再生素材とは?種類別の特徴とメリット・デメリット、おしゃれな活用事例を解説

2024/12/25 (更新日:2025/10/31)

再生素材とは?種類別の特徴とメリット・デメリット、おしゃれな活用事例を解説

近年、建材や製品の生地として「再生素材」の活用が急速に広まっています。「エコ」は一過性のトレンドではなく、企業の社会的な責任として確立され、ものづくりの新たな価値観となりました。

特に、製造過程で出る端材や使用済みの製品を再利用する再生素材は、資源を循環させるサーキュラーエコノミー実現の鍵を握ります。しかし、「再生素材」と一口にいっても、その種類や取り入れ方は多種多様です。

そこでこの記事では、サステナブルなものづくりを目指す企業様向けに、再生素材の種類別の特徴を徹底解説します。メリット・デメリットや、国内外のおしゃれな活用事例も紹介。読後は、貴社のSDGs活動推進に最適な再生素材が見つかるはずです。

1. 再生素材とは?「リサイクル素材」との関係と分類

再生素材とは

まず、「再生素材」がどのような素材なのか、特徴や分類、エコマークとの関係を明確にしておきましょう。

再生素材の特徴

「再生素材」とは、使用済みの製品や廃棄予定の原料、製造過程で出る端材などをリサイクル処理し、再利用できるようにした素材のことです。 「リサイクル素材」 とも呼ばれ、プラスチック容器や衣類の端切れなどが例として挙げられます。

再生素材には「プレコンシューマ材料」「ポストコンシューマ材料」の2つがあり、両者の違いは元になる原料です。

・プレコンシューマ材料:製造工程で出た端材や不良品などの廃棄物が原料。
・ポストコンシューマ材料:使用済みの製品を回収し、リサイクル処理したものが原料。

現在、多くの製品でプレコンシューマ材料が使用されていますが、使用済み製品の回収・再利用(ポストコンシューマ)をいかに普及させるかが、今後の大きな課題となっています。

プレコンシューマーとポストコンシューマーの違い

再生素材とエコマーク

環境への配慮を示す手段として、一定の要件を満たした再生素材は「エコマーク」の取得が可能です。エコマーク付き製品は、環境に配慮した素材を使っていることが一目で分かり、グリーン購入法に対応した製品にもなるため、新たな販路拡大に繋がる可能性があります。

ただし、エコマークはレジ袋や使い捨てグッズなどのワンウェイ(シングルユース)製品を対象外としているため、使用には注意が必要です。

再生素材の分類

再生素材は、主に次の4つに分類されます。

  • 再生生地・繊維
  • 再生紙
  • 再生プラスチック
  • 再生建材・工業用品

再生生地・繊維

「再生生地・繊維」とは、廃棄物由来の原料から作られた布や皮革などの素材です。天然由来と化学由来の2種類があり、いずれも資源の有効活用と環境保全に貢献します。

再生紙

「再生紙」とは、回収した古紙から抽出したパルプを原料に作られた紙を指します。新聞紙や段ボール、牛乳パックなど、いわゆる資源ごみが主な原料です。再生紙には「再生紙使用(R)マーク」が付けられ、古紙の含有率も表示されます。普及がより浸透すれば、紙ごみの削減と紙の原料となる木材の有効活用につながるでしょう。

古紙パルプ配合率に合わせ、マークが異なる
古紙パルプ配合率に合わせ、マークが異なる

再生プラスチック

「再生プラスチック」とは、廃棄された樹脂製品を回収し、粉砕・洗浄後、融解もしくは化学分解して作られた素材です。近年、SDGs活動によるプラスチックのリサイクル・リユースの必要性の高まりに伴い、再生プラスチックの有用性が注目されています。

再生プラスチックの主な再生技術

・マテリアルリサイクル: 融解技術を利用し、プラスチックをそのまま再利用する方法です。
・ケミカルリサイクル: 化学分解を利用し、プラスチックを元の物質や化学原料に戻して再利用する方法です。

