や形状が他社と被ることもめずらしくありません。そこでパイナップルレザーを生地に使用すれば、ほかとは一味違う製品として評判になるはずです。
5.ヴィーガンレザーを使ったものづくりは「SUSPRO」にご相談を!
ヴィーガンレザーは今や、世界中で大注目の次世代素材です。植物由来かつ環境に配慮した製法なので、手軽にエコな姿勢がアピールできます。加工しやすく、単価も手頃で活用の幅が広いヴィーガンレザーを、ぜひ商品やサービスに取り入れてみませんか?
ヴィーガンレザーをはじめとするサステナブルな素材のグッズ制作ならぜひ「SUSPRO」へ!フルオーダーでのグッズ制作を、ものづくりのプロとして一からサポートします。気になる点やご相談がある場合は、お気軽に弊社へお問い合わせください。
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