アメニティでSDGs活動を推進!ホテル業界での取り組み事例もご紹介
2024/10/31 (更新日:2024/12/11)
世界中でSDGsが推進される今、ホテル業界にもサステナブルなサービスへの転換が求められています。そのなかで、近年さまざまなホテル・旅館がこぞって取り組んでいるのが、アメニティの見直しです。
今回は、ホテルアメニティがSDGs活動とどのように関わっているのか、実際の取り組み事例も踏まえて説明します。アメニティにおすすめなエコ素材や、うまく切り替えるコツもまとめました。SDGsに配慮したホテル・旅館経営にシフトしていきたいと考えている方は、ぜひご一読ください。
1.アメニティとSDGsの関係性について
はじめに、ホテルアメニティでSDGsにどのような貢献ができるのかを考えていきましょう。
なぜアメニティでSDGsに貢献できるのか?
SDGsが採択されて以来、日本の各業界では、SDGs活動にいかに取り組むかが重要な課題となっています。
そもそも「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、2030年までに、持続可能でより良い世界を目指すことを目標として採択されました。地域の発展や環境に深く関わるホテル業界では、SDGsへの貢献が特に大きな意味を持ちます。とはいえ、施設自体や大規模な設備の変更は容易ではありません。
そこで多くのホテル・旅館が注目したのが「アメニティの見直し」です。自然素材やリサイクル素材、サステナブルな製法の新素材から作られたエコなアメニティを導入すれば、SDGsへ手軽に貢献できます。
また詳しくは後述しますが、近年はホテル・旅館業における脱プラスチックがマストとなりました。今後のホテル業界には、エコなアメニティの提供体制をいかに体系化していくかが求められています。
SDGsとは何かを詳しく知りたいときは、こちらのコラムをご参照ください。
関連記事>>【ビジネス向け解説】SDGsとは?意味や企業の取り組み方を徹底解説!17項目のゴールと日本の現状まとめ
SDGsと合わせて知っておくべき3つのキーワード
ホテル・旅館業とSDGsの関係性をより深く理解するためには、次の3つのキーワードの意味も併せて把握しておくことが大切です。
- サステナビリティ:環境保全への配慮と経済の持続的発展を両立する取り組み
- ESG:環境・社会・企業統治に配慮した投資・経営・事業活動
- CSR:企業の社会的責任
サステナビリティ
「サステナビリティ」とは、直訳すると「持続可能性」であり、SDGsの中核ともいえる概念です。
なお、SDGsとサステナビリティは意味だけみると同じですが、厳密には異なる位置付けとなっています。例えば、サステナビリティには、具体的な目標や明確な期限が定められていません。一方でSDGsには、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットが設定されています。
ESG
「ESG」は「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の3つの頭文字を組み合わせた用語です。上記3点への配慮を事業活動に取り入れれば、持続可能性が高まり、SDGsへの貢献につながります。
CSR
「CSR」は「Corporate(組織)」「Social(社会的な)」「Responsibility(責任)」の3つの頭文字から作られました。企業は、自社の利益追求だけではなく、公共や環境に及ぼす影響も考慮すべきだという考え方です。CSRに基づき、SDGsの実現は、事業を展開するすべての企業・組織に課せられた社会的な義務だと考えられています。
2.ホテルアメニティによるSDGsの取り組み事例2選
サステナブル素材を使ったアメニティへの切り替えによるSDGs対策
まず、ホテルアメニティをプラスチックからサステナブルな素材に切り替えた2つの事例をみていきましょう。
帝国ホテル
プラスチックごみ削減を目標に掲げ、長年さまざまな取り組みを続ける「株式会社 帝国ホテル」。老舗高級ホテルとしての看板を背負い、いち早くSDGs活動を推進し始めました。
帝国ホテルが現在掲げているSDGs活動の目標は、従来のプラスチック使用量の約9割の削減です。具体的には、直営4事業所(東京・大阪・上高地・柏)の客室の主なアメニティをすべて竹製・木製・バイオマス素材に切り替えています。また、客室に設置しているペットボトル飲料は、紙製容器での提供に切り替えました。
さらに、レストランで提供するストローは紙製やバイオマス素材、カトラリーには自然素材のものを採用。そのほか、独自のSDGsメニューを考案したり、スタッフ発案のサステナブルなアイデアを採用したりと、幅広い取り組みを柔軟に取り入れることでCO2排出量削減に成功しました。
さまざまな努力の結果、2023年3月に3事業所(東京・大阪・上高地)でSDGs実践宿泊施設の認証制度「Sakura Quality An ESG Practice(サクラクオリティグリーン)」で初となる最高評価「5御衣黄ザクラ」を取得しています。
ホテルニューオータニ