再生建材・工業用品

「再生建材・工業用品」とは、壁紙・石膏などの建材や、アルミニウムをはじめとする金属などの工業用品を再利用した素材です。近年は、建材や工業用品のリサイクルも広がりをみせています。資源の有効活用はもちろん、廃棄物の不法投棄・放置問題の解決の鍵も握る再生素材の一つです。

2.知っておきたい!主要な再生素材の種類

再生素材一覧表

再生素材は多種多様ですが、ここでは特に注目度の高い11種類の素材を紹介します。

再生コットン

「再生コットン」とは、製造過程で余った綿生地の端切れを原料にした繊維です。コットンの質感はそのままに、素材本来の色や風合いが活かされています。耐久性・吸水性の高さから、エコバッグや寝具などの材料によく用いられる素材です。

関連記事>>「再生コットン」とは?端切れを再利用して自然な風合いをそのまま楽しむ、サステナブルなものづくり

再生ウール

「再生ウール」とは、裁断くずや使用済みのウールをリサイクルした素材です。原材料の色を反映した個性的なカラー・風合いが魅力。質感・機能は純粋ウールと遜色ないため、マフラーやブランケット、手袋など、幅広い織物製品の材料にそのまま置き換えられます。

関連記事>>「再生ウール」とは?生地の残り糸から作られる素材でSDGsの取り組みを実現

再生ポリエステル

「再生ポリエステル」とは、回収した使用済みペットボトルを繊維化して作られた素材です。合成繊維の一種であり、軽くて丈夫。滑らかで光沢感のある素材が、低価格で仕入れられるとして人気です。耐久性・速乾性に優れ、洗濯にも強いことから、バッグなどのファッショングッズのほか、ユニフォームやスポーツウェアにも取り入れられています。

関連記事>>「再生ポリエステル」とは?海洋ごみの削減や脱炭素化でSDGsに貢献できる、循環型のペットボトル再生素材

再生ナイロン

「再生ナイロン」とは、廃棄されたナイロン製品やプラスチックごみをリサイクルした素材です。通常のナイロンと原材料の性質が同じなので、エコな代替素材として活用できます。ナイロンならではの高い耐久性と高機能、美しい光沢を活かした製品が作れるでしょう。

関連記事>>再生ナイロンとは?持続可能な新しいエコ素材の魅力を徹底解説

リサイクルレザー

「リサイクルレザー」とは一般的に、本革の端材をつなぎ合わせて作られた素材を指します。天然皮革の見た目・触感が再現されているだけではなく、デザイン性や機能性などが付与されたアップサイクル素材です。エコな革製品を製造したいときや、原料の価格を抑えたいときに役立ちます。

関連記事>>リサイクルレザーの魅力とは?メリット・デメリットと世界中で注目される理由

再生ポリウレタン

「再生ポリウレタン」とは、食品ロスや植物、廃材などを繊維状に加工した素材です。皮革の代替素材として活用されており、軽さや扱いやすさから、デイリーユースの革風の小物としてよく製品化されています。

関連記事>>「再生ポリウレタン」とは?廃棄物をポリウレタン素材に練り込んだリサイクル生地

スポンジワイプ

「スポンジワイプ」とは、木材の切れ端から作られるセルロースとコットンを原料とする再生素材です。吸水性・速乾性に優れることから、繰り返し使える布巾やナプキンなどとして用いられます。生分解性の素材で使用後は土に還るため、生産・廃棄の循環が可能です。

関連記事>>「スポンジワイプ」とは?水回りに便利な活用法や、森との共生につながるサステナブルな魅力を解説

ウォッシャブルペーパー

「ウォッシャブルペーパー」とは、植物由来の再生紙の一種です。最大の特徴は、紙でありながら洗えて縫製も可能なこと。独特のシワのある質感を活かし、バッグや手帳カバーなど、他社とは一味違うユニークなグッズが制作できます。