全国各地に宿泊施設を展開する「株式会社ニュー・オータニ」では、各地の拠点でそれぞれ独自のSDGs活動を推進しています。
例えば「ホテルニューオータニ(東京)」では、住所を置く紀尾井町を一つの「街」として捉え、創業以来さまざまなSDGs活動に取り組んできました。その代表例ともいえるのが「気づけばSDGs」。顧客のニーズや利用シーンに合わせた最高の体験を提供することで、自然にSDGsへの貢献につなげる取り組みです。またアメニティでは、ホテルオリジナルの紙製手提げ袋に「フォレストマーク」をプリントし、購入金額の一部を森林保全活動に寄付しています。
一方「ホテルニューオータニ大阪」では、客室のシャンプー・コンディショナーを、環境に配慮した天然素材のアメニティに変更。テイクアウトメニューには、再資源化が可能なランチボックスやカトラリーを採用しました。さらに有料サービスとして、トウモロコシなどの植物由来のバイオプラスチック素材のカトラリーが選べることでも注目を集めています。
>>外部リンク「ホテルニューオータニ(東京) SDGsの取り組み」
>>外部リンク「ホテルニューオータニ(大阪) SDGsの取り組み」
3.アメニティの客室設置を廃止するホテルが増えている背景
近年アメニティの客室設置をやめる企業が急増しています。廃止の背景にあるのは、SDGsが掲げる目標14に基づき2022年4月から施行された「プラスチック資源循環促進法」です。
プラスチック資源循環促進法とは、プラスチックごみの削減と循環型の経済活動「3R+Renewable」を目指すための法律を指します。この法律の中で、特定プラスチック使用製品を年間5トン以上提供する事業者に対し、削減に向けた目標設定と、提供方法の見直しが求められるようになりました。
なお、特定プラスチック製品の代表例はカトラリー類やヘアケア用品、衛生用品などであり、これはホテルアメニティの多くに該当します。そのため、ホテルや旅館でプラスチック製のアメニティの廃止が相次ぎ、転換策としてさまざまな取り組みが行われているのです。
プラスチック資源循環促進法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご一読ください。
関連記事>>2022年4月施行の新法案「プラスチック資源循環法」とは?対象製品や企業の対策を徹底解説!
4.アメニティ以外のホテルでのSDGs活動における課題
ホテル業界のSDGs活動における課題は、アメニティの見直しだけではありません。以下のように、サービスや施設運営のあり方にも、環境配慮の姿勢が重視されています。
SDGsプラン
SDGsをコンセプトにしたホテルプランの提供は、自社の大きな強みになります。よくあるSDGsプランといえば、環境保護につながる利用方法を選択したことへのプレミアムの付与です。SDGs活動に協力してくれた顧客に対して粗品を進呈したり、カーボン・オフセット(温室効果ガス削減活動への投資)に回したりなど、さまざまな方法で還元されています。
エコ清掃
ホテルの客室清掃でも、SDGs活動の導入が可能です。例えば、室内清掃の自主申告制や、リネン・タオル類の交換頻度を減らすなどのSDGs活動は、すでに多くのホテルで導入されています。
ホテル業界におけるSDGsの取り組みについて詳しく知りたい場合は、こちらのコラムを参考にしてください。
関連記事>>ホテル業界が取り組むSDGs。期待されるゴールとその理由、社会課題の現状と数字を徹底解説
5.SDGsに配慮したアメニティの素材一覧
以下では、エコアメニティへの切り替えによるSDGs活動を検討している方へ向けて、環境に配慮したサステナブルなおすすめ素材を紹介します。
竹素材・バンブーファイバー
「竹」は、栽培過程でCO2を吸収するほか、土壌に負担をかけずに素早く成長することから、サステナブルなエコ素材の一つです。また、竹を原料とする「バンブーファイバー」も、石油プラスチックの代替素材として普及が進められています。
竹素材の人気の秘訣は、独特のナチュラルな質感です。エコな性質とおしゃれな風合いが好評を博し、歯ブラシやヘアコーム、カミソリなどの衛生用品のほか、タンブラー・コップにもよく用いられています。
竹素材の魅力は、こちらのコラムでも解説しているのでぜひ併せてご覧ください。
関連記事>>「竹」素材はなぜエコ?脱プラスチックに対応するグッズでSDGsを実現
関連記事>>バンブーファイバーとは?竹由来の素材のメリット・デメリットと活用の重要性
木材
耐久性の高さを誇る「木材」は、プラスチックの代替としてよく選ばれる素材です。耐水性の低さが弱点ではあるものの、ヘアブラシやコースター、トレイなど、さまざまなアメニティに活用されています。
また、アメニティの原料に木材を用いた場合、製造・加工にかかるエネルギー消費が最小限です。そのほか、間伐材などの環境保護活動の副産物や、信頼できる方法で生産された「FSC認証木材」の利活用の可能性も、現在注目度が高いトピックとなっています。
間伐材とFSC認証木材の詳細については、それぞれ以下のコラムをご覧ください。
関連記事>>「FSC認証木材」とは?地球環境に配慮した資材を活用して、SDGsの第一歩を
コットン素材
天然素材である「コットン」から作られたアメニティは、肌にも環境にも優しいグッズです。コットンは、CO2と水に分解されて自然に還る「生分解性」の素材であり、廃棄する際に土壌へ負担を与えません。そのなかでも「再生コットン」は、廃棄だけではなく、生産の過程でも環境にやさしいことで注目されています。
コットン素材のアメニティといえば、タオルやボディスポンジが代表格です。また、スリッパや収納用の袋などもコットン製にすれば、リユースが可能なアメニティが作れます。
こちらの記事でも、再生コットンの特徴とサステナブルなポイントを紹介しているので、ぜひお役立てください。
関連記事>>「再生コットン」とは?端切れを再利用して自然な風合いをそのまま楽しむ、サステナブルなものづくり
植物由来のアップサイクル素材
「アップサイクル素材」とは、リサイクルして新たな価値を付与した再生素材のことです。トウモロコシやサトウキビ由来のバイオマス素材やコーヒー粉、貝殻など廃棄されるはずだったものから作られます。
廃棄食材のアップサイクルは、ごみの削減に直結するほか、プラスチックの代替品としても有用です。素材としての使い道も幅広く、歯ブラシ・コームなどの衛生用品からコップ類、布製品まで、加工方法によってさまざまな姿に変えられます。
サステナブル素材を使った多彩なアメニティ・グッズはカタログに掲載しているので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
上記のような天然素材のアメニティの魅力をさらに深く知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事>>導入ホテル続々!天然素材のアメニティはどんな種類がある?事例を交えてご紹介
6.SDGsアメニティへの切り替えを成功させるポイント
エコアメニティへの切り替えでSDGsへの貢献を目指すなら、次の4つのポイントを踏まえたうえで実施しましょう。
現在のアメニティの廃棄量を認識する
アメニティにSDGsを取り入れる第一歩は、まず現在の自社ホテルにおけるアメニティ排出量を把握することからです。
現在、どれほどのアメニティが廃棄されているのかが視覚化することで、SDGs活動への強い動機付けになり、従業員や顧客の理解も得やすくなります。また、廃棄されているアメニティのうち、プラスチックが占める割合とその際のCO2排出量を算出しておくとさらに説得力が高まるでしょう。
リニューアルに適したタイミングを見極める
アメニティのリニューアルの効果が最大限に発揮できるかどうかは、リニューアルするタイミングにかかっているといっても過言ではありません。
最も適切なタイミングは、何か新たな試みを始めるときです。キャンペーン開催や新サービスの展開に合わせてリニューアルすれば、それらに合わせた方法でのプロモーションが図れるため、受け入れてもらいやすいでしょう。お客さまの声も取り入れつつ、適切なタイミングを見極めてください。
素材ごとに最適な方法で処分する
たとえSDGsに配慮した素材でも、すべて一辺倒に焼却処分するのでは切り替える意味がありません。素材に合った処分方法をきちんと把握し、正しく実行することこそ真のサステナブルです。木材や竹素材は堆肥化、生分解性素材は埋立処分など、適切な廃棄の手順を事前に把握しておきましょう。
自社ホテルに適したアメニティ業者を選定する
SDGsに配慮したアメニティの導入は、パートナーとなる外部企業との連携が不可欠です。幅広いサービスに対応している業者を選定すれば、アメニティの変更時の自社における工程が最小限になります。また、取り扱うアメニティや素材のバリエーションが豊富だと、ホテルのコンセプトに合うグッズが選びやすくなるでしょう。
オリジナル制作の対応の可否やサービス範囲も含めてしっかりとチェックし、自社にとって最適なアメニティ業者を選定してください。
ポイントまとめ
- 現在のアメニティの廃棄量を認識する
- リニューアルに適したタイミングを見極める
- 素材ごとに最適な方法で処分する
- 自社ホテルに適したアメニティ業者を選定する
なお、前述のアメニティのリニューアルのタイミングと制作会社の選定ポイントは、こちらの記事で解説しています。
関連記事>>ホテルアメニティのリニューアル、効果を最大化するタイミングと選定ポイントとは
7.サステナブルなSDGsアメニティなら「SUSPRO」へ!
エコアメニティへの切り替えは、ホテル・旅館ができる最も手軽なSDGs活動です。同時に、脱プラスチックへ向けた取り組みとして、すみやかに達成すべき課題でもあります。
とはいえ、エコアメニティの種類は多種多様であり、自社に適したアメニティの企画と展開を進めるためにはパートナーとなる業者選びが肝心です。
エコアメニティ制作は「SUS amenity」へすべておまかせを!サステナブルなものづくりのプロ集団として、企画立案から納品までワンストップでサポートします。OEM・フルオーダーなどあらゆるご要望にお応えしますので、ぜひ一度お問い合わせください。
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