関連記事>>「ウォッシャブルペーパー」とは?植物由来の洗えるクラフト紙で、SDGsに貢献

PLA樹脂

「PLA樹脂」とは、トウモロコシやジャガイモなどのデンプンをリサイクルして作られたバイオプラスチックの一種です。エコなプラスチックとして代替できるだけではなく、透明性、保香性、耐水性、耐油性、引張強度などさまざまな利点があります。フィルム・シートや包装資材のほか、ストローやボトル・タンブラーなどのグッズ制作にも使用可能です。

関連記事>>サステナブルなプラスチックで注目の「PLA樹脂」とは?カーボンニュートラルな生分解性エコ素材を解説

コーヒー粉素材

コーヒー粉からは、生地やプラスチック、資材など多彩な類似素材が作れます。独特のおしゃれな質感と脱臭・消臭効果から、汎用性の高い再生素材です。

関連記事>>「コーヒー粉素材」とは?食品廃棄物から多彩なグッズへ生まれ変わる万能素材で、サステナブルを実現

リサイクルゴム

「リサイクルゴム」とは、廃ゴムを加工して原料に戻した再生素材です。低コストなうえ、加工のしやすさも兼ね備えています。従来、リサイクルゴムは工業用品や路盤材に使用されることが多い傾向にありました。しかし近年は高性能なリサイクルゴムも誕生し、アパレル・ファッショングッズなど使い道が広がっています。

関連記事>>リサイクルゴムとは?環境にやさしい再生素材の魅力

3.再生素材への転換が求められるようになった4つの背景

従来の素材から再生素材への転換が企業に求められるようになった背景には、次の4つの要因が複雑に関係しています。

従来の素材から転換が求められる3つの要因

  • サーキュラーエコノミーの実現へ向けた取り組み
  • SDGs活動の推進
  • プラスチック資源循環法の施行
  • ESG投資の流行

サーキュラーエコノミーの実現へ向けた取り組み

「サーキュラーエコノミー」とは、リデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)から成る「3R」を循環させる経済活動。今ある資源を可能な限り循環させることで、サステナブルな社会の実現を目指す取り組みです。再生素材はサーキュラーエコノミーの産物ともいえるものであり、さらなる普及・活用が求められています。

サーキュラーエコノミーについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご一読ください。

SDGs活動の推進

「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の頭文字を取って作られた用語です。2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されており、17の目標とその達成へ向けた169のターゲットで構成されています。再生素材の利活用は、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」におけるターゲットの一つ。企業がものづくりに再生素材を積極的に取り入れることで、資源の持続的な管理・使用ごみ排出量の削減適正でサステナブルな経済活動につながるでしょう。

SDGsのゴール12と日本における課題については、こちらの記事で詳しく説明しています。

プラスチック資源循環法の施行

「プラスチック資源循環法」とは、プラスチックの循環促進によるカーボンニュートラルと海洋ごみ抑制を目的に制定された法律であり、2022年4月に施行されました。制度には先述の3Rにくわえ「リニューアブル(Renewable)」が組み込まれており、ごみ発生抑制・再使用・再資源化と再生可能資源への代替が重要なテーマとなっています。再生プラスチックへの切り替えは、3R+リニューアブルの達成に有効かつ手軽な手段です。そのため、さまざまな企業がこぞって再生素材を取り入れ始めています。

プラスチック資源循環法と産業との関連性はこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ESG投資の流行

「ESG」とは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った用語です。近年、ESGに配慮した事業を営む会社に投資しようとする動きがトレンドとなりました再生素材は、環境保全やサステナブルな社会の実現にとって大きな意味を持ちます。ものづくりに再生素材を活用することでESG投資が増えれば、企業の利益アップや発展を促せるはずです。

4.再生素材のメリット・デメリットと適切な選び方

再生素材には多くのメリットがあります。その一方で、デメリットといえる点も存在しますので、2つの面を踏まえて活用法を考えていきましょう。

メリット

再生素材の導入で、エシカルな姿勢をアピールできます。「エコ」「サステナビリティ」などのワードの重要性が高まっている今、再生素材は企業のイメージアップに欠かせないアイテムの一つです。再生素材の新商品開発のほか、既存の商品の生地や材料を切り替えるだけでも環境に配慮した企業・ブランドとしての認知度アップが期待できます。

デメリット

いくら再生素材を使った製品でも、粗悪品や使い勝手の悪いものだと逆効果です。商品のクオリティの維持・向上には、適材適所の素材選びが重要だといえます。そこで、ターゲットや目的を明らかにしたうえ、特徴を踏まえて最適な素材を選定しましょう。社内に専門家がいない場合は、サステナブルなものづくりの知識・ノウハウを有するパートナー企業・業者を選ぶことで、より良いものづくりが実現できます。

5.【業界別】再生素材を使ったおしゃれな活用事例

再生素材の活用は、今やさまざまな業界で取り組まれている課題の一つになりました。ここからは、国内外の有名企業における再生素材を使ったリサイクル事例を紹介します。

ファッション・アパレル業界

ファッション・アパレル業界では、再生素材を次のようなアイテムの生地として活用する事例が増えています。

  • 衣類
  • ショッパーバッグ
  • エコバッグ

その代表例は「ユニクロ(Uniqlo)」です。3R推進活動として「RE.UNIQLO」という独自の取り組みを実施し、着なくなった服の無料回収を行っています。回収した服は、支援物資としてリユースしたり、建材や衣類の原料にリサイクル処理したりしているとのことです。

またアパレル大手の「H&M」では、2013年から古着回収サービスを導入。ブランドや状態を問わずすべての衣類を回収し、リユース・リサイクルする取り組みを始めました。協力してくれた消費者にクーポンを配布することで、同サービスの利用者を確実に増やしています。

食品業界

食品業界における再生素材の主な用途は次の2つです。

  • 食器・カトラリー
  • 食品トレー

再生素材活用の代表例は「マクドナルド」。店内のリサイクルボックスでプラスチック製のおもちゃを回収して再生素材に循環させ、店内備品の原料にして再利用しています。

製造メーカー

製造メーカーでは、電子機器の本体ボディなどに再生素材が活用されています。

「ソニー(Sony)」は、オリジナルの難燃剤と回収した廃プラスチックを原料に、再生素材使用率99%かつ高性能の「SORPLAS(ソープラス)」へとアップサイクル。再生した素材は製品の本体ボディに導入され、高い人気を得ています。また同社は、環境計画「Road to Zero」を掲げ、パッケージの環境最適化にも取り組んでいます。

さらに、モバイル機器の製造・販売で業界をけん引する「Apple」も、独自のリサイクルプログラムを実施。使用済みの自社PCおよびモバイル製品をすべて無料で回収し、リサイクルを推進しています。

6.再生素材の活用法は「SUSPRO」へ!

さまざまなグッズの原料・生地などに人気の再生素材。環境配慮やSDGsの目標達成への貢献のほか、エシカルな姿勢のブランディングによる企業のイメージアップにも効果的です。また、世界規模で進められているサーキュラーエコノミーの実現を目指すためにも重要な役割を果たします。再生素材を商品・サービスへ積極的に取り入れ、サステナブルな企業としての第一歩を踏み出しませんか。

再生素材の活用法やグッズ制作のご相談は「SUSPRO」へおまかせを!ブランドやコンセプトに最適な素材をご提案したうえ、企画から納品までワンストップでサポートします。お見積りや制作に関するお問い合わせはこちらから、ぜひお気軽にご連絡ください。

SUSPRO編集部

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

多様な企業様の販売品・ノベルティを制作しているグッズの企画・営業担当。企画から納品まで一気通貫で担う中で、特にエコ素材に関する知識や取り扱い方法・トレンドなどに精通しています。

【フルオーダーグッズ制作チーム】 Y.Y

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